今月の花(十二月) カトレア

ran師走に入ったころ、テレビの画面の歌謡祭で受賞者たちの胸につけられていたのは大輪の紫ピンクのカトレアでした。直径が15センチもあろうかというその花は、受賞者が挨拶をしたり歌うとき、あたかもつけている人の喜びと緊張を伝えるかのごとく震えるように揺れていました。あれは20年くらいも前だったでしょうか。それ以来私には、カトレアは晴れの日の花というイメージがあります。

カトレアは蘭科に分類され、属名をカトレアといいます。19世紀の英国人ウイリアム カトレ―という蘭の愛好家にちなんでその名がつけられた蘭の一種です。花は中央に上(背)萼片と二枚の側萼片があり、それに二枚の花弁とからなっています。口唇または唇弁(リップ)と呼ばれる突き出した部分があり、その縁はフリル状になっています。カトレアのなかでも代表的な、カトレア ラビアータの「ラビアータ」は口唇のあるという意味、また英名のautumn cattleyaは、秋のカトレアという意味です。花の咲き具合は日照時間に関係があり、元々は日の短くなった秋に咲いていたのでしょうか。今はそれぞれの季節に咲く品種があります。

交配種は様々で、黒とブルーを除き花弁や口唇の色は思いのまま、花のサイズも小さいものから大きなものまであり、数輪の花をつけるものもあります。

短い茎のついた花を高くいけようというときは、その茎を長さ数㎝の水のはいったプラスチック製の筒に差し込み、その下部についている棒の長さを切って調節しなければなりません。高さのある花器の口元にそのままカトレアの短い茎をいれて水を飲ます、ということもできますがいけるときの花の位置はほとんど定まってしまいます。思った通りにいけたいとなると、なかなか厄介な花なのです。

薄ピンクや黄色の小ぶりで優しげなカトレアは、数輪家の中に飾ると気分も華やぎます。ところが大輪の豪華なカトレアが一輪いけてある空間は落ち着きません。蘭の中の女王という孤高のカトレアにじっと見つめられていると一対一で勝負を挑まれているような気がしてきます。

原産地は中南米で、その太く丈夫な根で他の植物の幹や枝、石などにまで着生して肉厚の葉を持つカトレアですから、そんじょそこらの花とはたくましさが違うのです。貫禄の差でしょうか。(光加)

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