浪速の味 江戸の味(九月) 鰯【江戸】

黒潮に乗り大群で日本近海にやってくる鰯は、獲るのが比較的たやすく古くから食べられていました。縄文時代の遺跡からもその痕跡がみつかるそうです。
人口が爆発的に増えた江戸では、安い鰯は庶民の強い味方でした。
現代でも鰯の漁獲量全国一位二位を争う千葉県の銚子で獲れた鰯は、利根川を利用して江戸へ運ばれました。足が早い鰯は、干物や目刺などの加工品も盛んに作られました。
鰯の利用は食用に止まらず、その油は行灯などに用いられました。魚油は魚臭く、化け猫が行灯の油を舐める場面は怪談でお馴染みです。
鰯を肥料として利用する「干鰯(ほしか)」は、江戸時代に栽培が盛んになった綿花との相性がよいこともあり、17世紀には爆発的に出回り、深川には干鰯を専門に扱う干鰯場が数か所あったほどだそうです。因みに、正月料理の「ごまめ」を「田作」というのは干鰯からきたとの説もあります。
写真は神田の鰯専門店の刺身とフライ。毎日銚子から到着する鰯を使ったランチは新鮮でリーズナブル。現代の東京でも鰯はサラリーマンの強い味方です。
縄文のをみなとなりて鰯引く 光枝
