浪速の味 江戸の味 (12月)うどんすき(浪速)
冷え込む日が続くと食べたくなる温かいおうどん。各地に名産のうどんがあるが、大阪のおうどんは、腰が強すぎず食べやすい。昆布、鰹節等でとった出汁が決め手である。南船場の「松葉家」や道頓堀の「今井」のきつねうどんは、甘辛くふっくらと煮たお揚げさんと出汁がよく合い、浪速うどんのよさが味わえる。
日常的に親しまれているきつねうどん。対して豪華なうどんメニューと言えば「うどんすき」であろう。忘年会、新年会はじめ宴会にぴったりである。
創業250年の「美々卯」のうどんすきは、浅いステンレスの鍋に味を調えた出汁を入れ、蛤、カニ、海老、穴子、鶏肉、椎茸、白菜などを入れ、うどんも一緒に煮込む。
寄せ鍋や鋤焼のしめにうどんを入れるのとは違う。うどんすきはうどんがメインなのである。具材の旨味を吸収したうどんの旨さは絶品である。
鋤のイメージからステンレスの浅い鍋なのだろうか。名店のうどんすきは色とりどりの花畑のように美しく、味とともに目でも楽しめる。
我が家でも広口のステンレス鍋を使い、うどんすきを作った。昆布と鰹節で出汁をとり、白だし醤油と酒と砂糖で味を調えた。名店の華やかさはなくとも、蛤の代わりに浅利、芝海老の代わりに冷凍エビを使い、鶏肉、穴子、白菜、葱などを入れ、具材の旨味が味わえるうどんすきになった。
それにしても、うどん好きの大阪人としては「うどんすき」のネーミングはぴったりだと感心している。
退院の母と連れ立ちうどんすき 洋子