いどばた歌仙 善哉「梶の葉の巻」満尾となりました。
2024年8月20日~2024年10月5日
《連衆》
青沼尾燈子 安藤久美 石川桃瑪 斉藤真知子 高橋真樹子
田村史生 永井貝太 中野美津子 氷室茉胡 山下うた子
《捌き》木下洋子
歌仙「梶の葉の巻」
【初折の表】
発句 梶の葉を朗詠集のしをりかな 蕪村(秋)
脇 淡海の浜に秋風の吹く 真樹子(秋)
第三 漕ぐをやめ舟より仰ぐ今日の月 真知子(秋)
四 閉店間際いつも来る人 貝太(雑)
五 目覚ましの無情に響く午前九時 美津子(雑)
六 もう腹空かせ五羽の子つばめ 茉胡(夏)
【初折の裏】
初句 秋隣派閥を越えて品定め 貝太(夏)
二 白髪を染めて十歳若く 真知子(雑)
三 ポストまで行くも手紙は出さぬまま 史生(雑・恋)
四 君に会はんと飛び乗る夜行 尾燈子(雑・恋)
五 中世の大聖堂に響くミサ 桃瑪(雑)
六 模造品とは知る由もなく 史生(雑)
七 顔見世の勧進帳に涙して 貝太(冬)
八 灯落とす茶屋を照らす寒月 久美(冬・月)
九 産声は今か今かと神頼み 久美(雑)
十 飽かず見てゐる昆虫図鑑 真知子(雑)
十一 引退の路面電車に花ふぶき 真樹子(春・花)
折端 糸遊追うて走る少年 貝太(春)
【名残の表】
初句 春暑し魚竜の化石掘り出して 久美(春)
二 水星といふ水の無き星 うた子(雑)
三 人類の旅路に残す核のゴミ うた子(雑)
四 なすりつけ合ふ故郷の家 貝太(雑)
五 たちまちに若竹となり垣根越ゆ 桃瑪(夏)
六 朝も早よから波乗り遊び 史生(夏)
七 褐色の肌横たへて画家の前 貝太(雑)
八 椰子の葉擦れも甘き隠れ家 久美(雑・恋)
九 毒草を庭隅に植ゑ夫を待つ 美津子(雑・恋)
十 アッサムティーに焼きたてマフィン 真樹子(雑)
十一 月の駅エクスプレスが先に発ち 桃瑪(秋・月)
十二 蓑を揺らして鬼の子の鳴く 尾燈子(秋)
【名残の裏】
初句 明日こそ延ばし延ばしの冬支度 史生(秋)
二 老俳優も認知度検査 うた子(雑)
三 路地裏の知る人ぞ知る洋食屋 美津子(雑)
四 ポストシーズン待ち遠しくて 史生(雑)
五 愛犬が胸に飛び込む花の昼 尾燈子(春・花)
挙句 博士と共に春の野をゆく 真知子(春)