カフェきごさいネット投句(四月)飛岡光枝選
牡丹の季節は風が強い。牡丹よ崩れろ、とばかりに吹く。そんな風も休むひとときがある。リズム、語順、表記、上々の一句。原句は「ぼうたんや風無き昼はまどろみて」。
一木の風の柳を身のうちに 隆子
風の柳と生きていく。たおやかな覚悟の一句。
【入選】
桜餅包みを開く花の下 涼子
花の季節の素直な喜び。原句は「花の下で包みを開く桜餅」。
春田打つ比良のお山を響かせて 弘道
原句は「比良の山崩さんばかり春田打つ」。勢いは買うが、少々大げさ。
花満天星ささやきながら眠るなり 勇美
原句は「花満天星ささやき尽くし眠るなり」。原句のままでもいいのだが、「尽くし眠る」に少し理屈が感じられる。
今日咲くと決めて開きし牡丹かな 勇美
原句は「明日咲くと心決めたる牡丹かな」。明日開くという牡丹の決意をどう探りあてたのか、謎。