「カフェきごさい」 ネット投句(二月)
冬のはりつめた空気のなかではくっきりと見えていた比良の山々。まだ雪残る山並みを煙らせて、ささやくように降る春の雨。
温めずし花をいざなふ雨となり 隆子
湯気につつまれてより色鮮やかな錦糸卵やきぬさやが春を誘う。
【入選】
梅の香の我埋め尽くす峠道 和子
峠道にさしかかったとたんに梅の香りに襲われた。「梅の香や我埋め尽くす峠道」。
芽柳の影をゆらして棹をさす 涼子
芽ぶいた柳も川浪もゆれる春の日。「棹さして芽柳の影ゆらしけり」。
蒸し寿司の碗ほのぼのとあたたかし 涼子
春を待つあたたかさ。
昨日とはちがふ水音ねこやなぎ 勇美
日に日に春の足音が高くなる。
白鮠の斑のすがしさよ龍太の忌 隆子
すっきりした鮠の姿が龍太の俳句に通じる。
桃の酒酌むやまぶしきとも白髪 隆子
桃の酒の明るさがいい。