今月の料理(十一月)_柚子のママレード
初夏に可憐な花をつける柚子はお盆近くになると小さな硬い実をつけます。
歳時記上では秋でもまだまだ暑い日が続く頃、その真緑の実をみかけるとほっとします。とりわけ心もち早まった夕暮れの食卓に、柚子の香る一椀のお吸い物でもあれば、ちょっと贅沢をした気分になりませんか。青柚は熟した柚子とは違った、緑の匂いと仄かな柚子本来の匂いが混ざった可憐な香りが魅力です。
11月は変化にとんだ月で、北海道では何度目かの雪がふり、温かい所ではまだ紅葉の盛りだったりします。東京あたりでは、暖かで穏やかな晴天の日が続きますが、さすがに日暮れの早さに季節の移ろいを覚えます。この頃になると柚子もぐっと値が下がり、庭に木をもっている方などからその実をいただく事もあります。
柚子の使い道は食べるだけでなくお風呂などにも利用出来ますが、もし柚子が沢山手に入ったらジャムにしてみませんか。二三度茹でこぼす手間はありますが、香りの良い何よりも安心できる手作りのジャムです。柚子の香りが生きていますので、お魚やお肉を漬ける時お砂糖の代わりに使うと香りもよく重宝します。
寒い夜は熱湯で溶かしてお飲み下さい。
【作り方】
柚子は皮をむいて刻みます。
二三度茹でこぼして苦味をとり、残った実の部分はざっと切っておきます。
この実の白い綿の部分と種を、ひたひたの水で煮ます。この汁にペクチンが入っているので、これを笊でこして刻んだ柚子の皮の部分を煮てゆきます。
柚子の皮が柔らかくなったら砂糖を数回に分けて入れます。
甘さはお好みで。お砂糖は数回に分けて入れて下さい。
竹籠の中の柚の実の照らし合ふ 善子