朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」三月
新宿朝日カルチャーセンターでの「カフェきごさい句会」今月の兼題はサイトより三月の季語「朧」、花「黄梅」、浪速の味江戸の味「花見だんご」です。
【特選】
比良の山揺れて漂ふ蜆舟 弘道
琵琶湖での蜆漁だろうか。遠景の山に抱かれた春まだ浅い景色。より印象的に「比良の雪揺れて漂ふ蜆舟」など。
花見つつ団子を買ひに舟出さん 隆子
言問団子屋の近くには渡し場の跡が残る。懐かしい春爛漫の心と景色。
光陰の裳裾おぼろに立木仏 涼子
歳月にさらされておぼろおぼろと立つ仏。「裳裾おぼろ」が秀逸。「に」を消す工夫がほしい。
【入選】
朝食のネーブルの香をまとひけり 涼子
すっきりとした句の形が内容によく合っている。よき一日。
木々芽吹く貴景勝は大関に 涼子
季語「木々芽吹く」が少し弱い。
朧夜に消えて舞子の下駄の音 弘道
「消えて」「舞子」「下駄」「音」と全て言ってしまい、朧ではなくなってしまった。
小綬鶏の拍子に春は脈打つて 隆子
「小綬鶏の拍子」が今一つわかりにくい。
春風駘蕩言問だんごに味三つ 涼子
字余りの上五の勢いが生きている。
花誘ふ言問団子雨の音 和子
上五中七はたいへん結構だが「雨の音」では団子があまり美味しそうに感じない。「雨」といえば「音」が自ずから聞こえるので「音」はよけい。
リズム良く春泥跳んで学校へ 守彦
わざわざ泥だらけになる元気な子どもの様子。
お花見は金米糖で済まさうか 弘道
「済ます」の意味がいくつにもとれるので要注意。より具体的に。「お花見は金米糖を口に入れ」など。
古き歌ふとくちびるに辛夷咲く 勇美
「古き歌」と「辛夷」は響き合うが、ことばを整理して焦点を当てたい。「古き歌ふとくちびるに花辛夷」など。
空覆ふ鬱金桜や陽を抱き 和子
「空覆ふ」に鬱金桜の様子がよく出ている。
黄梅の垣より雲南乙女かな 光枝