朝日カルチャーセンター〈カフェきごさい〉句会 1月
1月の兼題は12月の「カフェきごさい」より、季語「暖房」料理「冬のお菓子」花(植物)「蜜柑」です。
【特選】
拝殿の狼白し大旦 周作
大犬様を祀る神社の淑気みなぎる元朝。
また一つ口にも入れて蜜柑狩 澄江
蜜柑を籠に入れながら、口にもひとつ。蜜柑狩りの様子をいきいきと描いた。
大太鼓淑気貫き響きけり 守彦
「淑気貫き」という力強い表現に正月らしい心映えが溢れる。
【入選】
色白の姉は母似や切山椒 澄江
もちもちとした切山椒と色白の女性が呼応する。作者の姉に対するちょっと複雑な心持ちも感じ取れる一句。
枯蓮のへの字くの字に折れにけり 守彦
「への字くの字」と重ねたことで蓮池の混沌とした様子がわかる。
東京がくるりと見える寒さかな 守彦
「ぐるり」か。
初東風や二十歳の袂膨らみぬ 澄江
言葉の運びがスムースでないため、ごちゃごちゃした印象に。「膨らみぬ」ではただの現象、「膨らませ」。
生家あと草むらとなりて雪中花 稲
「あと」「て」は不要。この句の場合は「水仙花」のほうがいい。
日をうけて冬草ことにみどりなす 稲
「冬草」は冬でも緑をとどめている草。そのわずかな緑が日を受けて浮き立つ様子を描いた繊細な句。
年の豆手にあまるほどありにけり 守彦
このままでは報告止まり、この先を詠みたい。
2016年の初句会は、新年のいきいきした句が揃いました。そんななか、内容を欲張りすぎて焦点を結ばない句も見受けられました。何を一番表現したいのかを考えて、捨てるものは捨てる推敲を。今年も前へ前へ進んでまいりましょう。2月の兼題は1月の「カフェきごさい」より、季語「七草」、料理「餅」、花「裏白」です。
凩や乾鮭の腹覗きゆく 光枝