西洋だんちく

撮影/中野義夫

撮影/中野義樹

夏にデモンストレーションを依頼されると、花材のひとつに暖竹(だんちく)を選ぶことがあります。

原産地が日本であるだんちくは緑の葉のものが多いのですが、作品をいける時には私の好きな、葉に緑と白の縞があり、ヨーロッパから入ってきた西洋だんちくといわれる園芸品種のものを使います。大正から昭和初期の粋な女性が初夏に着る大胆な縞のきものを連想させられ、その斑入りの葉のもたらす涼感にひかれるからです。

だんちくの厚めの葉は一枚ずつ茎を囲むようにつき、下方へと緩い弧を描きます。秋が近づくと花穂が出てくるだんちくの別名は葦竹です。節もあることから竹の種類かと思われがちですがイネ科の植物で、成長すると4mをこすこともあります。丸い茎を切るとシャキッという音がしてこの植物の性質が手を通して伝わります。いけるときは茎を水の中で切り、切り口を酢に浸すと新鮮な状態の時間を伸ばすことができます。

西洋だんちくは英語ではgiant reed でreedとは葦をさします。日本語でいうと巨大葦ともいえるでしょうか。音楽でreed(リード)といえば、サックスやクラリネットなどの管楽器を吹くのには特に大事なもの。直接唇にあたる部分の形や性質によって演奏の音も違ってきます。リードの素材はだんちくや葦であることが多く、繊細で個性があり同じものはないので、思うような音を出すため自ら削る方もあるといわれます。だんちくや葦の中空の茎は、その組織を見てみると、水を上げ空気を通す管の直径が他のものより大きいとのことです。ちなみに和楽器では篳篥(ひちりき)も本体は竹ですが、蘆舌(ろぜつ)と呼ばれるリードには葦が使われ、この部分に使われる最適な性質の葦をまず育てることが重要なのだそうです。

知人がクラリネットを演奏するとき、楽器本体からこのリードを外して演奏直前まで水に浸けたり出したりしていました。乾燥すると乾いた音になってしまうので、ということでした。

だんちくや葦のリードを通して管楽器の中に吹き込まれる息は演奏する人の独特の音色をかもしだし、つぎの瞬間に消えてゆきます。人は自然といろいろなかかわり方をしますが、小さなリードを通して、ともすれば捉えどころのない自然界の一端につかの間とは言え、ふれる幸運を味わうこともできるのです。(光加)

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