カフェネット投句(四月)飛岡光枝選
桜の頃は日本中が花の国になったよう。原句は「咲き満ちて名も無き山も花の山」。名前が無い山は無い、自分が知らないだけ。「名も無き~」など常套句は句を空洞化するので注意。
風に乗る校内放送花りんご 勇美
林檎の花が白く咲く頃、北国のまだ冷たい風を感じさせる。
【入選】
和三盆うち出す阿波の桜貝 隆子
ほんのり甘い桜貝。原句は「桜貝うち出し阿波の和三盆」。
ともに聞く人ゐてうれし初音かな 隆子
「うれし」ではただ事。「ともに聞く人ゐてはるか初音かな」など。
さらさらと軽き雨音花馬酔木 勇美
馬酔木の花の質感が出た。原句は「さらさらと雨音軽し花馬酔木」。
菜の花や同行二人笠がゆく 涼子
菜の花原をゆくお遍路さん。「笠がゆく」がいい。原句は「菜の花や同行二人の笠がゆく」。
【投句】より
「スカートを翻し行く銀座春」
全てを言ってしまい、かえってあまり伝わらない句になってしまいました。
「国原の春泥たらん埴輪かな」
泥でできたいる埴輪と春泥は近すぎです。「国原の春泥たらん我が一生」など、離すことが大切。