さへづり「初山河の巻」満尾となりました
《連衆》高平玲子、杉東優子、青沼尾燈子、きだりえこ、伊藤 空、花井 淳、安立由美子、園田靖彦、石川桃瑪、宗芳房子、鈴木千閑
《捌き》村松二本
二〇二五年一月七日~二〇二五年二月一九日
【初折の表】
発句 復興へ歩むや能登の初山河 淳(新年)
脇 朱塗の椀に汲める若水 房子(新年)
第三 洋行の絵師に牛鍋ふるまひて 玲子(雑)
四 にこりともせぬ下宿の主 玲子(雑)
五 月今宵海に向かひてカンツォーネ 玲子(秋・月)
六 蔓梅擬ぱんと弾ける 玲子(秋)
【初折の裏】
初句 稲光飛車より龍へとびうつり 由美子(秋)
二 女房にねだるけふの酒代 玲子(雑)
三 ペン胼胝のある中指に口づけて 玲子(雑・恋)
四 未完のままの第三楽章 玲子(雑)
五 黄昏の乗り換えバスの停留所 桃瑪(雑)
六 トトロの寝息そよ風となる 由美子(雑)
七 ぐるぐるとくぬぎを回る麦わら帽 房子(夏)
八 防空壕に夏の月影 玲子(夏・月)
九 妹の葉書はみ出すほどのまる 房子(雑)
十 婆の入歯の白さ際立つ 桃瑪(雑)
十一 敷島を咥へて花の博覧会 玲子(春・花)
折端 永き日刻むからくり時計 空(春)
【名残の表】
初句 センバツの初陣かざれ壱岐の春 靖彦(春)
二 眠りを覚ます風の旅人 靖彦(雑)
三 大ねずみ天井裏を駆け回り 桃瑪(雑)
四 けふか明日かと迫る心中 りえこ(雑・恋)
五 生まれ来し赤子舅に瓜二つ 玲子(雑)
六 楊枝くはへて木枯に消ゆ 千閑(冬)
七 大粒の牡蠣をもとめてジャズ通り 淳(冬)
八 弁天さまのお顔ほころぶ 由美子(雑)
九 自叙伝のあつといふ間に百万部 玲子(雑)
十 眩しいばかりリビエラの海 りえこ(雑)
十一 皿洗ひ終へて見上ぐる暁の月 房子(秋・月)
十二 焼栗ふたつポケットの中 千閑(秋)
【名残の裏】
初句 秋の雨火おこしの火を守りぬく 空(秋)
二 きりりと立つる折鶴の羽 由美子(雑)
三 島唄の珊瑚の海を渡りゆく 優子(雑)
四 牛の尻尾に戯るる風 千閑(雑)
五 幾重にも胡粉を重ね花の山 玲子(春・花)
挙句 海女の通へる貝殻の道 由美子(春)