朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会(4月)
今月の兼題はサイト「カフェきごさい」より3月の季語「春眠」、料理「翁和」(木の芽和など)、花「苺の花」です。
【特選】
百獣の王もあくびや春眠し 涼子
動物園にいるライオンはいつも欠伸をしているような気もするが、そうは言ってもさすが百獣の王、欠伸も威風堂々。句は春眠と欠伸という普通は付過ぎになるあたりまえの素材を、「百獣の王」という存在感のある欠伸をもってきたことでしっかりした一句になった。
鳥笛に応ふる鳥や木の芽晴 隆子
鳥笛に応えている鳥の声というのがいい。「木の芽晴」という季語が世界を広げている。
【入選】
草木瓜の花咲くここに暮らしをり 稲
いろいろな花が考えられるが「草木瓜」はとてもいい。
ちちははのあと追ひかけておぼろかな 多惠
両親に遅れそうになった幼いころの心細い思い出とも、そこから始まった人生そのものとも。
花こぶし風のざわめく屋敷林 周作
家を風雨から守る屋敷林。早春の強風に家屋敷全体が煽られている様子が目に浮かぶ。辛夷の花が印象的。
墨東の川巡りゆく花筏 守彦
花過ぎの空気のようなゆったりした調べが句の内容と合っている。
クレソンの辛きに春の目覚めけり 隆子
「春の目覚め」が漠然としている。自分が目覚めた?
葉桜は風の棲み家となりにけり 栄順
「なりにけり」が少し冗長。
無事伝ふ姉の結へし粽来る 弘道
「来る」までは言い過ぎ。「粽かな」。
植替や鉢の形の根にも春 今日子
「鉢の形の根」はなんとなくわかるが、正確には言えていない。「春」もなんとなくわかるが、正確にはわからない。「植替の」。
産着てふ花の衣と思ひけり 栄順
「衣にくるまれて」など、はっきり描く。
「カフェきごさい」句会は、この四月から六年目に入りました。日時も第一土曜日午前中から第二木曜日午後に移り、新しいお仲間も参加。よりよい俳句を目指し鍛錬していきましょう。5月の「カフェきごさい」句会の兼題は4月のサイトより、季語「霞と朧」、料理「クレソンのポテトサラダ」、花「あせぼの花」です。
三千世界花散り果てし朝寝かな 光枝