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今月の料理(六月)酢蕨

 子どもの詩に、校庭を掃除する時は広いなと感じ、遊ぶときは狭いなと感じるといった内容のものがありました。同じ分量のものでも、人間好きなものといやの物とでは全く感じ方がちがいます。美味しいもや好きな物が乗ったお皿はアッという間に空になるのに、嫌いなものや不味いものが乗ったお皿はなかなか空きません。

季節もまた同じ。さわやかな五月は瞬く間に去ってしまい今月はうっとうしい梅雨の季節です。最近は春や秋の過ごしやすい季節がことに短くなったように感じます。コートを羽織りたいくらいの日があると思えば、半袖がほしい日もあります。外出のさいは上着や雨傘など手荷物も増え煩わしさが増す感じですが、梅雨は文字の通り梅を太らせ稲を成長に導いてくれます。そう考えると日本にはなくてはならないものかもしれません。

今月の料理は梅からとった酢でつけ汁をつくり、灰汁を抜いた夏わらびを漬けます。青梅を漬けた醤油は爽やかな風味と軽い酸味が特徴で作っておくと重宝します。以前、梅を味噌に漬けた梅味噌も作った事がありましたが梅醤油のほうが出番が多いようです。胡瓜や水雲の酢の物など出汁で割れば簡単に出来ますし、冷蔵庫に入れておけばかなり長持ちします。

最近は手に入りにくかった山菜などちょっと気の利いたマーケットで見かける事があります。手に入れる事ができたらお試し下さい。

【作り方】
梅醤油は梅を瓶にきっちりといれます。
瓶一杯に梅入れお醬油をそそぎキッチンペーパーを被せて保存します。
数日で梅のエキスが出てきたら出来上がりです。
灰汁を抜いた蕨を適当な長さにきり、梅醤油と出汁を注ぎ半日もすれば
食べごろに漬かります。酢が入っているので日もちします。

a la carte_茶摘み

日本有数のお茶の産地、八女にある茶畑に行きました。
今年は春に気温の低い日が続き、例年よりすこし遅れて
茶摘みが行われていました。
ここでは玉露の茶葉を育てておられ
年に一度だけのお茶摘みです。
(煎茶は二番茶、三番茶を摘みますが玉露は一番茶だけ)
煎茶用の茶葉と違い
玉露にする茶畑は、お茶摘みの20日ほど前から
稲わらを編んだもので被覆されます。
覆う事で日光を遮り、茶葉が薄く大きくなり旨みが増すとの事です。
ここにある約千本のお茶の木を20人ほどの人々が手際よく摘んでいきます。
玉露にする葉は先端の柔らかい部分しか摘まない為に
千本の木からの茶葉の収穫量は35キロほどで
製茶されると、その一割ほどの量になるそうです。
茶園主の「お茶の葉が静かでひんやりとしている間に
ひといきに摘むんです」という言葉に
お茶に対する思いの深さを感じました。
近年は欧米の高級レストランでも食事の終わりに
玉露を出す店があり
八女のお茶も世界に広まりつつあります。(真知子)

よき風の山よりきたる茶摘みかな  真知子

今月の料理【五月】 新茶の天麩羅

以前、茶所静岡の友人と話をしていた時のことです。新潟は言わずと知れた米どころ、二人でお茶の話とお米の話に暫し花が咲いたのですが、ふと彼女がもらしました。「お茶とお米の味にうるさくなると年をとたった証拠だそうよ」確かに若い時を振り返れば、食べ物の話の中でお茶やお米などしたことはなかったように思います。お茶と言えばコーヒーや紅茶などで、あそこのお店はお米がおいしいから食べに行こうなどと言う発想は全くありませんでした。

最近は出汁が引けているか、ご飯がおいしいか、漬物はどうかなどなんだか重箱の隅をつつくような所が気になり、二人で「これではまるで口うるさい姑か意地悪ばあさんね」と大笑いです。

さて、その茶所では詰んだばかりのお茶の葉をそのまま天麩羅にして食べるそうですが、新潟は村上がお茶の北限、なかなか生の茶葉を手に入れるのは難しいようです。そこで頂いた新茶を楽しんだ後の茶葉の水分をとり、出盛りの新玉ねぎとかき揚げに。出来ればお茶は一煎のみにして開いた葉を使うとと香りも残り扱い易いと思います。

 【作り方】

お茶の葉は軽く水分を取っておきます。

玉葱は薄くスライス。人参は千切りに。

材料をすべてボールに入れ軽く小麦粉をふっておきます。

別のボールに小麦粉と冷たい水を入れ衣作ります。

油を熱し材料を入れたボールと小麦粉を溶いた衣の液を合わせ
180度の油で揚げます。

 【材料】
お茶の葉 新玉葱 人参 天麩羅油 小麦粉 水
分量は普通の天麩羅の要領で

         とんとんと袋に詰める新茶かな       善子

今月の料理(四月) 葉山葵のお浸し

雪国に住む人達にとって春は格別にうれしいもの。新潟出身の人が東京に冬はないと言った事がしみじみ思いだされます。青空に浮かぶ雪嶺も、一日中光をこぼす雪解の雫もそののどかな音も、長い暗い冬があってこその事ではないでしょうか。春は空のカーテンをさっと開けたようなそんな気分です。そしてこの頃になるとそろそろ気になるのが山菜です。

去年の事ですが、友人から葉山葵のお浸しをいただきました。そのさわやかな香りと辛味がなんとも新鮮で、早速作りたかったのですがその時は山葵はもう終りで作る事が出来ず来年のお楽しみにしていました。

そんな訳で今年、早速近くの山へ採りに行きました。出たての葉山葵はまだ小さく採るのもなかなか大変ですが、やはりこの春一番初めに採れたものには格別の喜びがあります。作り方も山葵漬を作るよりずっと簡単で、つけ汁を濃いめにすると日もちします。

【作り方】

葉山葵を洗いざくざくと食べやすい大きさに切ります。

多めの塩で良く揉んで灰汁をだし絞ります。

笊にとってたっぷりの熱湯をかけ絞り熱いまま密閉の容器に入れます。

密閉容器のまましゃかしゃかと振り冷蔵庫で一晩置きます。あとはお好みの出汁醤油でいただきます。

一株はコップに挿して花山葵        善子

今月の料理(三月)辛子和え

二月は逃げる、三月は去る。昔の人は面白い事を言ったものです。確かに一月は元日、今日は二日、今日は三日、四日は仕事始、松納と一日一日しっかりと確認しながら過ごします。ところが二月になるとその意識も薄れ、普段の月のように仕事や日常は曜日を意識して過ごす事が多いようです。ちょっとした事なのですが、この意識の持ち方が二月は逃げるように終わり、三月はあっという間に去ってしまう、気がつけばもう新年度が始まると言う思いにつながるのでしょう。

今年もまた、ゲリラ豪雨ならぬゲリラ雪?に悩まされた地方もありましたが、さすが三月ともなれば気持ちにも余裕が出てきます。気の早い処ではもう夏の食材の蚕豆
やグリンピースなどが出回っていますがこの時期一番おいしいのはやはり青菜の類でしょうか。

全国的にはわかりませんが、ここ新潟では最近の人気の品種に「アスパラ菜」という菜があります。小松菜のような葉に菜の花に似た花を付け、全体に少しほろ苦さを感じさせる茎の甘い菜です。他にも地名をとった「女池菜」「大崎菜」、「新井郷菜」「小針菜」、新潟市江南区の曽野木で栽培されている「そのき菜」など数多くの地域野菜があります。みなアブラナ科の野菜で、見た目はとても良く似ていますが、各々名前がついているのはきっとその土地の土壌に合うように工夫され少しづつ違った味わいがあるのでしょう。これらは春本番にむかっておいしくなる青菜です。和、洋、中華となんにでも使え重宝する野菜ですが、一番は取り立てを手に入れてお浸に。

今月はこのアスパラ菜をつかって辛子和えを作ります。お汁粉には隠し味の塩を使いますが、辛子和えの隠し味には砂糖を使うと味が決まります。

【作り方】
青菜(小松菜 菜の花 ちんげん菜)などを塩を入れたお湯でゆで上げます。
茹で上げたら笊にとってさまし水分を軽く絞り、だし汁にさっとくぐします。
これを軽く絞って辛子醤油であえます。

【分量】
青菜 二株ほど
醤油 大匙1杯から2杯
練り辛子 適量
砂糖 適量

お浸しの青菜に花の莟かな 善子

今月の料理【二月】酒粕のカナッペ

酒粕の甘酒は今風に言えばホットドリンク。子どもの頃寝る前によく頂いたものでした。昔の日本家屋は窓枠も玄関の戸も木製で古くなると何処からともなく入る隙間風や夜空を渡る北風の音に何となく心細い思いをしたものです。そんな夜にいただた暖かな飲み物は体だけでなく気持ちもほかほかとなった思い出があります。生姜湯を始め、風邪の時には焼き梅干しに海苔と葱散らしたもの、柚子や金柑のジャムにお湯をさしたものなどみな素朴な物ばかりでした。柚子湯などは火鉢に掛けた薬缶の熱湯を注ぐと部屋中に良い香りが立上がったものです。

そんな夜には一つの炬燵で兄や妹と勉強したり、喧嘩をしたりと泣くのも笑うのも炬燵にあたってでした。足をけった、布団の下に鉛筆を隠した等、些細な事で始まる言い争いもその頃食べたお八つも冬と言う季節があってこその思い出かも知れません。

さて、今月の料理ですが、最近は魚を粕漬けにしたり春になると山葵と和えたりと、調理にばかり使っていた酒粕ですが今月は板粕を使っておつまみを。お八つには焙った板粕にお砂糖を振りかけた物を食べた記憶がありますが、板粕は焙っただけではおつまみに甘すぎます。そこで、板粕にチーズやアンチョビなどを乗せて目先の変わったおつまみに。ここではアンチョビやチーズなど一般的なものを用いましたが、お酒の好きな方には酒盗なども良いかもしれません。色々試して自分好みの一品を楽しんでください。

【作り方】
板粕アンチョビとろけるチーズなど、お好みで。
板粕はオーブントースターでこんがりと焼きます。
アンチョビペーストを塗りケッパーの微塵切りを散らします。
同じように少し焙った板粕にチーズを乗せ、再びオーブントースターでチーズが溶けるまで焼きます。

à la carte_煤払

今年もあと十日程となりました。博多の総鎮守、櫛田神社で、二十一日朝から「煤払」が行われました。まず神殿で祝詞があげられ煤払をする神官と巫女、笹竹が祓われご神体がほこりをかぶらないように御簾がおろされます。白いたすきをかけた神官と巫女が5メートルほどの笹竹で一年間にたまった神殿の中の天井や梁の煤を払いました。その後、神殿を出て楼門や神門の煤も払われました。普段は掃除が行き届かない場所までほこりが払われて清々しくお正月を迎える準備が整いました。(真知子)

煤掃の煤をかぶるもよかりけり  真知子

今月の料理【一月】ポークの紅茶風味

年末年始の慌ただしい時期ちょと手の空いた時に作り置きが出来るお惣菜があるととても助かります。また、この頃は人の集まる機会も多く主婦は何かと心せわしいもの。そう毎日お鍋にする訳にもいかずあれこれ頭を悩まします。そんな時のお助けになる一品です。はじめていただいた時はローストポークかと思いましたが、お肉からほんのりと紅茶の香りがしてとてもさっぱりとしていました。
作り置きができるので、切り分けて大皿に盛れば人が集まった時にも利用できますし、オープンサンドなどにしてもいただけます。また、ローストポークよりずったあっさりしてお肉の臭みもありませんので、お年を召した方も違和感なくいただけるとおもいます。

ローストポークですと、オーブンが必要ですがこちらはお鍋一つで作れるため、温度調節などもいりません。豚肉の部位はお好みで結構ですが、紅茶が脂肪を分解してくれるので肩ロースなどの脂の多いところでも思った以上にさっぱりといただけます。付け合わせはオニオンスライスなど何でもあいますが、お肉がさっぱりとしているのでニンジンやサツマイモのグラッセなどバターを利かせたものでもバランスが良くいただけます。

【作り方】
豚肉は塊のままタコ糸で縛っておきます。鍋にお肉が入るくらいのお湯をわかして紅茶を濃いめにだします。紅茶はティーバックでもけっこうです。
煮だした紅茶にお肉をいれ火にかけます。中まで火が通ったら完成です。
肉の熱いうちに塩とコショウをすり込むようにしてラップできっちと包みそのまま冷めるのを待ちます。
別の鍋に林檎を煮てピュレ状にします。これに濃縮されたバルサミコ酢を合わせソースを作ります。バルサミコ酢はメーカーによっては甘みの強いものもありますので味を確かめながら、料理してください。

和風に仕上げるなら、醤油2 酒1 酢1 みりん1の割合で煮たてつけ汁をつくります。
引き上げたお肉をいれて一日くらい漬け込んで出来上がりです。こちらは酢が入っているので日もちします。

今月の料理(12月)_牡蠣蕎麦

soba  一枚残ったカレンダーを眺め、つくづくとこの一年の速かったことを思うのは毎年のことです。若いうちはクリスマスや年末休暇など楽しいことがあった年の瀬ですが、現役を退職し毎日が日曜日となると年末年始の混雑が返って煩わしく思えます。とは言え、自分ばかり世の中の時間の流れとは無関係に過ごせるわけではありません。

かたちだけになった年越しの行事ですが、それでも年越し蕎麦をいただき、新年を迎える気持ちはまだ、老若男女だれにでも残っているようです。縁起を担いでの年越しそばは大晦日にまわして、今月は今が旬の牡蠣を使った温かいお蕎麦です。牡蠣は煮すぎると硬く風味も落ちますのでさっと火を通すようにするとお蕎麦と共に喉越しよくするするといただけます。普通お蕎麦は醤油仕立ての汁ですが、ここでは塩で味付けし薄口?油で香り付しました。香りのよい三つ葉と海苔、柚子を一片添えて熱いうちにどうぞ。

【作り方】
鍋に出汁を煮たて牡蠣を入れさっと火を通します。
牡蠣に火が通ったら牡蠣だけをすくい、残った出し汁に塩、薄口醤油を入れて味を調ます。
蕎麦を器に盛り、煮立った出汁を加えて上に牡蠣と刻んだ三つ葉、海苔を盛り薄くそいだ柚子を添え   て出来上がりです。
【分量】
蕎麦一束 (一人前)
出汁  1.5カップ
三つ葉       適量
海苔  適量
柚子  適量
塩  約小さじ半分弱
薄口醤油 少々

今月の料理(11月)_白和え

%e6%9f%bf 秋に入って立て続けに台風に見舞わたせいか野菜の高騰が話題になっています。先日、東京に住む友人からレタスや葉物、ニンジンなどの値段を聞かされその馬鹿々しい値段に少し呆れかえりました。もちろん、便乗値上げなどもあるのでしょうが日常使う野菜が高いのは考えものです。こんな時は田舎住まいの良さを痛感しますが、地方も段々と都市の悪いところ?を真似て少しづづ野菜などが値上がっているのも事実のようです。

収穫の季節も終わり、刈り取った田にはこの暖かさでひつぢ穂が勢いよく育っています。この頃、見渡しの良くなった田圃に見かけるのはびっりしと実をつけた柿の木。昔は貴重な食糧だったのでしょう。梅と共にどの農家にも必ずと言ってよいほど植えてありました。以前、新潟から東京へ就職した知り合いが「東京では柿とイチヂクを売っている」と驚いて話してくれましたがこの風景を見ると納得します。こちらでは、柿やイチヂクは庭や野にあるものなのです。

さて、何もかも枯れて行く中で柿の実が赤々と実っているのはとても印象深いものです。昔は天の取り分として最後の一つを木につけたままにしておく習慣がありましたが、これが「木守」です。まだ、本格的な冬には時間がありマーケットには柿が沢山出回っています。今月の料理は柿を使った白和えです。精進料理などにはよく柿の白和えが用いられますが、少しアレンジして若い方にも好まれるように洋風にしてあります。柿ばかりでなく、手近にある果物を使ってお試し下さい。

普通白和えと言えば和え衣にお豆腐を使いますが、水切りが中々面倒です。そんな時は水切り不要の濃いお豆腐を使うと簡単に出来ます。ここで用いたもは普通のお豆腐よりかなり水分がぬけていてオリーブオイルと塩、コショウでいただくもの。商品名は「ナチュラル豆腐」とありました。丁度頂き物の柿がありましたので、柿とリンゴを使って仕上げてあります。キューイフルーツなどもおすすめです。

和え衣はお豆腐のほかクリームチーズを使っています。ここではお豆腐とチーズを同量でもちいましたが、チーズが苦手な方はお豆腐を多めにしてチーズで和え衣のコクを出すようにすると食べやすいと思います。

【作り方】
クリームチーズとお豆腐をよく混ぜあわせ和え衣つくります。チーズは冷蔵庫から出して室温に戻すと柔らかくなります。
リンゴは一部皮を残して剥き、柿と共に同じ大きさに切りチーズとお豆腐とで合えます。味は塩とレモンで整えます。果物の甘みが強い時はレモンを利かすとさっぱりといただけます。