葉ぼたん

habotanお正月に勢いのある大きな花を使いたい、となればこの葉ぼたんが挙げられるのではないでしょうか。気温が下がるとともに花壇にも白や赤紫、紫やうすピンク、クリーム色などが鮮やかさを増す葉ぼたんを見かけます。もともと人目を引くような冬の花は限られていますが、この植物は大きいものだと直径50cmにもなります。葉が重なり、その重なり方が牡丹に似ているので葉ぼたんと名前が付けられたそうです。

元はキャベツと同じアブラナ科で、球を結ばないキャベツといってもいいでしょうか。ヨーロッパのケールを改良したものでdecorative kare(装飾用のケール)といい、18世紀に野菜として入ってきたといわれています。このケールという名をどこかで聞いた方もあるはずです。

野菜の中では栄養価が極めて高いことから、今はやりの青汁にもケールが原料として使われていることが多いのです。

観賞用である葉ぼたんは葉の形も縁がチリチリとしたちりめん型のものや、丸みをおびた丸葉型のもの、細かい切れ込みのある切れ葉型のものなどがあります。サイズも前述の大きなもののほかに、すっと伸びた茎の上についた小ぶりの可愛らしい葉ぼたんも園芸品種として栽培されています。

ヨーロッパではあまり見かけないと思っていたのですが、先日いけばなの仲間の写真の中にモスクワの方が霞草と共にいけられているのを見ました。どこかの国から輸入されたのでしょうか。それともロシアの中でも比較的暖かい地方から来たのでしょうか。

春になると、葉ぼたんの中心の花茎が伸びはじめ、やがてその先に、なるほど、アブラナ科だったのだと思い起こすような黄色い花を付けます。このひょろひょろと伸びている状態を「薹がたつ」といって必ずしもいい意味では使われない言葉があてはめられますが、春の日差しの中でのびのびと、すっかりリラックスしきった表情はユーモラスで面白いと思います。

元の葉はかすかながら貫禄をのこし、一方では軽みと可笑しさとともに峠をこした生き物としての植物の悲しみを感じさせる味わいのある薹のたった葉ぼたん。お正月のピシリとしまった葉のものもいいけれど、春の盛りの葉ぼたんもいつかいけてみたいと思うのです。(光加)

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