カフェきごさいネット投句(十二月)飛岡光枝選
さながら寒波に見舞われている昨日今日の北国のごとし。上五中七の省略のほどが秀逸。「一睡のあとの車窓や雪しまく」。
大年の近江の湖も暮れにけり 弘道
「おおどしの」「おうみの」「うみも」のゆったりしたリズムが、新しい年を迎えるに相応しいおおどかな心持ちを感じさせる。
【入選】
額を打つヒマラヤ杉の木の葉雨 涼子
見上げるとはらはらと降る木の葉。枯れたヒマラヤ杉の葉は針のようだと聞くが、額は大丈夫?
凩に飛び乗る一葉一人旅 周作
上五中七の勢いは凩らしくとてもよいが、「一人旅」は要再考。凩が急に呑気になってしまった。緊張感のある言葉を探したい。
葱の香のはつらつとして行く年ぞ 隆子
葱の香りに送られて終わる一年。
【投句より】
「夜更けても灯る窓あり夜食粥」
「底冷えや心底ここは京の町」
どちらの句も言葉や意味が重複していて季語の説明の域を出ていません。
「枯蔦の影移ろひて紅茶冷む」
時間が経ったので紅茶が冷めたと説明しただけになってしまいました。
「窓を背に冬暖かやローカル線」
何(誰)が窓を背にしているのか状況がわかりません。自分の句を客観的にみる習慣をつけましょう。
来年もぜひ様々な句にチャレンジしてください。どうぞよいお年を!(光枝)