【入選】
お月見や団子の替りカステイラ 今日子
「お月見の団子の替りカステイラ」。切れの見極めを。
火祭りの火消へ闇に人の散る 弘道
ことばリズムに気を配ること。「火祭りの火は消え人は闇に散り」。
祭壇に現れし花野や母逝きぬ 涼子
「花野」に母上の人柄が偲ばれる。「祭壇は花野となるや母逝きぬ」。
母の遺影見つめてをれば夕かなかな 涼子
「をれば」を消したい。「母の遺影見つめる我に夕かなかな」。
わが山はすこし遅れて粧ひぬ 隆子
植物の種類の関係か、周囲の山より遅れて紅葉になる山。「わが山」一考。
炎天下釣師ひとりに瀬音かな 周作
真夏のしんとした渓流釣り。「炎天の釣師ひとりの瀬音かな」。