a la carte 雪紅梅
先日、季語と歳時記の会主催の「第五回きごさい講座+句会」に参加しました。
講師は、虎屋文庫の中山圭子さん。「梅の菓子の魅力」について講演されました。講演の後は質問の時間があり、すてきな笑顔でわかりやすく答えてくださいました。和菓子の世界に遊んだようで、実に和やかで楽しい講座でした。
古くは木の実や甘葛(蔦の樹液を煮詰めたもの)の甘味を楽しみ、餅や団子が唐菓子、点心、南蛮菓子などの外来食物の影響を受けて発展してきたという和菓子の歴史、砂糖が広く使われるようになった江戸時代に和菓子が大成したというお話を興味深く聞きました。
江戸時代の京菓子司の梅花餅、うす雪餅、山吹餅、などの菓銘は四季や古典文学の情趣を連想させ、琳派の作品の影響を受けた洗練された美しい色形は、今の上菓子に受け継がれています。
梅は花の魁で、雪や霜の中でも凛として咲いています。可憐な梅は馥郁とした香りが魅力です。また、慶事のイメージもあります。寒紅梅、霜紅梅、雪中の梅、夜の梅、梅が香などの菓銘を聞くだけでどんな菓子だろうと想像力がかきたてられます。
和菓子の意匠にも、絵画のように「具象」と「抽象」があり、「具象」の方が人気があるというお話もおもしろかったです。
楽しいお話を聞いた後、梅の菓子を食べたくなり早速買いに行きました。写真の菓子は湿粉製棹物を切り分けたものです。菓銘は、「雪紅梅(ゆきこうばい)」です。【「雪紅梅」は、冬の「かさねの色」(平安貴族の衣装の色合せで、季節ごとに植物などの名称がつけられている)にちなんでおり、紅梅に雪がうっすらとかかったさまを表しています。】との説明がついていました。
上下が、そぼろ状で真中が練り羊羹になっています。昔の人々の春待つ心に想いを馳せながら、春のさきがけの梅の菓子をおいしくいただきました。
春をよぶ雪紅梅のかさねかな 洋子