朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会(九月)
九月のカフェきごさい句会、兼題はカフェきごさいサイトより今月の季語「秋澄む」今月の料理「ポテ」今月の花「水引草」です。
【特選】
あと数回通る道かや鰯雲 周作
「あと数回」では句にならない。「あといくたび通る道かや鰯雲」。
野分去り良き日となりぬ敬老日 守彦
「敬老日」は、祝う側も祝われる側もとかく斜に構えてとらえがちだが、掲句からは心からの祝意が感じられて心地よい一句となった。「野分」は「台風」とするとより実感に近くなるか。
行く秋を乗せて大川流れけり 弘道
「この秋を乗せて大川流れゆく」。句全体で「行く秋」を醸し出す。
【入選】
秋冷の塀に忘れし竹箒 周作
竹箒の柄の冷たさが感じられる一句。「忘れし」では少しお膳立てが揃いすぎるので「立てかけ」など手触りの感じられることばを使いたい。
ポテを煮る鍋へどつさり茸かな 涼子
「ポテを煮る鍋へどさつと茸かな」。より茸の存在感を。
書の並ぶ漱石山房秋の風 弘道
難しい顔をして書画の前にいる漱石。「秋の風」が効いている。
瓶洗ふ秋日にかざす時間かな 周作
「瓶洗ひ秋日にかざす時間かな」。瓶の中に閉じ込められていた時間。
露時雨獣の臭い消し去りぬ 周作
人間の知らない獣たちの時間。「臭ひ」。
「ポテ」は「ポトフ」同様、肉や野菜を煮込んだ料理。今年も温かい料理が恋しい季節になりました。 肉塊を煮込むも冬の支度かな 光枝