いどばた歌仙さへづり「鮎の巻」満尾となりました
《連衆》
土谷眞理子、伊藤 空、青沼尾燈子、花井 淳、きだりえこ、石川桃瑪、安立由美子、園田靖彦、鈴木千閑、杉東優子、高平玲子、
《捌き》村松二本
二〇二四年七月一日~二〇二四年八月十二日
【初折の表】
発句 釣り上げし鮎や朝日をしたたらす 桃瑪(夏)
脇 これはこれはとゆるる笹百合 二本(夏)
第三 夕さればふることふみを繙きて 由美子(雑)
四 寄せては返す浦のさざ波 千閑(雑)
五 琵琶抱きて月の廊下を渡りゆく 玲子(秋・月)
六 落ちくる雁のつぶらなる声 千閑(秋)
【初折の裏】
初句 病める身に秋風しみる旅にあり 尾燈子(秋)
二 はやも書き出す終焉日記 りえこ(雑)
三 王宮を目掛け市民の石つぶて 空(雑)
四 迷ふことなく下すブロンド 由美子(雑)
五 洗濯夫装ひ通ふトラピスト 玲子(雑・恋)
六 禁酒破つて空ける大樽 空(雑)
七 雪原に馬車の轍のくつきりと 尾燈子(冬)
八 月の凍てつく開墾の鍬 由美子(冬)
九 恐竜の折り重なりて倒れ伏す 空(雑)
十 金庫に戻す実験ノート 玲子(雑)
十一 えぐられし幹よりひとつ今朝の花 りえこ(春・花)
折端 春の渚に流れつく瓶 眞理子(春)
【名残の表】
初句 マウンテンバイク霞の空へ飛び 玲子(春)
二 ポトフに落とす月桂樹の葉 空(雑)
三 英雄と書きし表紙を破り捨て 靖彦(雑)
四 腹探り合ふそろばんの球 由美子(雑)
五 かむろ連れ絽の振袖の路地に消ゆ 千閑(夏)
六 心の内で脱がす麻足袋 玲子(夏・恋)
七 つるつるの光る頭をかき抱き 空(雑・恋)
八 徒に流るる深夜のテレビ 由美子(雑)
九 色あせし指名手配の顔写真 眞理子(雑)
十 けふ一日を暮すアパート 優子(雑)
十一 痩せ猫の水舐めてゐる月明り 由美子(秋・月)
十二 白山仰ぐふるさとの秋 淳(秋)
【名残の裏】
初句 長き夜をヒューマノイドの詩に涙 玲子(秋)
二 からりと揚がる養殖の虫 由美子(雑)
三 星の降る静かの海に降り立ちて 千閑(雑)
四 つぶやくやうに歌ふイマジン りえこ(雑)
五 耳寄せて花と語らふ花の人 千閑(春・花)
挙句 蝶の分け入る蓬莱の山 空(春)