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カフェきごさい句会報告 飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2025年11月8日 作成者: mitsue2025年11月8日

第三十一回「カフェきごさいズーム句会」(2025年10月11日)の句会報告です
(  )は添削例です

第一句座              
【特選】
よき音でもの食ふ人よ鰯雲       葛西美津子
手の先をすぐによごして葡萄摘む    高橋真樹子
(両の手のすぐによごれて葡萄摘む)
雲晴れてどかと富士山鯊の秋 葛西美津子
秋日浴び散らばつていく練習艇     上田雅子

【入選】
湯豆腐や庭に実りし柚子もらひ    上田雅子
(湯豆腐や庭に実りし柚子搾り)
ラフランス甘き香りに包丁す     高橋真樹子
(ラフランス甘き香りを包丁す)
駅出でて匂ふ銀杏や上野山      早川光尾
(駅出でて匂ふ銀杏上野山)
ひたすらに木の実拾ひし別れかな   藤倉桂
ひと束の草々の秋供へけり      花井淳
(ひと束のりんどうの秋供へけり)
花蕎麦の先や静もる村ひとつ     伊藤涼子
(蕎麦の花先に静もる村ひとつ)
今年またお裾分けくる唐辛子     高橋真樹子
子を宿す嫁に一献菊の酒       藤倉桂
人波に埋もれし長城国慶節      周龍梅
(人並に埋もれ長城国慶節)
ひとひらの松茸なれど馳走かな    斉藤真知子 
キラキラと手首のボルト秋の空    立花武
無謀にもカントに挑む夜長人     赤塚さゆり
濃竜胆葉先の枯れて咲きはじむ    伊藤涼子
けふ土手は祭たけなは曼殊沙華    藤倉桂
悔しくてレモンに噛みつく未成年   赤塚さゆり
菊酒やしみじみと良き母の顔     赤塚さゆり
秋高の日の本大谷大の里       花井淳
青空のはるかへ胡麻の爆ぜる音    藤倉桂

飛岡光枝出句
足腰の強き婆なり曼珠沙華
 

第二句座(席題・栗、鹿)
【特選】        
恵那山の風に毬栗育ちけり      花井淳   
さびし山神を起こして栗拾ふ     周龍梅

【入選】
ふりかへり又ふりかへり鹿山へ    斉藤真知子
人住まぬ島守る鹿や神の鹿      藤倉桂
渋皮煮つくれと夫の栗拾ふ      藤倉桂
(渋皮煮つくれと夫の栗拾ひ)
向きあふて言葉少なに栗むけり    斉藤真知子
かたまつていつもの鹿の家族かな   高橋真樹子
み吉野の鹿のこゑ聴く一夜かな    葛西美津子
母子鹿波が波打つ崖に立つ      藤倉桂
栗の毬次々割れて熊怖ろし      葛西美津子
鹿鳴はきこえなくなりよきめおと   立花武

飛岡光枝出句
風強き三日三晩を渋皮煮

今月の花(十一月)かくれんぼく

caffe kigosai 投稿日:2025年10月27日 作成者: mitsue2025年10月27日

kakurenbo
(今月は2013年11月の「アラカルト」へ掲載のエッセイをお届けします)

仕事のため大阪に行くことになり、現地の紹介された花屋さんに電話をしました。そこですすめられたのがこの、かんれんぼく、でした。「かんれんぼく?どんな字をかくのですか?」

いけばなの手ほどきを受けた時から数えれば、半世紀以上はたっている植物とのかかわりですが、まだまだ知らないものが外国はもちろん、国内にも数限りなくあります。当日は楽しみに大阪入りをしました。

かんれんぼくは「旱蓮木」と書くそうです。花屋でごつい茶色の紙の中から取り出されたのは、葉がなくて実だけとなったものでした。赤や黄色の実がなる植物が多い時期に、きれいな薄い緑色をした実がとても新鮮に見えました。しかもよく観察すれば、青い小さなバナナの房のようなものがいくつも集合して一つの球を作っているのです。さわるとパラリと落ちた(ミニバナナ)のひとつを拾って手にとってよくみれば、しっかりと3つの稜がありました。

ひとつの枝から分かれた細い枝の先にいくつもぶら下がっているところは、緑の大小の惑星が宙に浮かんで漂っているような楽しい光景です。宿にもって帰り、この(ミニバナナ)のひとつを輪切りにしてみました。つっと入っていく刃の先に、少しだけ手ごたえのある核があるのが本当の種かもしれません。やがては全体が茶色になっていくのでしょう。生命力の強いかんれんぼくは薬用としても研究されていると聞きました。

10メートル以上にもなる木は、葉脈のはっきりした、つやのある大きな緑の葉をつけます。遠目には、やつでの花の形にも似た、白に近い薄緑の花をつけたところを、来年の夏にはみてみたいものです。かんれんぼくは中国南部の原産。バナナ状の実にたくさんの種がある事が子孫繁栄をあらわすからでしょうか、別名は(喜樹)。「Happy Tree (ハッピーツリー)」という英名もあります。確かに実を見ているとハッピーな気分になります。

せっかちな人間たちがそろそろクリスマスを意識しだす頃、自然もつられてクリスマスのオーナメントをつくってみたような、そんなメッセージさえ感じさせる丸いかんれんぼくの実が、この季節にはさがっているのです。(光加)

第三十回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年10月4日 作成者: mitsue2025年10月4日

第三十回(2025年九月十三日)の句会報告です。(  )は推敲例です。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。詳しくは右の案内をご覧ください。

第一句座              
【特選】
いずこより猫迷ひくる野分あと     赤塚さゆり
届きたり縫ひ目拙き菊枕        藤倉桂
(届きけり縫ひ目拙き菊枕)

【入選】
馬のほか動くものなし夏競馬      早川光尾 
(馬のほか動くものなし大夏野) 
天の川いつでも夢を口遊む       早川光尾
かぜ台風ゴジラを遠くすつ飛ばし    立花武
句会せむ句座の真中に萩生けて     藤倉桂   
くさぐさに秋の佇む子規の庵      葛西美津子
買ふつもりなき松茸を品定め      斉藤真知子
泡立草押し倒し行く上り道       藤井和子
(泡立草押し分けて行く上り道)
稲雀食ふても食ふても百万石      花井淳
朝霧の尾根にリュックの赤と青     鈴木勇美
(朝霧の尾根にリュックの赤動く)
ひやひやと布団をさがす足裏かな    高橋真樹子
鎌掲げ我を討たんと子かまきり     上田雅子
これはまたひよろりとながきふくべかな 葛西美津子
鶏頭花泣いて笑つて村歌舞伎      藤倉桂
(村中の泣いて笑つて村歌舞伎)
初秋の空に束の間赤き月        上田雅子
(闇迫る空に束の間赤き月)
いましばしクルマの窓に霜おりて    立花武
(しばらくは車の窓に霜おりて)
水澄むや金の水尾ひくからし鯛     伊藤涼子
立ち飲み屋残る暑さの月のぼる     葛西美津子

いつの間に夕暮迫る冬瓜汁  光枝

第二句座(席題・虫、糸瓜)
【特選】        
百日の咳に効きたり糸瓜水       葛西美津子
朝鈴の虫籠金の糸垂らし        葛西美津子
(鈴虫の虫籠金の糸垂らし)
【入選】
たそがれ清兵衛虫籠を編む夜更け    葛西美津子
村の子の虫籠提げて登校す       赤塚さゆり
(休み明け虫籠提げて登校す)
糸瓜水美人になるよと母の手に     伊藤涼子
次の世は糸瓜になつてみるもよし    斉藤真知子
虫時雨わが身いつしかからつぽに    藤倉桂
長瓜や同級の顔思ひつつ        花井淳

ゆれながら考えてゐる糸瓜かな  光枝
  

浪速の味 江戸の味(十月) 船場汁【浪速】

caffe kigosai 投稿日:2025年10月4日 作成者: mitsue2025年10月4日

(今月は2019年10月の「浪速の味 江戸の味」に掲載の一文をお届けします)
江戸時代から船場は大阪の商業・金融の中心でした。今の北浜や御堂筋を含む大阪市の中央部にあたります。

大阪は食い倒れといわれますが、「朝の粥昼一菜夕茶漬け」というように商家の日常の食事は質素で、奉公人の食事に魚が出るのは月に二度か三度でした。

桂米朝の「百年目」(『米朝落語全集第六巻』)は「これは船場の御大家のおはなしで・・・」で始まります。「船場あたりの商家のお食事というのは、朝は温いご飯に漬物でんねん。で、昼は温いご飯に、おかずが何か一品つきます。で、晩は冷や飯と漬物で・・・。もう漬物ばっかり食べてた。その代わりその漬物とご飯は、なんぼ食べてもかまわなんだやそうです。・・・その代わり、お一日や、十五日や、祭りや盆や、正月、節句やというたら、そういう時にはいろいろご馳走がつく。それが何よりの楽しみやったんですな。」大店のハレとケの奉公人の食生活が思い浮かびます。

日ごろのまかない料理の一つに「船場汁」があります。船場汁は鯖(塩鯖)のアラを利用したものです。切り身は塩焼きや煮付にし、アラで船場汁を作ります。捨てることなく食材を使いきる始末の精神が発揮されています。

生臭みを取るため、熱湯をくぐらせ、水洗いをした鯖のアラで出汁をとり短冊に切った大根を煮て、塩味をつけると(塩鯖ならもともとの塩分が生かされる)旨い汁ものになり、丁稚たちも楽しみにしていたそうです。浪速は昆布で出汁を取るので、昆布や大根以外の野菜を加えたりして、その家の味を出していたようです。

秋の終わりから冬にかけてがおいしい汁ものです。

秋鯖のアラの手柄や船場汁   洋子

今月の花(十月)すすき

caffe kigosai 投稿日:2025年9月27日 作成者: mitsue2025年9月28日

susuki
(今月は、2013年9月の「花」に掲載されたエッセイをお届けします)
秋の七草のひとつである尾花、すなわちススキの原産地は日本。葉は一般的な緑の他、園芸種では横に薄い黄の斑のはいった(タカノハススキ)、また縦縞の(縞すすき)などがあります。穂がつんと出て開き、たれれば風になびき、やがてほうけ、折々に表情を変えていきます。

昨年10月、ローマで開かれる和食を広める夕食会にぜひいけばなを、という依頼が日本大使館からありました。外国でいけばならしいくいけるとなれば、いけばなの3つの要素、つまり、線、色 塊のうちなんといっても線のものが必要です。大使公邸の庭で、代々の11人の大使に仕えたイタリア人庭師のIさんの案内でさまざまな枝を入手。最後に穂の出たススキを大きな株からたくさん切らせていただき、葉が丸まらないようにすぐに古新聞に包み、水を入れたバケツにつけました。

会場は今では元貴族のプライベートなクラブとなっているボルゲーゼ家の館。内部の写真は絶対撮ってはならぬと何度も念をおされました。ローマの町に陽の落ちはじめる頃、天井の高い声のよく響く二階の会場に花材をもって入ったとたん、豪華な調度や気をつけてといわれた大きく下がったシャンデリアより、吸い寄せられるように目がひきつけられたのは正面の一枚の肖像画。100号くらいのキャンバスに描かれていた人物は、白い羽織とはかまをつけ、髷を結い上げている、まさしく日本人でした。外国の画家の筆によると日本人の目は細く描かれがちですが、その人物は丸い目でこちらをじっと見ているように思えたのでした。

(支倉常長の肖像画といわれています。ここローマに滞在中に描かれたそうです。)

それはまったく予期せぬ名前でした。
400年前に石巻の月浦をたち、メキシコへ、そののちスペイン、ローマと渡っていった支倉常長ひきいる慶長遣欧使節団。何故この館に支倉の肖像画があるのかは私の知識ではすぐには理解できませんでした。人物の白い袴には草のような植物が描かれていて、遣欧使節団は、斬新なデザインのものを用いたことでも有名な伊達政宗の特命をうけたことを思い出させました。

ともかく元貴族の皆さんの集まってくるカクテルの始まる30分前には花を仕上げなくてはなりません。ヨーロッパと日本から集まってきてくれた私の生徒とご主人たちも加わり,ちょうど支倉の肖像画を両方から挟むように竹を立て花をいけると、まるで肖像画に献花をしたようになりました。葉のふちで手を切らないようにいれたたくさんのススキは、その葉の線で繊細な動きを作品に与えていました。

テーブルの上にもなにか、というシェフの突然の要望が出たときはすでに花器を全部使用したあとでした。急遽公邸の古くなった漆塗りのお盆をもちこみ、水を張って日本から何かの折に使うかもと持参した金箔を浮かせその水の面にススキを渡し、菊の花を浮かせました。

今年になってのこと、伊達政宗の特集があるということでテレビをつけた私は、思わず画面に釘付けになりました。支倉常長がローマ法王にと伊達政宗から預かってきた親書が映し出され、紙には政宗の筆に金箔や退色していたものの銀箔がちりばめてありました。その親書を入れていた文箱は黒い漆塗りで、大胆な構図で牡丹に唐草、そして線は細いけれどススキが露をのせて描かれていたのです。その箱にはあとからつけられたであろう茶色になった紙がタグとしてついていました。一瞬でしたが記された字を私は見逃しませんでした。(Borghese)その文箱はボルゲーゼ家の所有だったということに間違いありません。

私がいけた場所は、あちこちにいくつもあるとはいえ、まさにローマの中心にあるボルゲーゼの館そのものでした。(当時の法王パオロ5世はボルゲーゼ家の出身なので、ボルゲーゼ家が文箱をもっていたことは十分ありうるでしょう)と、大使館の若き優秀なイタリアの専門官が説明してくれました。

洗礼をうけた支倉常長はその後日本に帰りますが、そのときキリスト教は禁止されていました。彼は50代のはじめ失意のうちにこの世を去った事になっています。しかし一説には、彼はその後人里はなれたところで30年も生き延びたとも言われています。

ヨーロッパにいたときは、彼はきっと抑えられないくらいの好奇心をもって世界を見ていたのにちがいありません。だから実際にあんな丸い目の印象を画家がもったのでしょうか。それとも何百年もの間、絵の中の常長は日本のいけばなを捧げられた事がなかったので、驚いていたのかもしれないと私は勝手な推測を巡らせたのです。    

ススキは銀色の穂もほうける頃になると、芒と書いたほうがふさわしく思えてきます。しかし文箱に描かれた金の薄は枯れはてて(芒)となることはなく、これからもあのままに、そして大切に保管されるのに違いありません。

ローマのススキが支倉常長へ、彼をつかわした伊達政宗へ、そしてあの時代へと、興味と好奇心の道をつけてくれました。支倉常長から、400年後の私にメッセージがとどけられた気さえします。

かの肖像画の衣装に刺繍された植物もススキと聞くと、支倉常長はやはりあの晩、あの場の花材にどうしてもススキをご所望だったのではないでしょうか。そんな気がしてきます。(光加)

加賀の一盞(9月)金沢の九月

caffe kigosai 投稿日:2025年9月5日 作成者: mitsue2025年9月5日

新学期が始まる9月は金沢の二つの食に関する大事な月、食通ならずとも待ち遠しい楽しみな日が続く。

ひとつは日本海側の底引き網漁解禁の9月1日。7月8月は資源保護のため禁漁、その間日本海中央部にある大和堆まで漁に出なければならないが、解禁後は近場での漁となりより新鮮で安価な魚貝が店頭に並ぶ。甘エビ、ガスエビ、小鯛、カレイ、メギス、はたはた、のどぐろなどなど。どれも水揚げされて1日と時間が経っていないものばかり、刺身や塩焼き、ふぁっと煮るなど庶民の味で楽しむ。この煮付けはカレイやメギスなど白身魚を鍋に入れ、ひたひたの水と金沢近郊の港町大野で醸造される旨味の醤油や能登の魚醤いしるを加え、落し蓋をして強中火でほんの4~5分炊いたもの、凝った味付けは不要、家庭の味が楽しめる。刺身では甘エビやガスエビの秋を感じる甘さがたまらない。
 
もうひとつは日本酒ひやおろし販売開始、今年は9月5日。日本酒は前年11月頃より造りはじめ、春先まで続く。出来てすぐの酒はあらばしりなどと表示され、少し発泡またはおりがらみの若々しい味を楽しむ。その新酒を一度火入れして低温タンクで静かに半年あまり寝かせ、上澄みを生酒として瓶詰めされたものがひやおろし。雑味が無く滑らかで香り豊かな風味となる。その日酒屋、デパートではのぼりを立てて、県内ほぼ全酒蔵の銘柄を並べて売り出す。また金沢の酒飲み仲間の会ではひやおろしを集め、各蔵の今年の出来栄えを評価して楽しむ。

ここで底引き網漁の魚貝とひやおろしのマッチングが始まる。甘エビなどとろりとした味わいにひやおろしの綺麗な風味をかぶせ、余韻は芳醇な残り香が鼻に抜ける。これぞ金沢9月の醍醐味、至高の一瞬である。10月4日には酒マルシェと称するイベントが金沢中心地の緑地で開催され、県内酒蔵が一堂に集まる。市内料理屋の出店も出て毎年数千人がひやおろしや大吟醸を楽しむ。

金沢の秋はこれからが本番、山海の美味が目白押し。鰤に脂がのり出し、そして11月7日のズワイガニと海鼠の解禁へと絶頂を迎える。まだまだ知られていない美食金沢の秋を紹介させて頂きました。

眠りから覚めて秋麗ひやおろし   淳

今月の花(九月)おおうばゆり

caffe kigosai 投稿日:2025年8月23日 作成者: mitsue2025年8月23日

福島光加作(おおうばゆり、オクラレルカ、ミスカンサス)

夏の帯広のホテルでの撮影の際、カメラマンのMさんが「もうそろそろ終わりだけど」と言いながら、この土地ならではの花材を切ってきてくださいました。

うす黄緑の鉄砲百合のような形の花を8輪ほどつけたその花は、「おおうばゆり」でした。花は横にそれぞれの方向に向いていました。東京の花屋さんで「うばゆり」なら一度だけ見たことがあります。関東から西の常緑樹の中に育つのが、うばゆりです。

おおうばゆりも多年草で、本州の中部から北海道、樺太にもあり、こちらは落葉樹の中で生育するそうで、2メートルにもなるとか。

「姥百合」という名は、茎の下の方に対生している厚みと光沢のある細長い卵型の葉が、花が咲くと朽ちてなくなってしまうので「葉(歯)がぬけていく」のが姥の歯のよう、ということが由来とのことです。が なんだか拍子抜けする命名の理由は本当でしょうか?アイヌの方たちは、鱗茎に含まれる澱粉を大事な食料として球根を輪形に乾かして保存食としたようです。

雌雄がある、というのも興味深いです。雄のおおうばゆりは発芽して数年後にふとい茎となり、時には二十もの花をつけ、花が散ると種の入った蒴果をつけて、立ち枯れするそうです。この蒴果は長く丸みをおびていて、うばゆりのほうだったかもしれませんが一度東京の花屋で見たことがあります。

一方雌は茎や花を持たず、球根の鱗茎の先端に一枚ずつの葉をもつ、と書いてあり、帯広市の図書館で私は思わずうなりました。想像はますます膨らみ、不思議なおおうばゆりのことをもっと知りたくなりました。

複雑な植物に敬意をこめて、ホテルの寿司カウンターにこの花を使って一作いけました。明日も部屋に置いて眺めてみたい、と思いましたが花はすでに茶色くなり始めていました。

北海道帯広でいける機会に恵まれたおおうばゆりにすっかり魅せられ、植物との出会いはつくづく面白いと思ったのです。(光加)

第二十九回 カフェきごさいズーム句会報告(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年8月12日 作成者: mitsue2025年8月12日

第二十九回 (2025年(令和七年)八月九日)の句会報告です。(  )は推敲例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。詳しくは右の案内をご覧ください。見学も大歓迎です。

第一句座              
【特選】
おみやげの貝風鈴も古びたり     矢野京子
(江ノ島の貝風鈴も古びたり)
赤信号木槿の影で黙祷す       矢野京子
(原爆忌木槿の影で黙祷す)もしくは「八月六日」と前書き
隅ながら泰然として冷奴       早川光尾
(ガラス器に泰然として冷奴)

【入選】
ゆく夏のかほが映りぬ夜の窓     葛西美津子
駅出でて男もすなる日傘かな     伊藤涼子
踊の輪ここが世界の中心よ      赤塚さゆり
稲妻を肴に今宵一人酒        藤倉桂
遠雷をしんと聴き入る夜の窓     葛西美津子
図書館の窓にゴーヤのたわわかな   鈴木勇美
蝦夷萱草オロロン街道真っ直ぐに   早川光尾
         (真つ直ぐ)
星祭吾娘に宿りし命かな       藤倉桂
(星祭わが娘に宿る命かな)
おはやうの声よく通る今朝の秋    藤倉桂
砂浜にスコップひとつ夏の果     鈴木勇美
いくたびも雲見上げゐる原爆忌    高橋真樹子
(いくたびも雲を見上げる原爆忌)
命終ゆ蝉も大事にこどもかな     斉藤真知子
(命終ゆ蝉を大事とこどもかな)
朝顔の窓よりラジオ講座かな     鈴木勇美
首里城へ案内するかに青蜥蜴     葛西美津子
差入れの西瓜届きし合宿所      赤塚さゆり
(差入れの西瓜の届く合宿所)
朝日さすなめくぢの道しろがねに   葛西美津子
飛び出す枝豆のまだ見つからず    斉藤真知子

飛岡光枝出句
夏鶯龍太の山をほしいまま

第二句座(席題・初嵐、秋簾)
【特選】         
縄かけて白山豆腐初あらし     花井淳

【入選】
初嵐ロープ行き交ふ船の上     葛西美津子
初嵐牛の群れなす丘の上      高橋真樹子
初嵐鶏に餌一掴み         藤倉桂
カンカンと帆柱鳴れり初嵐     葛西美津子
探し物なにかを忘れ初嵐      高橋真樹子
母逝きし家そのままに秋簾     高橋真樹子
(母逝きし家そのままに初嵐)

飛岡光枝出句
岬馬白きたてがみ初あらし

浪速の味 江戸の味(八月)芋ようかん(さつまいも)【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2025年8月7日 作成者: mitsue2025年8月7日

さつまいもは17世紀初めに中国から琉球へ伝わり、その後薩摩で栽培されるようになり「薩摩の芋」として定着しました。

八代将軍吉宗が、飢饉の対策として青木昆陽に命じて薩摩から江戸に種芋を取り寄せ、小石川御楽園などで試作させたことはよく知られています。

現在でも関東でのさつまいも栽培は盛んで、近年では鹿児島に次いで茨城が二位、千葉が三位の生産量となっています。

そのさつまいもで作った和菓子に「芋ようかん」があります。さつまいもを使った駄菓子は古くからありましたが、明治三十年代、芋を裏ごしするなどして滑らかな口当たりの芋ようかんを売り出したのは、浅草寿町で芋の卸問屋を営んでいた小林和助でした。

店のくず芋を利用、当時高級品だった練羊羹の代わりになるものとして、千葉県船橋市出身の石川定吉と共同開発したとのことです。後に浅草一丁目に創業した「舟和」は、船橋の「舟」と和助の「和」をとって店名としました。

下町の手土産の定番として人気の「舟和」の芋ようかんは、寒天を入れる製法もあるなか、さつまいもと砂糖のみで作られ芋本来の味がより感じられます。最近では、芋ようかんのアイスやパフェを開発するなど、定番の味を進化させています。

暦の上では秋とはいえ、まだまだ暑い八月、冷たい芋ようかんスイーツで残暑を乗り切りたいものです。

生身魂芋やうかんに頬ゆるび  光枝

第二十八回 カフェきごさいズーム句会報告(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年8月2日 作成者: mitsue2025年8月2日

第二十八回(2025年7月19日)の句会報告です。(   )は推敲例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。詳しくは右の案内をご覧ください。見学も大歓迎です。

第一句座              
【特選】
夏負けてをり人間も愛猫も        矢野京子
(夏負けてをり人間も三毛猫も)  
ひたすらに島辣韭を剥くおばあ      葛西美津子
平和とは七夕竹の重みかな        赤塚さゆり
(平和とは七夕竹の軽さかな)
新しきぬか床に先ず茄子一つ       上田雅子
昼顔の花眠さうや波の音         葛西美津子
一本の夏草さへもなき更地        矢野京子

【入選】
ぐずる子に紅き鬼灯ゆらしけり      鈴木勇美
亡き妻へいまひと言を夏花摘む      花井淳
冷素麺流す孫との物語り         周龍梅
(冷素麺流し孫との大笑ひ)
梅を干すひと日は家を離れざる      斉藤真知子
あかあかとグロリオーサや雲の峰     上田雅子
森の樹の眠り覚ますや朝の蝉       斉藤真知子
(森の樹の眠りを覚ます朝の蝉)
夏霧の涯に浮ぶや花の島         鈴木勇美
をちこちの担ぎ手能登へ夏祭       花井淳
手花火の懐かしきかなビル住まひ     伊藤涼子
思ひ出の真ん中に立つ大夏木       伊藤涼子
ひらがなをやうやく書けて星の竹     斉藤真知子
蝉の殻風の軽さとなりにけり       藤倉桂
(蝉の殻風の軽さと吹かれけり)
青簾してつつがなき暮らしかな      矢野京子
(青簾ゆれつつがなき暮らしかな)
入院の夕餉の皿に初メロン        村井好子
形代に我家の犬を描き添へて       赤塚さゆり
バタフライ鯨となりて大海を       藤倉桂
(バタフライイルカとなりて大海を)
そろばんと名付けて旨し鮎なます     花井淳

飛岡光枝出句
サーフボードオリーヴの花すり抜けて
 

第二句座(席題・パイナップル、合歓の花)
【特選】         
アナナスや山原になほ不発弾      花井淳
(パイナップル山原になほ不発弾)
夕風に心許すや合歓の花        藤倉桂
(夕風にこころを許し合歓の花)
【入選】
南国の客室に盛る鳳梨かな       周龍梅
(南国の客室に盛り鳳梨かな)
まだ夢の最中にをりて合歓の花     斉藤真知子
合歓咲くや見てゐて眠くなりにけり   斉藤真知子
パイナップルほんに上手に切り分けて  矢野京子   
銀の雲流れてきたり合歓の花      葛西美津子
久闊の孫と鳳梨ふいに来る       前田悠
パイナップル市場の女王の髪飾り    周龍梅

飛岡光枝出句
パイナップ売るパイナップルのシャツを着て

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十九回 2026年6月13日(土)13時30分
    (原則第二土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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