いどばた歌仙 飛梅「父の日の巻」満尾となりました
《連衆》松川まさみ、上田雅子、葛西美津子(ミツコ)、青沼尾燈子、佐藤森恵、土谷眞理子、密田妖子、西川遊歩、藤倉 桂、安藤 文、飛岡光枝(捌)
二〇二四年六月十七日~八月二十四日
【初折の表】
発句 父の日やカードで開ける父の墓 雅子 (夏)
脇 泡の溢れて缶生ビール 尾燈子(夏)
第三 カナリアの何に昂ぶるよく啼きて 妖子 (雑)
四 壁に畳に走る稲妻 まさみ(秋)
五 渾身の王位の一手望の月 遊歩 (秋・月)
六 花野を荒らす風吹き始む 森恵 (秋)
【初折の裏】
初句 五輪待つエッフェル塔は灯をともし 遊歩 (雑)
二 老いを楽しむ真つ赤なルージュ 桂 (雑)
三 ロケットの発射轟く夏の島 遊歩 (夏)
四 樹下に涼しき新妻の顔 文 (夏・恋)
五 素描画のモデルにこころ奪はれて まさみ(雑・恋)
六 瓢徳利とくとく鳴りぬ まさみ(雑)
七 月冴ゆる牛の分娩予定表 ミツコ(冬・月)
八 嫁入り箪笥雪橇に乗せ 文 (冬・恋)
九 南極シェフカレーライスが評判で 眞理子(雑)
十 ただ食ひ流行る自衛隊員 尾燈子(雑)
十一 によつぽりと富士を浮かべて花の雲 文 (春・花)
折端 新しい殻さがす寄居虫 文 (春)
【名残の表】
初句 唸り上げばらもん凧は大空へ ミツコ(春)
二 五つ子揃うて大き産声 妖子 (雑)
三 夕立後スカイツリーの映る路地 文 (夏)
四 業平橋も玉ノ井も消え 森恵 (雑)
五 形見とてバロック真珠ネックレス 遊歩 (雑)
六 打ち上げられて恋文の瓶 雅子 (雑・恋)
七 隣国よりゴミ風船の三百個 ミツコ(雑)
八 佐渡の金山けさあをあをと 文 (夏)
九 荒波の断崖を行く破戒僧 まさみ(雑)
十 鎌に飛び散る露草の露 ミツコ(秋)
十一 抱き上げて母の軽さよ月今宵 文 (秋・月)
十二 蜩の声透き通りゆく 森恵 (秋)
【名残の裏】
初句 列島は朝な夕なに地震の報 尾燈子(雑)
二 原発再稼働雪降りしきる 文 (冬)
三 あかあかと草原染めて入日落つ 雅子 (雑)
四 進退かけて大阪春場所 ミツコ(春)
五 満開の花ごとゆるる花の山 雅子 (春・花)
挙句 草餅持つてけふは何処まで 眞理子(春)