カフェネット投句(二月)飛岡光枝選
豆を撒く飼ひ馴らしたき鬼もゐて 涼子
豆で鬼をおびき寄せている?!空恐ろしい一句。原句は「飼い馴らしたき鬼もゐて豆を撒く」。
幼子は小さき籠に土筆摘む 弘道
一心に土筆を摘む子供。原句の「幼子と小さき籠に土筆摘む」ではただの報告になってしまう。
【入選】
面影は花すかんぽの色に褪せ 隆子
「すかんぽ」にはなつかしい響きがある。
無防備の土筆一本風に立つ 隆子
確かに土筆の様子は無防備。原句は「無防備の土筆一本胸の中」。
忘れえぬ人の数々土筆和 弘道
原句は「忘れえぬ景の数々土筆和え」。より焦点を絞ること。
土手にはや土筆出たぞと理髪店 周作
髪結床の噂話。春のにぎやかさが伝わってくる。原句は「土手にはや土筆出たぞや理髪店」。
菜の花に地蔵隠れし櫓かな 周作
いつもなら櫓から見えるお地蔵さま、今は菜の花が揺れるばかり。
粕汁や岸壁に舞ふ波の花 涼子
きびしい厳冬の景と湯気を上げる粕汁と。過不足ないしっかりとした一句。