朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(十月)
朝日カルチャーセンターの「カフェきごさい句会」、十月の兼題はカフェきごさいサイトより、季語「今日の月、後の月」料理「栗汁粉」花「きささげ」です。
【特選】
きささげの実の飛び散つてゆく秋ぞ 隆子
十メートルもの高さになるきささげの木。そこから四方に秋が飛び散ってゆくような一句。
【入選】
秋の蝶誰が墓探しひらひらと いさみ
「秋」の一字がよく効いているしみじみとした一句。句の形もよい。
彼岸花祖母のいましめなお苦し いさみ
おばあさん子だったからこその思いか。「なほ」。
後の月路上ライブの声掠れ 涼子
「後の月」の季節感を捉えている。
水落ちて渦巻く中やけふの月 周作
「中」が曖昧。「渦巻いて水落ちゆくやけふの月」。
葱下げて女夕闇過ぎりけり 守彦
葱だけが白く浮かんでくるような不思議な一句。
駅ナカに月餅を買ふ今日の月 涼子
「今日の月」ときっちりと置いたことが成功。駅の外で煌々と照っている月が思われる。
あか松を植ゑて大松茸を待つ 隆子
欲望の権化になって詠んだ一句。叶わないからいい。
煮大根白味噌の湯気温かき 守彦
醤油味ではなくこの大根は味噌味。白味噌の「白」と大根の「白」に湯気の「白」。
大空を飛ぶ風を待つ一葉かな 隆子
すっきりと詠んでいるが、「一葉」の説明になってしまった。
膝に子を抱いて一茶の小春かな 隆子
長くは続かないとわかっているからこの「小春」は切ない。
故郷の山々思ひ芋洗ふ 弘道
故郷の山々と言えば思っているに決まっているので「思ひ」は不要。「故郷の山洗ふごと芋洗ふ」。
今月は季語の本意を踏まえた力作がある一方、季語の説明の範疇の句も多く見うけられました。自分の句はどうか極力客観的に考えて、よりよい季語を探すなど今一度見直しましょう。
きささげの弾けんとして夕日濃し 光枝