今月の花(2月)柊
雪の予報が気になる一月も終わりのある晩、久しぶりの赤坂の割烹で冬のお料理を囲みました。次々と運ばれてくるなか、小鉢に彩りの京人参、その上に柊の葉が一枚。あと数日で節分、春も近いというわけです。
立春の一日前、節分には家の戸に鰯の頭と共に棘のある柊の小枝が飾られるというのですが、今では都会ではほとんど見かけられなくなってしまいました。節分の柊はこの時期、花屋さんにも置いてありません。さされている鰯の臭い、それをめがけて鳥などが来てしまう――などの理由もあるのでしょうか。
「ひいらぎ」の漢字は、木へんに冬と書く「柊」のほかに「疼木」という字があります。葉にある棘をさわったときの感触が「ひいらぐ」つまり、ひりひりとするという言葉からきているそうです。さすがの鬼もこの痛いものは苦手なのでしょう。
柊は老木になると葉の棘もなくなり、葉の形も楕円に近くなってしまうとか。鬼を追い払うのは鬼が触れると思わずすくむ、「ひいら」げさせる鋭い棘のある葉のついた若い枝に任せようというわけでしょうか。
柊は福島以西の山の中にあるだけでなく庭木としても植えられることがあります。もくせい科に属すので初冬には白くて香りのある小さな花を葉のつけねにたくさん付けます。やがて結ぶ実は赤ではなく、紫黒色で6月頃につくので、じつはクリスマスには実はないのです。
クリスマスの時には艶のある緑の葉のもの以外に、金や銀の色を吹き付けていけられたり、飾られることもあります。また、確かに赤い実を付けた柊も見かけますが、これはセイヨウヒイラギや、ひいらぎもちでモチノキ科のものです。
子供の頃、豆まきは「鬼は外」は戸をあけて大きな声で、「福は内」は家の中で少し小さな声でね。」といわれ、大声を上げるのをご近所に聞こえたら恥ずかしいと思いながら豆まきをしたものです。
豆まきをしたあと、年の数だけ豆をいただく、とはとてもできないような年を重ねてしまいました。あとの掃除を考えると豆を撒くのもほんの少しだけにしてしまいます。
春を元気に迎えるには、せめて声だけは元気よくはりあげ「おにわぁ-そと!」といきたいところです。(光加)