いどばた歌仙 善哉「初空の巻」名残の表 十一
月の夜にふらりと帰ってくる「フーテンの寅さん」のような人物が見えてきます。
△の三句も、それぞれの視点が個性的でおもしろいです。
次は秋の短句です。
【名残の表】
六 炬燵の中で足絡ませる 真樹子(冬・恋)
七 遠く見るポーカーフェイス恋しくて 尾燈子(雑・恋)
八 ネットカジノで稼ぐ大金 うた子(雑)
九 求人はリゾートバイト実は詐欺 美津子(雑)
十 夢にまで見る母の肉じやが 真樹子(雑)
十一 柴又へふらりと帰る月の夜 一郎(秋・月)
十二(折端)
〇
柴又へふらりと帰る月の夜(一郎)
△
月面のレアーメタルを掘り出さむ(茉胡)
爆音で駆ける湾岸名残月(貝太)(名残月→後の月)
葺き替えた茅葺き屋根に月昇る(桃瑪)
・
差し向かひ父と月見の酒酌まん
畑道並んで盆の月 (575に)
最果の岬に月を仰ぐ人
どの国の空にもあがるけふの月
月の夜魔女が箒に飛び乗つて
戯れに影踏み遊びする月夜
名月へ摩天楼より手を伸ばし