いどばた歌仙 さへづり「立冬やの巻」満尾となりました
《連衆》高平玲子、杉東優子、青沼尾燈子、きだりえこ、伊藤 空、花井 淳、安立由美子、園田靖彦、石川桃瑪、土谷眞理子、鈴木千閑
《捌き》村松二本
二〇二四年十一月七日~十二月二十六日
【初折の表】
発句 立冬や鼾聞こゆる不入山 淳(冬)
脇 鷹匠の縫ふ革の手袋 玲子(冬)
第三 身ひとつで大海原をわたり来て 玲子(雑)
四 自由の女神高く聳ゆる 空(雑)
五 月光を返す戦士の羽根飾り 千閑(秋・月)
六 母なる川を上りゆく鮭 りえこ(秋)
【初折の裏】
初句 連歌師の沈思黙考秋ともし りえこ(秋)
二 足を止めたる辻の占ひ 千閑(雑)
三 それとなく誕生石を聞き出して 千閑(雑)
四 地球の男眼中になし 空(雑・恋)
五 口寄せの打鳴らしたる梓弓 玲子(雑)
六 かんらかんらと首塚の首 千閑(雑)
七 山里をゆり起こさんと青嵐 眞理子(夏)
八 サナトリウムに夏の月影 玲子(夏・月)
九 寝て一畳起きて半畳詩を紡ぎ 千閑(雑)
十 徳利提げて幽体離脱 千閑(雑)
十一 花吹雪これぞ名代の吉野建 靖彦(春・花)
折端 秘伝の味噌を木の芽田楽 桃瑪(春)
【名残の表】
初句 ワクチンの粒子をのせて春の風 玲子(春)
二 水路をたどり朝のバザール 由美子(雑)
三 化粧濃き女主に導かれ 玲子(雑)
四 初心な体に愛のレッスン 空(雑・恋)
五 湯たんぽのぶりきの肌の忘られず 尾燈子(冬・恋)
六 雪の降りつむ見も知らぬ街 優子(冬)
七 イエティの後ろ姿を見失ひ 玲子(雑)
八 旅の画伯がおにぎりを食ふ 由美子(雑)
九 大波に呑みこまれさう富士の山 千閑(雑)
十 八つの玉を打ち揃へたり 玲子(雑)
十一 五六騎と二十日の月を追ひかけて 千閑(秋・月)
十二 松茸狩は爺にまかせよ 桃瑪(秋)
【名残の裏】
初句 ふるさとの山を四股名の勝ち相撲 靖彦(秋)
二 大漁旗を囃す海鳥 由美子(雑)
三 手拍子で演歌の神を招き入れ 空(雑)
四 だし巻き卵天下一品 由美子(雑)
五 花堤出てけ出てけと跳ね太鼓 玲子(春・花)
挙句 鍬を休むる春耕の人 桃瑪(春)