カフェきごさいネット投句(6月)飛岡光枝選
沼や湖に群生する杜若。明るい水辺に咲く印象が強い杜若だがこの句は樹下の杜若。杜若の濃い紫に夏の闇をとらえた。杜若の存在感が際立つ一句。
【入選】
馥郁と黴びて上々チーズ食ぶ 隆子
チーズは黴が命。全体に大人しく収まってしまっている、もう一歩踏み込みたい。「馥郁と黴びて青々青チーズ」!などなど。
雪嶺を映し静まる苗田かな 弘道
苗を植えたばかりの田の清々しさ。頭から最後まで続いてしまったので、どこかで切って広がりを持たせたい。「雪の嶺映して静か苗田かな」。
山葵田の水滔々と夏来たる 弘道
雪解けの水が山葵田を潤すころ、ようやく夏が来る。
噴水を投網の如く青嵐 周作
「噴水」「青嵐」大きな夏の季語がふたつある。句は「青嵐」を季語として作っているが噴水の句としての方が面白い。「噴水は投網の如し大嵐」。