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今月の花(五月) 銀葉(新芽)

caffe kigosai 投稿日:2025年4月30日 作成者: mitsue2025年4月30日

4月下旬、5年に一度のいけばなインターナショナルの世界大会が京都で開催されました。各流派、世界中のいけばな関係の人々が集まり、家元の皆様のデモンストレーションやワークショップを楽しみ、展覧会には大きなものから小さなものまで力作が並びました。私たちの流派の京都の拠点でも、この機会に教室の展覧会の開催となりました。

多くの作品が並ぶ中、上海から来た生徒がこれは何?と聞いたのは、薄緑の白い葉をもった2メートルほどの枝。それは銀葉でした。実はこの時期にいけばなで使う銀葉と呼ばれるものは裏白の木でばら科です。裏白といえば、正月にお飾りに使うシダを思い出しますが姿も全く違います。

私が初めて見たのは関西でしたが、今では東京のお稽古にも花材として出てきます。少し濃い茶色の枝が曲線を緩く描き、そこに灰色がかった薄緑の葉がついているのは今の時期だけです。枝の脇に小さな蕾がついていましたが、5枚の花弁の1センチほどの白い花が咲くそうです。

原産地は日本で学名はSorbus Japonica、日本という名が付いています。英名はJapanese white beam、又はJapanese moutainashといずれも日本という名称がつきます。ナナカマド属だそうで、ナナカマドもSorbus commixtaという属の学名が付いていますので裏白の木の仲間いうことです。

成長すると10~20メートルの高さにもなるそうですが、私はこの木が秋に楕円形の小さな赤い実を結ぶところを見つけてみたいと思っています。晩秋から冬にかけてお稽古によく使う、鮮やかな赤い実のナナカマドとどう違うのでしょうか。

この時期の葉はふちにギザギザがあり、プリーツのようにおれた線が目立ちます。新芽がたくさん出てくると、濃くなりだした周りのたくさんの緑の中で銀白色が輝き、展覧会でともにいけられた新緑の中でも、中国からの生徒さんの目を引いたわけです。

春に目覚めた初々しい木の葉の中でも最後にやっと芽吹いた、といった葉の色と風情が私のお気にいりです。(光加)

第二十四回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年4月11日 作成者: mitsue2025年4月11日

第二十四回カフェきごさいズーム句会(2025年3月29日)の句会報告です。(  )は推敲例。

第一句座 
【特選】
泰山の鳴動してか黄砂来る     早川光男
(泰山の鳴動止まず黄砂ふる)
駆け出せば子供らはもう春の風   矢野京子
(駈け出して子供らははや春の風)
噛み当てし眼かなしき蛍烏賊    葛西美津子
(噛み当てて眼かなしき螢烏賊)
児童公園母と子達の花筵      上田雅子
(一枚は母と子どもの花筵)

【入選】
恐ろしき炎が包む春の山      上田雅子
また一人欠けて詣る彼岸寺     赤塚さゆり     
北斎の浪の如くにミモザか     早川光尾
(北斎の浪とあふれてミモザかな)
空耳や父の声のせ春の風      前田悠
(空耳か父の声のせ春の風)
滝口の石に分かるや春かなし    花井淳
(滝口の石に分かるる春の水)
残り鴨お前も足を挫いたか     前﨑都
待ち受けにふるさとの山暖かし   早川光男
曲水や伏見の酒の香り立つ     花井淳
足投げ出す風やはらかき蝶の昼   伊藤涼子
五七五ゆく春の指折りながら    葛西美津子
(ゆく春や五七五と指を折り)
異国語の表紙の句集風光る     前田悠

むらさきに春明けゆくや初句集   飛岡光枝

第二句座(席題・四月馬鹿、青き踏む)
【特選】         
うかうかと過ぎてしまへり四月馬鹿 葛西美津子
(うかうかと老人となり四月馬鹿)
毎日が四月馬鹿なり大統領      前田悠

【入選】
若いよね言われしことも万愚説   斉藤真知子
十勝岳の風満身に青き踏む     高橋真樹子
爪先でふらつきながら青き踏む   早川光尾
宝くじ買つてしまひぬ四月馬鹿   伊藤涼子
万愚説痴呆の父に約束し      周龍梅

広州のあひる追ひかけ青き踏む   飛岡光枝
  

第二十三回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年4月11日 作成者: mitsue2025年4月11日

第二十三回カフェきごさいズーム句会(2025年2月8日)句会報告です。(  )は推敲例。
このズーム句会はどなたでも参加できます。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。見学参加も大歓迎です。

第一句座              
【特選】
鶏の鶏冠真つ赤や冴返る         藤倉桂
(鶏の真つ赤な鶏冠冴返る)      
まほろばや背高のつぽと春を待つ    花井淳
(まほろばや背高のつぽと春を待ち)
盆梅や居間は忽ち梅の間に       鈴木勇美
(盆梅や居間はたちまち梅の園)
ものの芽にやうやく影の生まれけり   斉藤真知子
(ものの芽にはやもう影の生まれけり)
春めいて手の届きさうな山の尾根    周龍梅
(春めくや手が届くかに山の尾根)

【入選】
探梅の一輪誰に告げようか       鈴木勇美       
福豆を数ふ間もなく酒のあて      花井淳
湯たんぽと聞いた遠くの波の音     藤井和子
(湯たんぽを抱へ遠くの波の音)
梅の風止むや遥かに波の音       鈴木勇美
梅二輪一輪だけと思ひしが       斉藤真知子
冴返る長き祈りを薬師如来       村井好子
(冴返る長き祈りの薬師如来)
熊笹を叩く一雨寒明くる        葛西美津子
二上の皇子偲ばるる春立つ日      前田悠
大羊歯は太古の緑寒明くる       葛西美津子
路地抜けてまた路地に入る梅ふふむ   赤塚さゆり
(早梅や路地抜けてまた路地に入る)
狐らし寒暮の畔をまつしぐら      藤倉桂
下校児の止まぬペチャクチャ寒明ける  伊藤涼子
(下校児の止まぬおしやべり寒明ける)
ライオンの鬣寂し春の雪         赤塚さゆり
しまひ湯や遠く雪崩の音ひびき     鈴木勇美
(しまひ湯や遠き雪崩の音ひびく)
亀泳ぐけふからはもふ春の水      斉藤真知子    
上野駅着けば降り止む春の雪      赤塚さゆり
雨はしろがね三椏はまだ莟       葛西美津子
誘導員顔固まりし冴えかへり      早川光尾
(冴返る顔固まりし誘導員)

春の雪まだ眠りゐるキムチ甕      飛岡光枝

第二句座(席題・雪かき、野火)
【特選】         
身の丈の雪に埋もれて雪を掻く     伊藤涼子

【入選】
鎮もりてまた立ちあがる野焼の火    伊藤涼子
雪かきの音で目覚める朝かな      斉藤真知子
ともかくも家から出たし雪を掻く    前田悠
甲板の雪は波へと落としけり      斉藤真知子
今まさに野火に捲かれて恋の道     葛西美津子
雪掻くや山にまつすぐ白き道      藤倉桂
(雪掻くや山へまつすぐ白き道)
まどろみて除雪車の音遠退きぬ     赤塚さゆり
誰もかも顔真つ赤なり雪を掻く     赤塚さゆり
雪掻きを雪投げといふ国言葉      高橋真樹子

からからの関東平野野火走る      飛岡光枝
  

今月の花(四月)サクラサク バーレーン《番外編》

caffe kigosai 投稿日:2025年3月25日 作成者: mitsue2025年3月25日

二月、バーレーンの日本大使館で催される天皇誕生日のレセプションでいけばなインスタレーションをするため、出かけました。

この国に初の女性大使として赴任した私の門下は、バーレーンは砂漠の小さな国なので桜もしばらく見られないかもと東京で何気なく話していました。「やはり日本の桜は特別ですものね」と言っていたことを思い出し、私のお土産は桜にしようと決めました。

バーレーンの農水省に当たるお役所に日本大使館を通して聞いていただくと、土がついてなければ持ち込み可能、一方日本の植物検疫は、数種の植物の中に虫や卵を見つけるとその箱ごと没収とのこと。成田の植物検疫所に問い合わせると、目的、量、大きさなどを聞かれました。ネットから申請書を出し、何度かの電話とメールのやり取りのなか、桜に付きそうな虫と注意事項を係官が丁寧に教えてくださいました。

二月のはじめ、花屋さんで固いつぼみの枝に虫がいないか、卵は張り付いていないか、数十年のお付き合いのベテランの花屋さんのスタッフと一本ずつチェックをし、枝の元を水代わりのゼリー状の物が入ったビニール袋に入れて規定の箱に収めました。

朝、自宅まで配達してもらい、その日の夜の便でドバイを経由。成田の検疫所の検査時間は予約をしていました。植物の日本語、英語、学名を書いて申告した私の書類には問題なく、チェックを受け、英文の検疫済みの書類も受け取り、箱は預かり荷物にすることで飛行機に積めました。

深夜の首都マレーマ。空港に迎えの大使館の方に車にバケツを積んできてほしいとお願いしたのは、ホテルですぐに桜を水につけるためでした。追加の木瓜と万作と共にホテルで水の入ったバケツに入れましたが、赤い木瓜の蕾はぐったりと下を向いていました。東京から同行した助手のKさんが自室で枝にもっと割を入れるなど回復にあたり、ホテルの冷蔵庫をひとつ空けていただき桜と万作の入ったバケツの保管をお願いしました。

桜たちの顔色を見るのが滞在中の朝食前の習慣となりました。Kさんはうなだれている蕾の周りにテイッシュペーパーをひとつひとつ巻き、水の中で枝を切り直し皮を削りさらに鋏をいれ、回復に成功。

天皇誕生日の当日、金屏風の前で満開になった桜は、数百人の客人をにこやかに迎える大使の横にありました。桜を見たことのないバーレーンの方たちは、この花は何?どこで売っているの?中には造花だと思ったという方もいました。

帰国後数週間、大使から「花が終わると今度は柔らかな緑の芽が出てました、桜は強いのですね」というメールが届きました。あっぱれ!と私は大役を果たしたバーレーンの桜につぶやいたのです。(光加)

今月の花(三月)生命の木

caffe kigosai 投稿日:2025年2月24日 作成者: mitsue2025年2月24日

この二月、バーレーンの首都、マレーマで仕事が終わり、空港に向かうまで時間があったので「生命の木」を見てきました。

ここにもあったのだ!というのが私の感想でした。「Tree of Life」と呼ばれる不思議な木は他の国にもあり、それぞれパワースポットになっていることは聞いていました。いずれも長い年月そこにあり、土地の人々にとって特別なシンボルツリーとして存在しているのだそうです。御神木は日本でも時々見かけますが、私にとっては初めての生命の木との出会いでした。

バーレーンは島で、国土も小さく琵琶湖くらいと言われています。石油が採れることがこの島を経済的に豊かにしていて、人口の半分が他国から働きに来ているのだそうです。砂漠からの砂が舞い上がり、雨も少なく真っ青な空が見られることはめったになく、大きな太陽が薄グレーの空に薄オレンジ色となって消えていきます。

車は歩道のない街の大道路からやがてパイプラインが張り巡らされる砂漠へと進んでいきます。周りには緑もなく、山も見えず。原油が採掘されている証か、ちらちらと櫓から炎が出ているのがところどころ見えました。時々、バンガローと書かれた小さなテント小屋の集まりを過ぎていきます。観光客用、またはここで働いている人たちのもの?と思っていると「ほら、見えた」と運転手さん。

10メートルもないような砂丘の上に悠々と四方八方に手を広げ、私たちを出迎えているかのような一本の木。周りには土産物屋も売り子もいない。丘に上って見ている人も数人。木の周りだけ柵があり、ガードのような人が一人。ぐるぐるに頭部を巻いて目だけでているのは砂埃から守るためでしょうか。足元に気を付けながら砂の丘を登ってたどり着いた木は、高さは5mくらいですが周りの広がりは直径10メートルではきかないでしょう。

ごつごつしている枝の先には、薄緑のねむの木のような葉がついていました。柔らかな新芽は、樹齢400年というこの木がこれからも成長していくことを表していました。木はProsopis cineraria、英語でPersian mesquite またはGhaf。砂の下10~40メートルに地下水が流れ、地下茎が達しているという人もいます。バーレーンはエデンの園があったという伝説があり、聖書では楽園の中央にTree of Life、生命の木が立っていたということからなぞらえているのでしょうか。

宗教的な意味がある図形のTree of Lifeもあることを思い出しました。西アジアにも同様な木があることを知りました。でもこの木は、雨の極端に少ないこの地域にこんな大木になって立っているのは奇跡です。表皮が少しささくれているような古い枝を撫でて、パワーをください、と念じてきました。(光加)

加賀の一盞(三月) 利休忌茶会

caffe kigosai 投稿日:2025年2月21日 作成者: mitsue2025年2月21日

ひと口の和菓子に雅を感じる。金沢に美味しいものは多いが、その一つが和菓子、古くより茶の湯文化と相まって脈々と続いている。茶道は足のしびれを我慢しなければならないが、お菓子と抹茶が楽しめるところ。このコラムを始めるにあたり若かりし頃体験した利休忌茶会を紹介する。

千利休は茶の湯を広く世に示した人物、毎年三月の忌日に茶会を催す。当時習っていた先生は裏千家の業躰(家元で業を体得した師範)で茶会は百数十人の集まりになる。参加の皆さんは着物なので私もお召しに草木染の袴を新調し参加した。

金沢市内の料亭を貸切り、先ずお薄を頂きその後茶懐石へと進む。お菓子はお薄の席で菓子器から一つ頂く。これを主菓子といって練り切りの上生菓子、春の題材で特に利休が好んだ菜の花がこの茶会にはよく選ばれる。口に含めるととろりと解け風雅な味わい。金沢の老舗菓子屋に聞くと季節々々で数百種類の主菓子を作りそれぞれ銘があるとのこと。写真は「春告草」の練り切り。

よどみなくお茶銘問ふや春の雪  淳

茶会は先ず女性から三十名ほどずつ席に入る。男性陣(約二十名)はお点前、お運び、裏方茶筅振りなどの役を務め、最後の席でお薄を頂き茶懐石へと移る。

先ず塗の平盃にかんなべからお酒を注いで頂き乾杯をして料理を頂く。盃からぐい吞みに変ったころから定番の余興が始まる。謡やそれに合わせての仕舞、歌やおもしろ話など。最後は能「高砂」の「四海波静かにて」と「千秋楽は民を撫で」を皆で謡上げ締めとなる。

茶の湯はほとんどの美術工芸を集めた総合芸術、金沢にはそのすべてが用意されている。和菓子を始めとする芸術に触れるのも人生の楽しみのひとつだろう。(淳)

新企画「加賀の一盞」スタートのお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2025年2月20日 作成者: mitsue2025年2月20日

「カフェきごさい」サイトに今月より、金沢在住の花井淳さんによる「加賀の一盞」がスタートします。世界中の食、特にお酒への造詣が深い花井さんの記事と写真をどうぞご期待ください。
このシリーズは「浪速の味 江戸の味」と交互に掲載の予定です。三か所から発信される食の様々をどうぞお楽しみに!(店長 飛岡光枝)

第二十二回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年2月1日 作成者: mitsue2025年2月1日

第二十二回「カフェきごさいズーム句会」(2025年1月11日)句会報告です。((  )は推敲例)。
このズーム句会はどなたでも参加可能です。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。見学も大歓迎です。

第一句座              
【特選】
さいはひ橋渡つて仕事始かな      鈴木勇美
菰を着て誰が面影や冬牡丹       葛西美津子
大欅ひび割れさうな冬の空       葛西美津子

【入選】
寒雀小さき礫のごと降り来       たきのみね
(寒雀光の礫となり降り来)
再会の辛子にむせぶおでんかな     鈴木勇美
(再会は辛子にむせぶおでんかな)
咲きながら眠れる冬の牡丹かな     葛西美津子
(くれなゐの眠れる冬の牡丹かな)
掃除会社からバイトの子煤払ひ     上田雅子
(煤払ひ掃除会社のバイトの子)
ストーブに火の揺らめきてポトフかな  高橋真樹子
(ストーブの火の揺らめきてポトフかな)
四世代ゐてなみなみと初湯かな     赤塚さゆり
(初風呂の湯をなみなみと四世代)
買初にすべらぬ箸を夫のため      前﨑都
(買初やすべらぬ箸を夫のため)
ごめ啼くや能登の寒さはいかばかり   葛西美津子
雪煙富士駆け上がりくれなひに     藤井和子
(富士駆け上がりくれなゐの雪煙)
丹頂の求愛のこゑ真白かな       高橋真樹子
(鳴き交はす真白きこゑや丹頂鶴)
冬眠の蛇おそろしき夢に醒め      斉藤真知子
人もまた雪にまみれて雪達磨      高橋真樹子
水仙のみなぎる命束ねけり       伊藤涼子
(水仙のしづかな命束ねけり)
ガザの子にせめての春や早く来い    早川光尾
(ガザの子に小さき春よ早く来い)
数独のなかなか解けぬ寅彦忌      村井好子
  
初雀ベランダの日を啄めリ       飛岡光枝
  

第二句座(席題・土竜打ち、寒夕焼)
【特選】         
土竜打つでたらめの歌大声で      葛西美津子
(土竜打ちでたれめな歌大声で)

【入選】
解体は明日も続きぬ寒夕焼       葛西美津子
(瓦礫解体明日も続く寒夕焼)
へうたんのような男の子よ土竜打つ   高橋真樹子
(へうたんのやうな男の子が土竜打つ)
土竜打ち叩きし縄はぼろぼろに     斉藤真知子
信州の雪舞ひ上げつ土竜打       花井淳
(信州の雪舞ひ上がる土竜打)
藁束もゆきまみれなり土竜打つ     矢野京子
(藁束のゆきにまみれて土竜打つ)
首かしげ鴉見てゐる土竜打       花井淳

土竜打つ戦なき世を願ひつつ      飛岡光枝
 

浪速の味 江戸の味(二月) ふく梅・むすび梅【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2025年1月31日 作成者: mitsue2025年1月31日

ふく梅(下)とむずび梅

東京都文京区の「湯島天満宮」は四五八年に雄略天皇の勅命により創建されたとされ、江戸時代には江戸の天神信仰の中心となり、湯島天神として親しまれてきました。現在では学問の神様として、受験シーズンには合格祈願の受験生で賑わいます。

また、江戸の頃から梅の花見の名所としても知られ、白梅を中心に多くの梅が植えられ、毎年二月から三月の梅まつりの時期には境内はよい香りで満たされます。

「湯島の白梅」を一躍有名にしたのが泉鏡花の小説「婦系図(おんなけいず)」です。何度も映画化、テレビドラマ化され、新派の舞台の代表作のひとつとなっています。

境内での主人公二人の別れのシーンの「別れる切れるは芸者の時に言うことよ、今の私には死ねと言ってください」は国民的名台詞として、私の幼い頃はクレイジーキャッツのギャグなどでもお馴染みで、子ども達も空で言えるほどポピュラーでした。

湯島天神のほど近くに行列ができる和菓子店があります。豆大福が人気の店ですが、梅の花の季節には特に食べたくなるのが「ふく梅」と「むすび梅」です。

「ふく梅」は、梅じそを練り込んだ白あんが皮からほんのり透ける、白梅を模した愛らしい和菓子です。中心の小梅が味のアクセント。

「むすび梅」は大豆を混ぜたおこわに昆布が入ったおむすびですが、その様子は今流行りの挟むおむすびのよう。こちらも小梅がひとつ付いており、受験勉強の夜食などにぴったりです。

訪れた一月中旬は受験シーズン真っただ中。咲き初めた白梅の傍には、奉納された絵馬が風にからから音を立てていました。合格祈願の絵馬に混ざって、だるまに目を入れた合格御礼の絵馬もあり、できるならみんなに合格してほしい!と願わずにいられない春の初めでした。

昨夜氷り朝ほころぶ梅の花  光枝

今月の花〈二月〉 連翹

caffe kigosai 投稿日:2025年1月30日 作成者: mitsue2025年1月30日

ウクライナの連翹

1センチにもならない茶色の蕾の先にかすかに顔をだした黄色は花びらの一部。初めてこの枝をいける生徒さんは連翹を手にして 「これは曲げることができますか?」と聞きます。

春のいけばな教室の何時もの光景です。私は、「やってごらんなさい」とアドバイス。

やがてぱちんという小さな音と、「あ!」という声。意地悪をしているのではありません。こうやって、失敗しながら手に覚えさせていくのです。

連翹は枝の中心の部分が空洞になっていて、曲げようとしても折れやすく、枝ぶりの美しさをそのまま使うのが一番なのです。

鮮やかな黄色のこの花木(かぼく)は、春の代表的な花材の一つ。他にも山茱萸や万作などは葉が出る前の枝に黄色い花が付き、1月の中頃から花市場に登場します。

季節が進むと、その黄色の鮮やかさが春の青い空に映えます。

ヘルシンキ、オーストリア、韓国、ドバイ。私は連翹の花をいけた土地とそれぞれの「レンギョウ」の姿を思い出します。いずれの土地でもそんなに高い木にはなりません。

すっと伸びた枝を持つもの、蔓のようになったものなど様々で、しだれた黄色い花の枝が地に着くとそこから根を下ろすという生命力の強いモクセイ科の中国原産の植物です。

いけばなに必要な線の要素を持つものとして、ありがたい存在です。夏季にはげんなりする暑さの中でも緑の葉が出て、この時期の数少ない緑の枝ものとしてお稽古に使われます。

シナ連翹の変種といわれる朝鮮連翹、また、シナ連翹とレンギョウを掛け合わせたものがドイツで栽培されており、黄色い大きな花を咲かせると聞きました。

私がオーストリアで見たものはこの種類だったのでしょうか。

ある日お稽古の途中で、一人の生徒が携帯を開いて「これと同じでしょう?」と声をかけてきました。ウクライナの出身の方で、以前可愛いお嬢さんをつれて来たことがありました。

写真は鮮やかな黄色の花の壁。「きれいねえ!!日本のより、花が大きいわねえ」「端に写っているのはお嬢さん?」。いけていた人たちも手を止めて携帯の画面をのぞき込みました。

彼女の家は首都キーウから車で4時間ほど。「家の近くの道に咲いていたけれど、今はもう、危なくて帰れない」とすこし声を落としました。

いつかこの季節、あふれるばかりに黄色に咲き誇っている花の道を一家で散歩することが早くできるように、と心から願うのでした。
(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十七回 2026年4月11日(土)13時30分
      (原則第二土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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