いどばた歌仙 善哉 雲雀の巻 初折の裏/二
明るく軽やかな恋句です。
歌仙は「先へ」転じるのですが、転じたことで前句の内容が深まることも
面白みの一つです。
今回の付句は、結婚相手を探している子どものため、親御さんが釣書を配っています。
それも「あちらこちらに」という懸命さ。良縁を願う親心が伝わってきます。
もしくは、自身の結婚相手を探して自分で釣書を配っているとなると、また別の
面白さがあります。
どうとるかで、前句の郁子の実の垣根に数多ぶら下がった家の住人が違ってみえます。
先へ進むうちに、自ずから前句の状況が浮かび上がってくるのです。
では、先へすすみましょう。
次も恋で。長句。季語は入れません。
【初折の表】
発句 雲雀鳴く毛馬の堤に遊びけり 洋子(春)
脇 耕人仰ぐ夕映えの峰 豊(春)
第三 遅ればせながらと炬燵塞ぎゐて 桃瑪(春)
四 大声で呼びかへす豆腐屋 久美(雑)
五 月今宵猫の集会あるらしく 美津子(秋・月)
六(折端) 街の灯遠く秋潮の音 うた子(秋)
【初折の裏】
一(折立) 郁子の実の垣根に数多ぶら下がり 桃瑪(秋)
二 あちらこちらに配る釣書 茉胡(恋)
【付句候補】
・〇
あちらこちらに配る釣書(茉胡)
・△
孫と変わらぬ齢とぞきく(貝太)(どのような関係か気になります。)
・
妹に来て見合の釣書
ゼット世代はみな同じ貌
ちょうちょ乱舞し草の葉ベッドへ(妖艶な句でおもしろいですが、蝶は春の季語です。)
口喧嘩しつつ距離の縮まる
虫すだく夜は想い募りて(虫すだくは秋の季語です。)
自慢じやないがわれ子沢山 (たのしい句ですが、「沢山」が前句の「数多」と重なります。)
手話にて交はすけふの買ひ物