朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会 5月
今月の朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。兼題は4月の「カフェきごさい」サイトより、季語「霞と朧」料理「クレソン」花「花あせぼ」です。
【特選】
クレソンを浮べて清か金盥 今日子
金盥の質感が活きている。
空青くクレソン青く水青く 栄順
クレソンの生命力。
【入選】
百円と書かれ筍道の箱 弘道
箱をはみ出している育ちすぎた筍が目に浮かぶ。
友来たり岩魚酒汲む夏はじめ 守彦
全て言ってしまっているのが残念。「夏はじめ」をもう一歩深い表現にする工夫を。「汲む」は「酌む」。
クレソンよ大地のごときビフテキよ 栄順
主役はビフテキだがクレソンは欠かせない。
見上ぐれば大きな木なり若葉ゆれ 守彦
「若葉ゆれ」がいい。ただ、何の木かはっきり言わないとただのつぶやきに。
クレソンや花もろともにおひたしに 隆子
「花もろともに」が豪快。ただし類句がある。
大瑠璃の声聞こへけり木の葉陰 弘道
よく繁った夏の山。「声」といえば聞こえるもの、わざわざ言わなくてもいい場合も。「聞こへけり」→「聞こえけり」。
沢蟹のバケツに騒ぐ雨上り 守彦
夏の空気感がよく表現されている。
しっかり描写することと、述べすぎてしまうことの違い、ことばの選び方、運び方に気を配ることが大切です。6月の兼題は5月のサイトより、季語「夏の嫌われ動物」料理「山独活」花「山百合」です。
身じろぎもせずくまモンの朧かな 光枝