カフェきごさいネット投句(五月)飛岡光枝選
菖蒲や杜若ではあたりまえだが、茄子の花がいい。原句は「平安の色甦りたり茄子の花」。
夕風に終のひとひら白牡丹 勇美
夕闇に浮かぶ白いはなびら。
牡丹にしみいる月の光かな 隆子
月の光が牡丹になったよう。
【入選】
若葉萌ゆ命の歌の響きたる 和子
新緑を泳ぎて辿る山路かな 和子
二句とも内容はいいのだが、動詞、言葉数が多い。内容に会ったすっきりとした形を心がけたい。
ぼうたんや皇后様の微笑みは 涼子
「は」ではただの単純なたとえ。「ぼうたんや皇后様の微笑みも」。
ユーカリの朝のシャンプー夏来る 勇美
ユーカリの香りに夏を感じた。
もてなしは玻璃の器に水饅頭 勇美
涼しさが夏のもてなし。
天目といふにあらねど新茶かな 隆子
普通の茶碗での新茶が一番かもしれない。
粽解き山ある故郷の声聞かむ 弘道
内容を少し欲張りすぎた。すっきりと、すっきりと。「粽解きわが故郷の声聞かむ」。