カフェネット投句(11月) 飛岡光枝選
【入選】
柿加へ白和え少しよそゆきに 涼子
「加へ」がかたい。「白和え」→「白和へ」。「柿たして白和へ少しよそゆきに」。
開拓の夢の小豆ぞ引きつがむ 隆子
「小豆引く」と「引き継ぐ」を足したようなことばに無理がある。「開拓の夢の小豆を引きにけり」。
きちきちを両手広げて追いにけり 周作
「両手ひろげて」に少年の(ような)わくわくする心が表現された。「追いにけり」→「追ひにけり」。
前々と這いずり回る南瓜かな 周作
「這う」に南瓜が地面の上で実る様子が感じられる。が、「前々」は意味不明、「這いずり回る」は大げさ。「這い」→「這ひ」。
綿入れも死語となりしや冬来る 弘道
「綿入れも死語となりしか冬来る」。
音もなくただひたすらに木の葉降る 弘道
「ひたすら」がいい。ただ、木の葉でこのような句はたくさんある。この句に「音もなく」はなくてもいいので、より自身に引き寄せた表現をする工夫を。
窓を打つ木枯らしの音眼鏡拭く 弘道
「音」はいらない。
【投句より】
くり抜かれお化け提灯大かぼちや
・そのままを説明しただけになってしまった。
夕日より茎の赤しよ蕎麦を干す
・「夕日より茎の赤しよ」が冗長で赤が見えてこない。
ぽつぽつと綿咲く道に乳母車
・この「に」の使い方注意。とたんに説明になる。