ネット投句(8月) 飛岡光枝選
【特選】
祭足袋こはぜを強く挿しこみぬ 周作
これから神輿を担ぐのだろうか。祭りにかける意気込みが伝わる一句。
露草や絵筆の先のひとしづく 涼子
露草はまさに一滴の絵の具が花になったような風情。はっとさせられる一句。
【入選】
八月の墓標かカンナあかあかと 隆子
印象鮮明。「八月の墓標」であり「夏の墓標」であるカンナ。
茄子の馬父母送る友とせむ 弘道
「送る友とせむ」がごちゃごちゃしてしまった。何を言いたいのかを見極めて、必要ない言葉は整理してすっきりと表現したい。「父母のよき友となれ茄子の馬」。
新生姜下駄に素足の石畳 周作
「石畳」は不要なので、下五でもっと情景が描ける。「素足に下駄」。
蝉時雨イチローすぐに三千本 周作
面白い取り合わせ。「すぐに」ではただの説明。「蝉時雨イチローはるか三千本」。
のぞき込む顔もめぐりて走馬燈 涼子
「顔もめぐりて」では、顔がぐるぐる回ることに。せめて「顔に」にしないといけないが、走馬燈なので「めぐり」はいらない。「のぞき込む顔に映りて走馬燈」。