朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(十二月)
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイトより、今月の季語「時雨」、花「ブロッコリー」、浪速の味 江戸の味「うどんすき」です。
【特選】
光年の星の興亡竜の玉 涼子
足元の竜の玉が何光年も静かにそこにあるかのよう。
搗きあがり餅駘蕩と湯気の中 隆子
神々しいまでの餅の存在感。
雪を被てねむる花背や蕪蒸 隆子
花の一字が生きている。「被て」が蕪蒸の様子とダブルのが少々うるさくより普通の表現で。
【入選】
雪しまく音聞き草履編みしこと 弘道
過去の出来事にしないほうが句が強くなる。「雪しまく音聞く草履編みながら」。
降り止まず雪になるのか寒の雨 守彦
つぶやきがそのまま一句になった。寒の雨としっかり押さえて上々。
しぐるるや靴うつくしき丸の内 隆子
靴に焦点を当てることにより、街の様子まで見せた。
冬ざれや花と開きしうどんすき 和子
うどんすきの美しい湯気が見えるよう。「冬ざれ」が上手い。
悩みごとブロッコリーと湯の中へ 涼子
人の頭のようでもあるブロッコリーならでは。おかしくも恐ろしい。
冬牡丹高熱にみる昼の夢 隆子
牡丹が夢見ているようでも、夢のなかに牡丹が咲いているようでもある。「高熱にみる」の説明は一考。
ひとときは霰の乱舞ボンネット 勇美
短時間降ることが多い霰を具体的に捉えた臨場感ある一句。
夕ぎつね三たび見返り消えにけり 勇美
「夕」が説明的で余計。
雪明り延命治療不要と書く 弘道
「書く」で「雪明り」が説明になってしまい惜しい。「雪明り延命治療不要なり」など説明を越えること。
開戦のラジオ囲みし寒い朝 守彦
「寒い朝」が多くを語る一句。
銀幕に生きてしぐれて李香蘭 隆子
少しおもしろく作りすぎてしまった。より内容を。
除夜の鐘黒谷さんから響きけり 弘道
親しく呼ぶ「黒谷さん」が除夜の祈りをより深くする。
(ロマネスコはブロッコリーの一種)
どしどしと恐竜のゆくロマネスコ 光枝