朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会 6月
今月の朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。兼題は5月の「カフェきごさい」サイトより、季語「夏の嫌われ動物➀」料理「山独活」花「山百合」です。
【特選】
空つぽの象舎に今日の青葉風 弘道
「青葉風」がいい。「今日の」が少しくどい。
山百合をのこし裏山草を刈る 稲
この手の草刈りの句は類句があるが、きちんと詠んでいるので山百合が見えてくる。
【入選】
山深く風の道あり百合の花 隆子
人目に触れることなく開く百合。
喧しく急接近の藪蚊かな 周作
一匹とは思えないほどの羽音。
草刈女籠の山百合ゆれてをり 稲
「籠の山百合」がいい。
孑孑の潜る深さや青い空 周作
孑孑はこんなに深くは潜らない。
独活丈くるはやさに春は闌けゆけり 隆子
言葉の運びがまどろっこしい。
全身で鼓動打ちたる蚯蚓かな 今日子
「鼓動打つ」という表現は蚯蚓の様子には合わない。もっと静けさを感じさせるもの。
独活一本みやまの風をまとひけり 隆子
「一本」がわざとらしい。
何に心動かされたのか、何が一番いいたいのかを常に見定めていくこと。焦点が合わない俳句は弱い。7月の兼題は6月のサイトより、季語「夏の嫌われ動物➁」料理「琥珀ゼリー」花「ミント」。
山百合や一片の雲去りがたく 光枝