朝日カルチャーセンター〈カフェきごさい句会〉12月
12月6日のカフェきごさい句会の兼題は、11月のカフェきごさいより、季語「冬の日」、料理「零余子」、花「りんごの実」。
【特選】
冬日影うるさし蠅を払ひけり 周作
あたたかい日向には蠅もやってくる。蠅が少ない時期だけに妙にうるさい。「うるさき」としないと意味不明になる。
日を浴びて池の面に散る冬紅葉 稲
「冬紅葉」ならでは。
【入選】
中島みゆき聴く冬の帰り道 澄江
中島みゆきの歌は冬に合う。字数は575になっているが、俳句は音なので、音足らずの感あり。
まだ喋りたりぬ様子や冬日差し 周作
短い冬の日を惜しむように。
それぞれの浮き方のある柚子を湯に 光加
沈みがちだったり、ひっくりかえったり。楽しい柚子湯。
枯蟷螂あをき眼玉がうごきけり 稲
眼玉だけが生き生きしている凄まじさ。「眼玉ばかりが」とするとより眼だけに焦点が。
日向ぼこ次の電車を待つ間 良子
なにげないスナップだが、感じがある。
友見舞ふひとひら桜紅葉添へ 澄江
「ひとひら」がいい。
ひと気なし蜜柑ころがる座敷かな 周作
蜜柑のひんやりとした感じがある。
小気味よく紺足袋動き畳替 守彦
きびきびした様子が見える。
凩と先を争ふ木の葉かな 周作
凩と木の葉だけの世界。
星となる神話に遊び冬籠 隆子
「となる」がうるさい。「星の神話」。
月の輪を胸に眠りぬ洞の熊 隆子
もう少し実がほしい。
禁断の蜜をたつぷり林檎の実 隆子
イブの林檎が見えすぎるが、食べてみたい林檎。
12月の兼題は、季語「冬座敷」、料理「蓮根」、花「シクラメン」。
冬の日や沼に水輪のまた一つ 光枝