いどばた歌仙 善哉 雲雀の巻 初折の表/第三
歌仙は森羅万象を詠むつもりで、転じながら先へ先へと進めてゆきます。
前句に戻るような付けにならないようにしてください。
第三で、いただいたのは少し直して「遅ればせながらと炬燵塞ぎゐて」
屋外から屋内に転じています。
耕人、もしくはその家族の暮らしぶりが感じられます。
「遅ればせながら」と大仰な表現に対して、生活感のある「炬燵塞ぐ」
(春炬燵を片付ける)なのでちょっとしたギャップを感じ、おかしみが
あります。
ただ、原句「塞ぐらん」の「らん」(=らむ)の助動詞は、推量(して
いるだろう)の意味になるので、じゃあ「誰が炬燵を塞ごうとしている
の?」となってしまいます。
「遅ればせながら」と主体の気持を明確に述べているので、主体が炬燵を
塞ごうとしないとちぐはぐになります。
五句目が「月の定座」なので、四句目はさらりと軽く詠んでください。
四句目は雑(ぞう)です。雑は季語を入れません。短句(7・7)です。
【初折の表】
発句 雲雀鳴く毛馬の堤に遊びけり 洋子(春)
脇 耕人仰ぐ夕映えの峰 豊(春)
第三 遅ればせながらと炬燵塞ぎゐて 桃瑪(春)
【付句候補】
・〇
遅ればせながら炬燵を塞ぐらん(桃瑪)
・△
誰もゐぬ日曜日には朝寝して(真知子)
・
きらきらと近江の海より明けそめて
菜の花の道を下れば海に出て
入学の門揚々とくぐるらん
葉桜の庵を出でて旅ゆかん
呼子鳥互い呼び合ふ空高く (気持のいい句ですが、発句で雲雀が鳴いています。)
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