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浪速の味 江戸の味 四月【お花見カフェ】浪速ならぬ吉野

caffe kigosai 投稿日:2025年4月9日 作成者: youko2025年4月11日

観桜句会で、4月5日、6日に吉野山に行ってきました。中千本は六分咲きでした。明日あたり満開でしょうか。一目千本、まさに絶景の花の山です。

これはこれはとばかり花の吉野山   貞室「一本草」

(2つめの「これは」は縦書きで「く」の表記です)

感動が伝わってくる名句です。貞室(1610~1673)は京の俳諧師です。

『奥の細道』の「山中」に「貞室」の名前が出てきます。「温泉に浴す。」で始まりますが、その温泉宿の主の父が俳諧好きであったとのこと。「洛の貞室若輩のむかし、ここに来りし比(ころ)、風雅に辱しめられて、洛に帰て、貞徳の門人となつて、世にしらる。」とあります。若き日の貞室が、この地での俳諧の席で辱めを受けたが、京に帰ると一念発起し、貞徳の門人となり、後に世にしられるようになったという内容です。貞室は、一念発起のきっかけになったのはこの地での体験のおかげと、山中の俳人からは俳諧の添削料をとらなかったと言われています。

今年の花を楽しみに毎年、吉野山の旅館「櫻花壇」に宿泊し、大広間で開催される観桜句会に参加してきました。思うような句が作れなくても一念発起に至らなかった我が身を反省するばかりです。「櫻花壇」は、昭和天皇御泊所で玉座の間がある旅館でした。谷崎潤一郎が宿泊して作品を書いたことでも知られる文芸の宿でもありました。8年ほど前に、そのすばらしい旅館「桜花壇」のご主人がお亡くなりになり、旅館が閉じられてしまいました。もうあのすばらしい大広間からの全山一望の絶景は見られないと思っていたのですが、このたび、ご親族により期間限定「お花見カフェ」として「櫻花壇」がよみがえったのです。

5日の午後、吉野山中千本に到着すると早速、「お花見カフェ櫻花壇」に向かいました。大広間で、満開が近い山桜を眺めながら、葛切りセットをいただきました。柚子茶が添えられていておいしかったです。ここからの眺めはやはり絶景だと感動しました。そして、6日の朝の句会を久しぶりにこの大広間で行うことができました。懐かしい日々がよみがえってくる幸せな時間でした。

ふたたびの櫻花壇の花の句座   洋子

浪速の味 江戸の味 11月【おじやうどん】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2024年11月9日 作成者: youko2024年11月13日

おじやうどん

きつねうどん

十月も夏日が続き、やっと秋らしくなったと思ったら、もう立冬。一気に冷え込んできました。こんな時は温かいうどんが食べたくなります。

江戸落語に「時そば」がありますが、上方落語には「時うどん」があります。

その冒頭は、〈売り声には、それぞれ季節感というものがございます。金魚売りてなものは夏のもんですな。「き~んぎょ~え、金魚」ああ夏やなという気がいたします。一方、冬の売り声の代表といえばうどん屋さんですな。「うど~んや~え、おそば」〉とテンポよく始まります。兄貴分の清八と弟分の喜六の二人連れがうどんを食べたくなったものの、二人の持ち合わせは十五文。十六文のうどん代に一文足りません。それであきらめる二人ではありません。うどん一杯を注文し、二人で半分こしようとなりました。清八が先に食べ、半分残したるといいながら、喜六がやっと鉢を受け取ったらうどん二筋のみ。じゅるるると汁を飲んであっという間におしまい。このやりとりが「あるある」で笑わせます。一文足りない支払いの様子は江戸の「時そば」と一緒で、八文まで数えたところで「今何どきや?」と聞き、うどん屋は「へい、九つで」と答えると「十・十一・・・・十六」と一文ごまかして勘定を済ませ、「ほなさいなら」。これに味をしめた喜六が「明日わいもやったろ」と次の日、小銭を懐にいそいそと昨日より早い時間に出かけます。うどん屋を見つけてうどんを食べ、そしていよいよ支払いです。昨日と同じように、八文目まで数えたところで「今何どきや」と聞くとうどん屋が「へい、四つで」と答えたもので、「五つ、六つ・・・」と十六まで数えて支払い、結局払い過ぎとなりました。あほらしい噺ですが、こすいことを考えたら、こんな目にあうんやでというオチが面白いです。

「時そば」のほうが、知られているかもしれませんが、明治時代に、三代目柳家小さんが上方落語の「時うどん」を江戸落語に伝えたと言われています。

やはり、大阪は出汁が命のうどんです。代表格は「きつねうどん」。甘辛く炊いた油揚が出汁のきいたうどんによく合います。きつねうどん発祥の店が、心斎橋にあります。明治26年創業で、いまも変わらず人気店です。大きな油揚がどんとのっています。出汁もきれいに飲み干すと、身体が温もってきます。その老舗のうどん店にはもう一つ名物うどんがあります。おじやとうどんが出汁で一体となった「おじやうどん」です。おじやは雑炊です。戦時下の食糧不足の時に、ありあわせの材料を入れて誕生したそうです。現代のおじやうどんは、卵、かまぼこ、穴子、椎茸、葱等いろいろ入って出汁の旨さをさらに倍増させています。寒い夜は、「時うどん」で笑って、おじやうどんを食べてほっこりすることにします。

こんな夜はおじやうどんで温もろか    洋子

浪速の味 江戸の味 九月【河内ワイン】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2024年9月8日 作成者: youko2024年9月16日

秋の季語に「葡萄酒醸す」「葡萄酒製す」があります。大阪では、「河内ワイン」と呼ばれるワインが知られています。河内は大阪の東部地域で、中河内に柏原市があります。現在の柏原市平野、大平寺などは旧堅下(かたしも)村で、明治11年(1878)、堅下村平野の中野喜平氏が、甲州ぶどうの苗木の育成に成功し、生産が衰退傾向にあった綿に替わってぶどうが栽培されるようになりました。昭和10年(1935)には大阪のぶどう栽培面積は全国で最大となり、その30%が堅下村で栽培されていました。

大阪のワインづくりは、大正元年(1912)に堅下村大平寺で、ブドウ園の経営をしていた高井作次郎氏によって始められました。ぶどうの生産過剰を懸念し、また台風で落ちたぶどうの実を生かして利用することを考え、単身甲州に出向き、明治7年創業の大黒ぶどう酒の製法を学びました。そして大正13年(1924)に「堅下ぶどう酒」として市場に出しました。

ぶどう酒は収穫後、果汁を搾り、酵母で発酵させて作ります。ぶどう酒の起源は非常に古く紀元前6000年ごろ中国などで始まったと言われています。

ワインはぶどう酒の一種で、ぶどうの果実を発酵させて作られます。果皮や種などの成分も含まれているので、風味も多彩です。古代ローマ時代から飲まれていて、ワインはヨーロッパ各地で豊かな歴史を持っています。

7月ごろからぶどうの収穫が始まり、そろそろ「河内ヌーヴォー」が出てくる季節になりました。河内といえば、「河内音頭」で親しまれていますが、ワインも大阪を代表する名産品です。

秋深む今年のワイン香しく  洋子

浪速の味 江戸の味 七月【したたり】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2024年6月30日 作成者: youko2024年7月1日

七月の京都は祇園祭。コンチキチンのメロディーが街に流れ鉾が建てられてゆくと、いよいよやなと胸が高鳴ります。

菊水鉾は、町内にあった古い井戸、菊水井にちなんだ名前で鉾頭には金色の透かし掘り菊花が輝きます。元治元年(1864年)に焼失し休んでいましたが、昭和27年(1952年)に再興されました。稚児人形は、菊の露を飲んで長寿を保った菊慈童(枕慈童)で能装束舞姿です。

菊水井のあった大黒庵の主で、千利休の師である茶人、武野紹鴎(じょうおう)にちなみ7月13日~16日の午後には、菊水鉾町会所の2階に御茶席が設けられます。チケットを買って参加します。御薄の前に、菊慈童にちなんだ「したたり」という菓子が出されます。「したたり」は、黒糖を使った琥珀寒です。「したたり」という名前にふさわしい見た目も涼しいお菓子です。食べると黒糖のまろやかな甘さが口にひろがります。寒天でつるんと喉を通ってゆきます。

このお菓子は、京都大丸百貨店の近くにある「亀廣永」で製造、販売しています。昨日、お店に行って棹物菓子「したたり」を買ってきました。52年前から、御茶席に「したたり」が使われるようになったそうです。店内には、当時の八坂神社宮司による「したたり」の墨書が飾ってありました。次から次に地元のお客さんが入ってきて、店主ご夫妻が笑顔で接客しておられました。一足早く祇園祭気分になりました。

したたりや菊水鉾の立ち上がる  洋子

 

浪速の味 江戸の味 5月【筍飯】浪速

caffe kigosai 投稿日:2024年5月3日 作成者: youko2024年5月3日

春の味覚の代表に、春の筍があります。春筍(しゅんじゅん)とも言います。そして初夏の頃になると「筍」になり、筍飯も初夏の季語です。

京都から少し大阪寄りに乙訓地域(長岡京市、向日市、大山崎町、京都市西京区)があり、そこで育てられている京たけのこが有名です。別名「白子たけのこ」といわれ、食用「孟宗竹」の中でも色が白いのが特徴です。春の筍は、茹でてお造りで食べることができます。瑞々しくやわらかな舌触りです。掘ったばかりの春筍を丸焼きにすると香ばしさが加わり野趣に富んだ味になります。朝掘りの筍は、直売所で売られています。

年間を通して絶えず竹林の整備をしているからこそ、このおいしい筍がとれるのです。約300年前から「京都式軟化栽培法」を行っています。掘り上げた穴に肥料を入れたり、親竹の先を落としたり、秋には「敷き藁」と「土入れ」の作業をして柔らかな土作りをしています。白くてやわらかい京たけのこはこの良質の柔らかな土が育てます。

阪急「長岡天神駅」で下車して暫く歩くと、長岡天満宮境内の東に八条ケ池が見えてきます。寛永15年に造られた灌漑用の溜池です。池を二分する中堤は参道になっています。長岡天神駅やこの長岡天満宮の周辺には、たけのこ料理の店が料亭から気軽に入れる食事処までいろいろあります。

筍は、春の筍より歯ごたえがよくなりますが、筍飯にするとその歯ごたえがちょうどいいのです。写真は昼食に作った、筍飯と若竹煮です。

筍のシーズンが終わると本格的な夏がやってきます。

丹精の京たけのこを飯に炊き    洋子

浪速の味 江戸の味 3月【高山まな】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2024年3月10日 作成者: youko2024年3月18日

キリシタン大名として知られる高山右近は、摂津国三島郡高山庄(現在の大阪府豊能郡豊能町)出身です。北摂山系の山々に囲まれた標高400メートルの高山庄を代表する野菜が「高山まな」です。真菜はアブラナ科の菜花で、地中海原産のものが中国を経由して我が国に伝えられたと言われています。全長20~30センチで、400年前から、自家採種しながら大事に守り育てられてきました。それが認められ「なにわ伝統野菜」の一つに選ばれています。

「高山まな」は、茎まで柔らかく風味があります。カロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄などの栄養素を豊かに含んだ野菜です。花の部分のほんの少しの苦味も、辛子和えや、白和えなどにすると風味を増します。お揚げさんと炊いたんなど、出汁との相性もいいです。

また「高山まなの漬物」がよく知られています。分量は、まな1kgに対して塩40gです。まなを一つかみずつ塩で揉み、容器に漬け込みます。残った塩は全体にふりかけます。まなの倍の2kgの重石を置き水が上がれば食べられます。まなを塩漬けにして3~4日目が食べごろです。

隠れキリシタンも食べたであろう、山里で受け継がれてきた早春の味を楽しみたいと思います。

春浅し高山まなを漬けにけり  洋子

 

浪速の味 江戸の味 1月【酢茎】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2023年12月24日 作成者: youko2023年12月24日

漬物が美味しい季節です。

京都の漬物と言えば聖護院蕪の根を薄くスライスし、塩漬けにした後、昆布、赤唐辛子、味醂、麹等で漬けた千枚漬、大原特産の茄子や胡瓜、茗荷などを刻んで赤紫蘇の葉を入れ塩漬けにした柴漬などが有名ですが、酢茎も人気の漬物です。

蕪菜の一種である酢茎菜(すぐきな)を葉付きのまま塩漬けにし、酸味が出てくると食べごろです。京都上賀茂の特産で、冬に漬け込みます。

真言宗の開祖である弘法大師の命日が旧暦三月二十一日なので、真言宗の寺院では毎月二十一日(新暦)が縁日となります。京都の東寺でも毎月の縁日は、大勢の参詣者で賑わいます。特に十二月二十一日は、一年の締めくくりとして、終弘法(しまいこうぼう)、終大師(しまいだいし)、年明けの一月二十一日は、初弘法、初大師と呼び、境内に立ち並んだいろいろな店は、押すな押すなの賑わいとなります。

骨董品、古着(着物・帯など)、小物、手作りアクセサリーなどの店は見て回るだけでも楽しいです。小腹が減るとたこ焼、お好み焼などを食べたりもできますが、一番のお目当ては、京都らしい佃煮、ちりめん山椒、漬物の店での買い物です。冬の漬物の代表である酢茎は特に人気で、複数が出店しています。大きな樽に酢茎が漬けてあります。酢茎売りが長い茎を根の部分にくるくる巻いて売ってくれます。

発酵したほどよい酸味が魅力で、食事の最後を酢茎でしめると爽やかな後味で大満足です。

寒い日が続きますが、酢茎を食べて元気にすごしたいと思います。令和六年がよい年になりますように。

酢茎売る東寺の塔を仰ぎつつ   洋子

浪速の味 江戸の味 12月【豚まん】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2023年11月27日 作成者: youko2023年11月27日

今年は11月上旬までは夏日もあり「夏日最長記録」の年でしたが、ここにきて一気に寒くなってきました。あわててコートを出しました。寒くなると、温かいものを食べたくなります。湯気が立っている「豚まん」もその一つです。大きめの中華まんじゅうです。豚ミンチと玉葱のみじん切りを砂糖、醤油、香辛料等で味付けしたものを中華まんじゅうの生地でくるみ、まるめて蒸し上げたものです。

大阪には、この「豚まん」で有名な店があります。戦後、難波に誕生した店がいまでは、あちこちに出店しています。関西圏のみの店舗展開なので、空港や主要な駅の改札近くの店には、大阪みやげに豚まんを買い求める長い列ができています。私も時々買っています。蒸したての豚まんは、ほかほかでおいしいです。好みで辛子をつけて食べます。

コンビニの出店が相次いだ頃、レジのところに中華まんじゅうの保温ケースが置かれているのを見て、不思議に思ったことがありました。「あんまん」「肉まん」と表示されていました。「あんまん」は餡子入りとわかるのですが、「肉まん」は、牛肉のミンチが入っているのかなと思っていたら、実際は、豚肉だったのでなぜ「豚まん」と言わないのかなと思ったものです。

関西では肉とだけ言えば牛肉なのですが、関東では鋤焼や肉じゃが、カレーなどにも、豚肉がよく使用されていることを知るにつけ、肉=牛肉とは限らないことがわかりました。豚肉は豚と呼んでお好み焼きはじめ、さまざまな料理に使っています。

全国展開するコンビニによって、「関東炊き」を「おでん」というようになったり、全国統一された呼び名がひろがりました。でも、その土地に根付いている呼び名は大事にしたいと思っています。

豚まんや湯気もろともにかぶりつき   洋子

浪速の味 江戸の味(10月)ひろうす【浪速】

caffe kigosai 投稿日:2023年9月24日 作成者: youko2023年9月25日

今年は秋暑しどころではない猛暑日が長く続き、秋はいつのことかいなと思っていたら、秋彼岸から秋らしくなってきました。「暑さ寒さも彼岸まで」とは、よく言ったものだと思います。多少落ちていた食欲も秋風とともに戻ってきました。実りの秋は美味しいものであふれています。

枝豆もそのひとつです。大豆を成熟させる前に収穫するので、きれいな緑色をしています。枝豆は鞘ごと塩ゆでにしても美味しいですが、その色をアクセントに様々な料理に使えます。水切りした木綿豆腐を崩し、山芋や卵白を加え、牛蒡、蓮根、にんじん、ひじきなどを細かく切って混ぜ,まるめて揚げたものを関東では「がんもどき」と言います。元々豆腐を使った精進料理で「雁の肉に似せたもの」ということで「がんもどき」です。

一方、関西では、「がんもどき」ではなく、「飛龍頭(ひりょうず)」「ひろうす」と言います。この名前は、ポルトガルの揚げ菓子「フィリョス」からきているとのことです。小麦粉と玉子の生地をボール状にして油で揚げ、シナモンシュガーをまぶした菓子なので、ドーナツのような感じかと思います。製法や見た目は似たところがありますが、関西で菓子でもないのになぜ「ひろうす」と呼ぶようになったのか不思議な気がします。江戸時代のポルトガル菓子に思いを馳せつつ、枝豆入りのひろうすの炊いたんと栗ご飯で秋を満喫したいと思います。秋も深まってくると、ぎんなんもひろうすの具材に加わります。

ひろうすの炊いたん秋の昼餉かな  洋子

浪速の味 江戸の味 8月【半助豆腐】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2023年7月21日 作成者: youko2023年7月22日

夏の土用の丑の日には、身体をいたわり精の付く鰻を食べます。鰻の蒲焼の関東風は、背開きにして、白焼き、蒸す、竹串を使い、頭を落としてから焼くのが特徴ですが、関西風は、腹開きにして、蒸さず、金串を使い、頭を付けたまま焼き、最後に頭を落とします。甘辛いタレが鰻の蒲焼によく合い、鰻重、鰻丼にすると食が進みます。そうそう贅沢もできませんが、始末の精神を感じる料理を紹介します。

鰻の蒲焼の落とした頭を使い、焼き豆腐と炊き合わせにしたのが「半助豆腐」です。タレがしみ込んだ香ばしい鰻の頭を最後に加えることで、焼き豆腐の炊いたんの風味がぐんと増します。鰻の頭を「半助」と呼んでいます。その昔、一円を「円助」と呼び、鰻の頭ひと山がその半分の五十銭で売られていたからとか、いくつか説があるようです。

上方落語の「遊山船」にも「半助」が登場します。庶民の代表の喜六、清八(東京では熊さん、八っつぁん)が、行水を済ませて、難波橋の方へ夕涼みにやってまいります。橋の上は行き交う人で賑わっています。橋の下もなにやら賑やかです。見ると、大きな屋形船が大川へ出て行きます。夕涼みの船です。船には客と一緒に芸妓、舞妓、幇間が乗っており、板場、中居もいます。船上で美味しいものを食べつつ、お座敷遊びを楽しもうというなんとも贅沢な夕涼みです。

橋の上から船の様子を見て、出てくる料理をちゃかしていた二人ですが、黒っぽい四角くて長いものが皿にのせられて出てくると、あれは何やと喜六が清八に尋ねます。「鰻」だと聞いた喜六が「うちの鰻と形が違う。」「うちのんは、こんな丸いころっとしたんや。」と言い出します。清八が「お前の言うてんのは、半助言う鰻の頭や。あれは鰻の胴や。」と教えてやります。喜六は「鰻の胴は食べたことない。」てなことで、鰻の頭「半助」は、庶民にとって身近な食材だったようです。

暑気払ひ半助豆腐ありまつせ   洋子

 

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第二十七回 2025年6月14日(土)13時30分(原則第二土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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