朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(八月)
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイトより、八月の季語「花火」、花「バナナ」、浪速の味「水茄子」です。
【特選】
それぞれの戦後を語るバナナかな 隆子
今では手軽に食べられるバナナも、戦後しばらくまでは庶民にはご馳走だった。句は戦場となった南方というバナナならではの背景も感じさせる。
【入選】
遠花火いづこの里の祝いなる 和子
遥かなる花火への思い。ただ、かなり遠い花火であっても方角はわかるので「いづこの里」というには少々違和感がある。具体的な地名をあげた方が句がしっかりする。
闇に浮く線香花火の二人かな 涼子
よく詠まれる場面だが「線香花火の二人」が上手い。
島バナナ浜へとつづく白き道 勇美
状況はわかるが、何を言いたいのか焦点がはっきりしていないのが残念。「白き道」も「熱き道」などより具体的に表現したい。
日を弾き水をはじきて茄子太る 涼子
「茄子太る」で茄子の姿が見えた。
手花火の手に父の手の添へられて 隆子
「添へられて」がただの状況説明になってしまった。
本閉じて秋の気配をさがしけり 弘道
ふとしたところに感じる秋。「閉ぢて」。
江戸前の鱸か武士の面構へ 隆子
鱸のごつい貌が目に浮かぶ。
水茄子の裂きて肘まで垂るる水 勇美
水茄子の面目躍如。「水茄子を裂きて肘まで水垂るる」。
たからかに勢ひ啜らん走り蕎麦 隆子
走り蕎麦に対する思いがよく出ているが、「たからかに」は中七下五でその様子は十分わかるので、句をより深める描写などにことばを割きたい。
戦場となるは容易きバナナかな 光枝