カフェきごさいネット投句(11月)飛岡光枝選
はるかなる時空を越えて目の前に開いた一輪。返り花の大きな一句。
初しぐれ砂丘の紋の消えゆけり 弘道
降っては止む時雨。徐々に濡れてゆく砂丘の様子を静かに描いた。原句は「時雨るるや砂丘の紋も消えにけり」。
【入選】
この年も婆様無事か柿すだれ 弘道
みごとな柿すだれに人への思いを託した。原句は「この年も老婆は無事か柿すだれ」。
おでん酒竹輪ぶるんと武勇伝 勇美
眉唾の武勇伝でも聞きながすのがおでん酒の礼儀。竹輪が思わず武者震い。
凩のわけても白湯のうまさかな 隆子
一碗の白湯に救われる思いがある。
凩や五体投地の人の波 (藤)和子
五体投地が凩となって吹きつづく。
屍焼く白き煙や冬の川 (藤)和子
屍を焼く煙はなぜか白い。