朝日カルチャーセンター カフェきごさい句会(六月)
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイトより今月の季語「蛍」、花「梅花空木」、浪速の味・江戸の味「鱧の皮」です。
【特選】
田を植ゑし静けさ卯の花月夜かな 涼子
植田に囲まれて安らう里。原句は「田植終へ静もる卯の花月夜かな」。
蛍の恋に迷うて我が髪に 勇美
蛍に恋は聞き飽きた感があるが、「我が髪に」で実体となった。原句は「大蛍恋に迷うて我が髪に」。
祝祭のごとく蛍の一樹あり 隆子
蛍が群れ光る一本の木。生命の祝祭。
【入選】
自転車で青葉時雨を走りぬけ 守彦
若々しい勢いがあり、青葉時雨の「青」が生きる一句。原句は「自転車で青葉時雨を走り抜く」。
夕蛍いつかどこかで逢ひし人 勇美
ムードだけに終わりそうな内容だが、しっかり描いて一句となった。
鱧づくし真似てうれしき京言葉 涼子
鱧づくしとは豪勢な。弾む気持ちの一句。原句は「鱧づくし真似してみたき京言葉」。
海へむく向日葵をこそわが墓標 隆子
向日葵の姿、佇まいに寄せる思い。
ほうたるの沢に星降る夜となりぬ 涼子
蛍の光と星の光と。原句は「ほうたるの沢や星降る夜となり」。しっかり伝える形にしたい。
鯊の子のひらりきらりと水の底 守彦
夏の水を感じさせる過不足ない一句。
アンデスの山を彩り麦の秋 和子
雄大な景色の麦畑。豊かな一句。原句は「アンデスや山彩りし麦の秋」。
一仕事終へた手と足青田風 守彦
一日働いた手足を労るように吹く風。原句は「一仕事終へた手足に青田風」。
天神寄席大入満員鱧の皮 光枝