第二十七回カフェきごさいズーム句会(2025年(令和七年)6月14日)の句会報告です。( )は推敲例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。見学も大歓迎。詳しくは右の案内をご覧ください。
第一句座
【特選】
イアーゴのたじろぐ白や朴の花 悠
ソーダ水みんな哀しく美しく 真樹子
(ソーダ水昭和哀しく美しく)
わが髪のうねりいよいよ梅雨入りかな 京子
若き日のヴィトンのバッグ黴にやる 美津子
【入選】
老鶯応ふや夫の口笛に 桂
(夏鶯応ふや夫の口笛に)
呼ばれても聞こえぬふりの端居かな 真知子
花南天かすかな風か零れけり 悠
家々の麦飯旨き芒種かな 龍梅
(わが家の麦飯旨き芒種かな)
夏闇に寝る一瓶の梅酒かな 京子
(一瓶の梅酒の眠る夏の闇)
梅雨寒し背番号3旅立ちぬ 光尾
(荒梅雨や背番号3旅立ちぬ)
田植ゑ終へ煙草喫ふ父背の大き 光尾
(煙草吸ふ父の背大き植田風)
これからも二人きりなる冷蔵庫 真樹子
(これからも二人きりなり冷蔵庫)
こどもらはカープデビューよ夏帽子 京子
家中の時刻まちまち時の日よ 光尾
(人類の時刻まちまち時の日よ)
あたらしき夏へ開かん能登の海 京子
(あたらしき夏へ漕ぎ出す能登の海)
骨のかけら珊瑚のかけら沖縄忌 雅子
尾山祭気負ふしんがり能登キリコ 淳
便りまず紫陽花色づきしことを 京子
(便りせん紫陽花の色づきしこと)
半袖の子の腕細し更衣 雅子
飛岡光枝出句
鱚釣りて父の機嫌や酒一合
第二句座(席題・鯰、籐椅子)
【特選】
人の世を笑ひて不動鯰かな 光尾
【入選】
籐寝椅子からだ横たふるに足りず 京子
この川に鯰ゐるとかゐないとか 京子
ひと風呂の汗ひいてきし籐の椅子 美津子
縄文の色とも思ふ鯰かな 真樹子
(縄文の色して静か大鯰)
空き家なる縁側の主籐の椅子 悠
(空き家なる縁側にゆれ籐の椅子)
籐椅子に雲の曼荼羅見てをりぬ 真樹子
(籐寝椅子雲の曼陀羅見て飽かず)
梅雨鯰泥に潜れて憩ひける 龍梅
(梅雨鯰泥に潜りて眠りけり)
籐椅子を猫に譲りし昼下り さゆり
(籐椅子を猫に譲りて父の昼)
破れたる父の籐椅子捨てられず 真知子
飛岡光枝出句
中華包丁つるりと逃れ梅雨鯰