兵庫県は酒造業が盛んであり、県内各地に66の酒蔵があります。「灘の生一本」で有名な日本一の酒どころ灘五郷(今津郷・西宮郷・魚崎郷・御影郷・西郷)は、江戸時代には日本一の酒どころと言われるようになりました。それに先んじて、まず伊丹で酒造りが盛んになりました。伊丹といえば大阪・伊丹空港があり、大阪に隣接しています。元禄十年(1697年)、伊丹の蔵元のうち、二十四軒に名字帯刀が許され、江戸幕府の「官用酒」となり、これを「御免酒」と称しました。一般の酒屋とは区別され格式高いものでした。新酒が江戸積され幕府に献上されるまで。他の酒は町中に販売できなかったそうです。その中でも「老松」は最も格式が高く宮中奉献酒として、将軍の御膳酒として有名でした。現在、伊丹では二つの酒蔵のみとなりました。その一つが、元禄元年創業の御免酒「老松酒造」です。元禄年間(1688年~1703年)に江戸で版行されたという「江戸積銘酒名寄」では、伊丹の「老松」は堂々東方の大関として載っています。横綱はないので、トップの評価です。阪急伊丹駅、JR伊丹駅から徒歩5分くらいのところに「老松」の紺暖簾がかかった店があり、先日立ち寄りました。暑い夏には冷し酒が飲みたくなります。おすすめの御免酒「純米吟醸」を買いました。お酒に強いわけではないのですが、すっきりと美味い冷し酒に暑気払いをした気分になりました。
句会終へこれぞ老松冷し酒 洋子