カフェネット投句(二月)飛岡光枝選
無人となるのは自分の家か、はたまた日本、地球かもしれない。椿だけが赤々と点る。作者新境地の一句。原句は「いつの日か無人となりし椿咲く」。
菜の花や夕日の中に観覧車 勇美
暮れかねている春の夕べを印象的に描いた。原句は「菜の花や夕日の中の観覧車」。
豆撒きの豆香ばしや青畳 勇美
炒りたての豆だろうか、青畳に跳ねる様子が見えるよう。春を寿ぐ一句となった。
【入選】
薄氷すいと木の葉を載せてゆく 涼子
わずかな風にも動く春の氷。原句は「薄氷すいと木の葉を載せて行く」。
寒風や夕日の色の丸の内 周作
冬の澄んだ空気のなか、ビルの立ち並ぶ丸の内がオレンジ色に染まる一時。原句は「寒風や夕日まだある丸の内」。
護国寺の闇あらたかに追儺かな 隆子
新しい命がはじまる闇。原句は「護国寺は闇あらたかに追儺かな」。
老梅のそつと恥ぢらひ咲きにけり 弘道
人間もかくありたいと思わせる梅の花。原句は「老梅やそっと恥じらい咲きにけり」。表記、仮名遣いご注意を。