いどばた歌仙 さへづり「銀河の巻」満尾となりました。
《連衆》
土谷眞理子、伊藤 空、青沼尾燈子、花井 淳、きだりえこ、石川桃瑪、安立由美子、園田靖彦、鈴木千閑、杉東優子、高平玲子、三玉一郎
《捌き》村松二本
二〇二四年八月三十一日~十月二十一日
【初折の表】
発句 人それぞれ心の中に銀河かな 眞理子(秋)
脇 鶉の声にひらく歳時記 一郎(秋)
第三 旅立を囃す今宵の月ならん 淳(秋・月)
四 打ち捨てられし眠り人形 玲子(雑)
五 ままごとの母親まるで生き写し 尾燈子(雑)
六 かばんから出す夏のボーナス 尾燈子(夏)
【初折の裏】
初句 リビエラの空のまぶしき昼寝覚 淳(夏)
二 壺振りかざす指しなやかに 淳(雑)
三 舌先で背中の天女なぞりつつ 玲子(雑・恋)
四 心の中は初恋の人 空(雑・恋)
五 一回で司法試験を掻い潜り 玲子(雑)
六 天井の玻璃うち破らんと 尾燈子(雑)
七 幹よりも影の長しよ冬木立 一郎(冬)
八 凍る月影誰が句碑ならん 靖彦(冬・月)
九 けふかぎりけふをかぎりとコップ酒 玲子(雑)
十 片耳だけの新宿の猫 一郎(雑)
十一 花衣とけばこぼるるポチ袋 淳(春・花)
折端 燕飛び交ふ夢の浮橋 玲子(春)
【名残の表】
初句 春の闇ポケットベルの震へ出し 玲子(春)
二 片つ端から記録更新 靖彦(雑)
三 死と隣り合せに眠る鉄格子 一郎(雑)
四 プリマドンナに拍手喝采 玲子(雑)
五 睦言に国家機密の入り混じり 由美子(雑・恋)
六 夜明の空へ螢消えゆく りえこ(夏)
七 夏の潮わにの背中を踏み越えて 玲子(夏)
八 鹿鳴館につどふ貴婦人 靖彦(雑)
九 改革を唱え連俳ばつさりと 空(雑)
十 羊羹の棹ほそきこのごろ 淳(雑)
十一 月光に眠りを覚ます不発弾 千閑(秋・月)
十二 土器の欠片をつなぐ秋の夜 眞理子(秋)
【名残の裏】
初句 炒り胡麻を銀杏粥にぱらぱらと 由美子(秋)
二 巨木はぐくむ白山の森 優子(雑)
三 きかんぼを攫つてゆきし天狗風 玲子(雑)
四 こだまが返す午後五時の鐘 一郎(雑)
五 まれびとの歩み留むる花吹雪 千閑(春・花)
挙句 ほうと始まる糸遊の旅 眞理子(春)