朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」一月
「カフェきごさい句会」一月の兼題はサイトより、今月の季語「雪」、料理「木の実粥(七草粥)」、花「寒梅」です。
【特選】
寒蜆まるまるひとつ絵の手紙 周作
「まるまるひとつ」により寒蜆の存在感を過不足なく表現。講座では下五を「絵手紙に」と提案したが、「絵手紙」という手垢の付いたことばより原句の通りの「絵の手紙」の方が断然いい。訂正します。
寒波来るへうたん池がへうたんに 涼子
寒波と瓢箪との関係も、瓢箪池が瓢箪になるということも説明はつかないのだが、ただならぬ緊張感がある一句。より緊密にするために「寒波急へうたん池がへうたんに」などもあるか。
待春の鳥ののこせし白き糞 隆子
「白き糞」が春の気配と呼応。ただ原句では白い糞に集約していく作りなので少しもたつく。より軽やかな形にしたい。「待春や鳥が落して白き糞」など。
【入選】
懸想文一枚買つて春迎ふ 弘道
懸想文を買おうという心持ちが春らしい。
よく晴れてざつくり踏みぬ霜柱 守彦
霜柱を踏んだだけでは句にならないが、「よく晴れて」で寒中の青空が目に浮かぶ一句になった。
おさなごのひとみうるはし梅の花 道子
「うるはし」がとてもいい。原句は「おさなごのひとみうるわしゆびにぎる」。
たましひのおのづと光れ花八手 隆子
「花八手」は動くかもしれないが、八手の花のぴんと張った様子は上五中七によく合っている。
ぶち独楽とめんこは遠し冬校舎 弘道
「冬校舎」ではただの場所の説明。より世界を広げたい。「ぶち独楽とめんこは遠し春の雪」など。
ゆきだるま色とりどりのボタンつけ 道子
こんな雪だるまにはぜひ合ってみたい。平仮名、漢字、カタカナの使い分けが的確。
ふるさとや我が靴跡に雪しずる 勇美
「しずる」は旧仮名遣いでは「しづる」。「しづり雪」は木の枝などから落ちる雪のことでこの句には合わない。歳時記をよく読み季語を的確に使いたい。雰囲気で使わないこと。「ふるさとや我が足跡に雪ふれり」など。
海鳴りの旅なほ半ば冬銀河 勇美
前句も同様だがこの作者の句には遥かなるものを感じさせる独特の世界がある。
新メンバーも参加の初句会。上々の句が揃いました。
百畳のたたみの氷る梅の花 光枝