いどばた歌仙 さへづり さへづりの巻/満尾
村松二本さん捌きの「いどばた歌仙 さへづり」の「さへづりの巻」が満尾となりました。
《連衆》
仲田寛子、高平玲子、土谷眞理子、伊藤 空、稲垣雄二、青沼尾燈子、花井 淳、きだりえこ、石川桃瑪、安立由美子、園田靖彦、鈴木千閑、杉東優子
《捌き》村松二本
二〇二四年四月二十四日~六月十六日
【初折の表】
発句 さへづりや椎の梢を分かち合ひ 二本(春)
脇 わさびかをらす天龍の水 りえこ(春)
第三 リニアーカー春の山脈貫いて 玲子(春)
四 牧場に響くカウベルの音 千閑(雑)
五 国境の街は眠らず望の月 桃瑪(秋・月)
六 海鳴遠く鷹渡りゆく 由美子(秋)
【初折の裏】
初句 十年の蟄居をかこつ菊作り りえこ(秋)
二 緖締の玉で作るかんざし 淳(雑)
三 閨を出づめ組の法被ひるがへし 由美子(雑・恋)
四 品川沖に現れし黒船 靖彦(雑)
五 版元は彫師摺師を掻き集め 寛子(雑)
六 富士の裾野のなんとなだらか 尾燈子(雑)
七 汗飛ばしヘビーメタルのギタリスト 由美子(夏)
八 監視カメラに夏の三日月 玲子(夏・月)
九 行き先の知れぬ列車に乗せられて 玲子(雑)
十 天変地異の能登にオーロラ 淳(雑)
十一 花守の髭渺々と三千丈 りえこ(春・花)
折端 畑一面に植ゑる蒟蒻 眞理子(春)
【名残の表】
初句 風光る大道芸の人だかり 優子(春)
二 私服刑事の交はす目配せ 玲子(雑)
三 間一髪楽器ケースにすべり込み 空(雑)
四 レースクイーンの臍に釘付け 由美子(雑)
五 麗しきシュプール描く君が好き 靖彦(冬・恋)
六 お尋ね者の熊をかついで 寛子(冬)
七 ウポポイの神々と酒酌み交はす 空(雑)
八 湖面に映る満天の星 空(雑)
九 草陰の卵ぴしりと音立てて 玲子(雑)
十十 剛速球のいがぐり頭 尾燈子(雑)
十一 月煌々チップを山と積み上ぐる 玲子(秋・月)
十二 夜霧に消えし豪華客船 玲子(秋)
【名残の裏】
初句 天高し落札告ぐる槌の音 玲子(秋)
二 我を誘ふ糸杉の巨樹 空(雑)
三 杣の道せせらぎに喉潤して 千閑(雑)
四 恵比須顔なる旅籠の主 千閑(雑)
五 虚空より眺むる花の吉野山 空(春・花)
挙句 未だをさなき今朝の鶯 りえこ(春)