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カフェきごさい「ネット句会」4月 互選+飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2021年4月6日 作成者: mitsue2021年4月8日

【連中】雅子 裕子 光尾 隆子 都 涼子 和子 勇美 桂 あきえ 良子 弘道 すみえ 光枝

良子選
うすうすと真昼を月の出開帳  隆子
我らみな地に生きるもの桜咲く  涼子
寄り添へぬ心と心芋を植う  桂

裕子選
AIで喋る子犬と暮らす春  雅子
出開帳さくらの蕊を踏みながら  隆子
上野まで母を迎へに初桜  良子

あきえ選
銀嶺や桜の海に浮かびたり  和子
雪洞に花浮かびおる疎水べり  弘道
鶯や真白きシーツ干し終へて  涼子

桂選
よなぐもり湖底の龍は腹空かせ  都
黄砂降る疫つぎつぎと姿かへ  すみえ
朝起きて一杯の水万愚説  裕子

すみえ選
よなぐもり湖底の龍は腹空かせ  都
燕の子土間を汚して巣立ちけり  光枝
寄り添へぬ心と心芋を植う  桂

都選
我ら皆地に生きるもの桜咲く  涼子
銀嶺や桜の海に浮かびたり  和子
先送りの北窓開く校了日  あきえ

涼子選
よべは月美しかりし蒸鰈  隆子
銀嶺や桜の海に浮かびたり  和子
春雷や子ども俳句の恐ろしく  光枝

勇美選
花散つて今朝はま白き花の道  雅子
白木蓮や母の真珠とおなじいろ  あきえ
病癒ゆ草餅の草噛みしめん  すみえ

雅子選
よべは月美しかりし蒸鰈  隆子
春光の滴たらたら鴨の嘴  桂
春雷や子ども俳句の恐ろしく  光枝

弘道選
うす暗き土間なつかしや草の餅  都
夜べは月美しかりき蒸鰈  隆子
帰らむか生家の辛夷咲くころぞ  都

隆子選
花散つて今朝はま白き花の道  雅子
寄り添へぬ心と心芋を植う  桂
病癒ゆ草餅の草噛みしめん  すみえ

和子選
一切をしばし覆ひぬ花万朶  勇美
花筏ほどかぬほどの細き雨  勇美
桜貝すなごは小さく歌ひけり  あきえ

光尾選
一人づつ名前呼ばれて菫笑み  和子
花筏ほどかぬほどの細き雨  勇美
出開帳さくらの蕊を踏みながら  隆子

《飛岡光枝選》
【特選】
白木蓮母の真珠とおなじ色  あきえ

白木蓮はその形を燭台などにたとえた句はたくさんありますが、その色を真珠色として新鮮。そして、その真珠が母の真珠とは何とも深い思いを蔵した一句となりました。原句は「白木蓮や母の真珠とおなじいろ」。「はくれん」と読ませたい場合は、「白木蓮は」。

花散つて今朝はま白き花の道  雅子

言葉の巧みな運びにより一本の白い道が目の前に浮かんできます。

畑に人信濃の里は花あんず  すみえ

上五の「畑に人」で命が吹き込まれました。すっきりとした句の姿がいい。

【入選】
はるかなるウイグルの民黄砂舞ふ  光尾

今年は東京でも黄砂が降りました。身体に影響がある方もいて深刻なことですが、彼方の砂漠からの来訪者と思うと胸が熱くなるものがあります。句は
その地の人々へ思いを馳せて大きな一句となりました。原句は「ウイグルの民何思ふ黄砂舞ふ」。

オフィスへ履くスニーカー朝桜  涼子

ニューヨーカーの通勤時の足元がパンプスからスニーカーになったのは、同時多発テロの後。日本では大震災の後でしょうか。それにマスクが加わり現在はよりたいへんですが、毎朝桜が応援してくれているようです。原句は「オフィスへと履くスニーカー朝桜」。

コロナ禍を桜前線駆け抜ける  裕子

いつの世も変わらない自然のたくましさ。ただ、今年は多くの地域での早すぎる開花が気になります。原句は「コロナ禍や桜前線駆け抜ける」。

よなぐもり湖底の龍は腹空かせ  都

黄砂という大きな自然現象と龍が呼応する一句。そういえば龍は何を食べるのでしょう。

一人づつ呼ばれる名前すみれ笑む  和子

新入生の最初の点呼を思いました。大切な名前。原句は「一人づつ名前呼ばれて菫笑み」。

黄砂ふる疫つぎつぎと姿かへ  すみえ

まさに今、全世界の思い。季語が的確です。

出開帳さくらの蕊を踏みながら  隆子

出開帳のしめやかながら人々の華やいだ心映えがよく描かれています。ただ季重なりは慎重に。

春光の滴たらたら鴨の嘴  桂

鴨の嘴からの水滴や泥を詠んだ句はたくさんありますが、「春光の滴」として新鮮。春の鴨の句。

鐘楼へ上る石段花ふぶき  良子

きちんと描けた一句。情景がよく見えます。

人の来ぬ堤に花の咲き満る  雅子

今年に限らず、あまりに見事な桜を一人で見る時のとまどいが感じられます。

全山の花雲揺るる吉野かな  弘道

「全山」と打って出たところがいい。原句は「全山に花雲揺るる吉野かな」。

カフェきごさい「ネット句会」4月 投句一覧

caffe kigosai 投稿日:2021年4月1日 作成者: mitsue2021年4月2日

☆「ネット句会」専用の投句、選句欄が出来ました。

4月「ネット句会」の投句一覧です。以下の【投句一覧】から3句を選び、参加者は「ネット句会」欄(「カフェネット投句」欄ではなく、その下にある「ネット句会」欄へお願いします)に番号と俳句を記入して送信してください。選句締め切りは4月4日(日)です。みなさんの選と店長(飛岡光枝)の選はこのサイトにアップします

【投句一覧】
1 AIで喋る子犬と暮す春
2 アネモネや眠たくもあり妖しくもあり
3 ウイグルの民何思ふ黄砂舞ふ
4 うすうすと真昼を月の出開帳
5 うす暗き土間なつかしや草の餅
6 オフィスへと履くスニーカー朝桜
7 コロナ禍や桜前線駆け抜ける
8 よなぐもり湖底の龍は腹空かせ
9 よべは月美しかりし蒸鰈
10 一人づつ名前呼ばれて菫笑み
11 一切をしばし覆ひぬ花万朶
12 燕の子土間を汚して巣立ちけり
13 黄砂ふる疫つぎつぎと姿かへ
14 黄砂ふる真昼富士山夢の中
15 花散つて今朝はま白き花の道
16 花桃の大波小波山を越へ
17 花筏ほどかぬほどの細き雨
18 花筏舞妓の涙そっと乗せ
19 我ら皆地に生きるもの桜咲く
20 海知らぬ吾子へ手渡すごうなかな
21 寄り添へぬ心と心芋を植う
22 帰らむか生家の辛夷咲くころぞ
23 銀嶺や桜の海に浮かびたり
24 桜貝すなごは小さく歌ひけり
25 時刻表枕に終の春休み
26 出開帳さくらの蕊を踏みながら
27 春の峰わた雲二つ遊びをり
28 春光の滴たらたら鴨の嘴
29 春灯や町にひとつの喫茶店
30 春雷や子ども俳句の恐ろしく
31 鐘楼へ上る石段花ふぶき
32 上野まで母を迎へに初桜
33 人の来ぬ堤に花の咲き満る
34 責任を果たし終えてか椿落つ
35 雪洞に花浮かびおる疎水べり
36 先送りの北窓開く校了日
37 全山に花雲揺るる吉野かな
38 朝起きて一杯の水万愚節
39 白木蓮や母の真珠とおなじいろ
40 畑に人信濃の里は花あんず
41 病癒ゆ草餅の草噛みしめん
42 鶯や真白きシーツ干し終へて

カフェきごさい「ネット句会」4月のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2021年3月27日 作成者: mitsue2021年3月27日

☆「ネット句会」専用の投句欄ができました☆
カフェきごさい「ネット句会」は、どなたでも参加自由です。4月の句会の投句締切りは3月31日(水)です。このサイトの右側に出ている「ネット句会」欄より、3月31日までに3句を投句ください。4月1日中にサイトへ投句一覧をアップしますので、4月4日までに参加者は3句を選び、投句と同じ方法で選句をお送りください。今まで「ネット投句」欄へ投句いただいていましたが、「ネット句会」の専用欄を設けましたので、投句、選句ともそちらへお送りください。このサイトへ参加者の互選と店長・飛岡光枝の選をアップいたします。今年の桜は早く、各地で開花~満開を迎えていることと思います。春爛漫のネット句会です。(店長・飛岡光枝)

カフェきごさい「ネット投句」(三月)飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2021年3月25日 作成者: mitsue2021年3月25日

【入選】
花脊いま摘草料る頃ならん  弘道

「花脊」とは、その地名が春爛漫。原句は「花脊いま摘草料理の春となる」。花脊で摘草料理といえばあの店と限定されてしまう。より世界を広げたい。

禍々しき雪崩跡なり山の泣く  和子

山笑うのを待つ季節の惨事。原句は「禍々し雪崩跡かな山の泣く」。

春スキー磐梯山の微笑みぬ  和子

上五に置いた「春スキー」が活きている。原句は「春スキー磐梯山も微笑みて」。

空色のボートでくぐる桜かな  勇美

桜の木の上から眺めているような一句。句のリズムが、ゆっくりと動くボートのよう。

神官の杜の百年朝ざくら  涼子

百年の間毎年開いてきた朝桜に思いを馳せる。「朝ざくら」がいい。

春月やひとりひとりと友の逝く  弘道

季語「春月」がよく効いている一句。「春月やひとりまたひとり友の逝く」も。

【投句より】
(海苔を掻く波荒々し日本海)
形も内容も破綻なく描けていますが、日本海の形容、海苔掻きの様子が一般的な範疇に収まってしまっているのが残念。

(朝桜あふぐ白亜の新校舎)
「あふぐ」が「朝桜」にも「白亜の新校舎」にもかかってしまい、曖昧な印象になってしまいました。作者は思い込みがあり伝わっていると思いがちですが、今一度の見直しが大切です。

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」2月

caffe kigosai 投稿日:2021年3月25日 作成者: mitsue2021年3月25日

新宿の朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイトより二月の季語「花を待つ」、花「連翹」、浪速の味「すべらんうどん」です。

【特選】
鍬の柄に凭れて仰ぐ春の雲  勇美

春まだ浅い頃、ゆっくりと始まる畑仕事。見上げる春の雲に来る季節への喜びが感じられます。原句は「鍬の柄をささへに仰ぐ春の雲」。

咲き満ちて金の孔雀やいたちぐさ  涼子

「いたちぐさ」は連翹の古称。「金の孔雀」と言い切って成功しました。風に光る連翹が見えるようです。

春の雪すべらんうどん待ちをれば  涼子

「春の雪」が秀逸。合格を祈願して食べるすべらんうどんを待つ心持とやさしく呼応します。

【入選】
流氷の果に眠れる墓いくつ  弘道

終わることのない悲しみを運んで来るかのように今年も流氷が接岸します。原句は「流氷の先に眠れる墓いくつ」。

春日傘汐風松をかがやかす  勇美

春の海辺の空気が伝わってきます。「夕風」もありか。

綿半纏石垣を背に日向ぼこ  守彦

綿半纏と石垣の手触りの違いが、より句に実感を与えています。原句は「綿半纏石垣背にし日向ぼこ」。

雛つるし待つ人あらむ波の音  弘道

「波の音」につるし雛がゆれている風情。原句は「つるし雛待つ人あらむ波の音」。

軽鴨の逆立ち泳ぎ水温む  和子

軽鴨の動きをよく捉えて的確に描写。言葉が過不足なく働いている一句です。

似顔絵を頼むミモザの香る丘  涼子

「丘」の一語でミモザが咲いている様子がよくわかります。「頼み」のほうが軽い印象になります。

下町の軒連なりて小梅咲く  守彦

なにげない句ですがしっかり描けています。「小梅」が下町らしい。

二つ三つ椿流るる谷の川  弘道

上流の椿はまだまだ花の盛り、日ごとに流れる椿の数が増えていくことでしょう。

カフェきごさい「ネット句会」4月のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2021年2月28日 作成者: mitsue2021年2月28日

カフェきごさい「ネット句会」は、どなたでも参加自由です。4月の句会の投句締切りは3月31日(水)です。このサイトの「ネット投句欄」より、3月31日までに3句を投句ください。4月1日中にサイトへ投句一覧をアップしますので、4月4日までに参加者は3句を選び、投句と同じ方法で選句をお送りください。サイトへ、参加者の互選と店長・飛岡光枝の選をアップいたします。春の花々が目を楽しませてくれる3月、桜の開花も待たれます。どうぞ様々な季語にトライしてみてください。(店長・飛岡光枝)

カフェきごさい「ネット投句」(二月)飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2021年2月25日 作成者: mitsue2021年2月25日

【特選】
時刻むせせらぎの音山眠る  和子

山の眠りを守るかのように流れるせせらぎの静寂。「時刻む」が秀逸。原句は「時きざむせせらぎの音山眠る」。

【入選】
大根煮て家中匂ふ未だ寒し  守彦

煮大根の匂いに春を待つ思いが籠った率直な一句です。

春一番とりどりの絵馬かき鳴らし  勇美

原句は「とりどりの絵馬かき鳴らし春一番」。「春一番」の置き方次第で俳句の力がぐっと増します。

連翹の飛び立ちさうな日和かな  勇美

ここまではみんなが感じる範疇、ここからもう一歩前へ。「連翹の飛び立つてゆく日和かな」。

にぎやかに連翹の散る疎水かな  涼子

「にぎやかに」が連翹らしい。

花を待つすべらんうどん平らげて  涼子

「平らげて」に浪速の勢いがあります。原句は「花待たむすべらんうどん平らげて」。

雪形の馬の脚より細りゆく  弘道

雪形の状態を詠んだ句はたくさんありますが、馬の脚とまで細かく詠んで新鮮かつ愉快。原句は「雪形の馬の脚より細りけり」。

魞挿すや湖面を揺らし小舟ゆく  弘道

ゆったりとした初春の湖の情景。原句は「魞挿すや湖面を揺らす小舟かな」。魞を挿す作業と小舟の関係をよりはっきりと描きたい。

草萌ゆる柔らかき土踏んでゆく  和子

どこまでも歩いて行けそうな春の野山。原句は「柔らかき土踏む恵み草萌ゆる」。

【投句より】
「春めくやこの地球のこの国で」
季節が廻る喜びを大きく捉えた意欲作ですが、この句の場合は「春めく」という季語が曖昧で像を結びません。「春の雨」など具体的な季語を置いてみましょう。

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」1月

caffe kigosai 投稿日:2021年2月25日 作成者: mitsue2021年2月25日

新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。1月の兼題はサイト「カフェきごさい」より、1月の季語「食積」、花「松」、江戸の味「七草粥」です。(光枝)

【特選】
静かなるとどろき夜半のラッセル車  勇美

夜の向こうからやってくるラッセル車の気配を「静かなるとどろき」として捉えた。

天鵞絨の肩に咲きたる六花かな  勇美

「肩」の一語でビロードの手触りがぐっと際立った。「咲きたる」が少々きれいすぎるか。

雑煮椀餅の下より帆掛船  勇美

正月らしいなんとも目出度い一句。

【入選】
七草や摘むには惜しき籠仕立  涼子

古人が野山で若菜を摘んでいる風情。

穴ひとつ花で飾らむ白障子  涼子

花が開いて、冬の白障子が春の障子に。日本のよろしさが滲む一句。

マフラーと帽子合はせて癌の友  和子

少しでも明るく楽しく過ごそうとする友への思い。「お揃ひ」などもあり。

寒月を突き刺してゐるタワーかな  勇美

「ゐる」では句の勢いがそがれてしまう。「突き刺しそびゆ」など工夫を。

初夢や手つないでくれし兄と姉  弘道

繋いだ手の感触がまだ残るよう。

箸紙に記しこし名の一つ欠け  和子

人生の寂しさを感じるのも、新しい年の初めならでは。

初雀ちゆんとお辞儀をしてゆきぬ  涼子

お辞儀ととらえた作者の心のよろしさ。「初雀ちゆんとお辞儀をして去りぬ」も。

雀来てヴェランダからの御慶かな  弘道

こちらもほほえましい初雀。「雀来て」に動きがあり、句がいきいきした。

七草籠あはれ鈴菜の大きかり  光枝

浪速の味 江戸の味 三月 【海苔・助六所縁花見弁当】(江戸)

caffe kigosai 投稿日:2021年2月21日 作成者: mitsue2021年2月21日

東京湾の海苔篊

私の両親はともに兵庫県の山間部出身で、子供のころは帰省のたびに「浅草海苔」を持って親戚を訪ねていました。昭和30年代後半のことです。

そのころの日本の食卓に海苔は欠かせないものでした。米をより美味しくしてくれるだけでなく、タンパク質、ビタミン、カルシウム、タウリンなどが豊富で食物繊維もとれる優秀な食品です。

海苔の採取は冬から春に行われます。11月から12月の早い時期に採れた「新海苔」は冬の季語、植物としての「海苔」や「海苔掻き」「海苔舟」「海苔干す」などの一連の作業は春の季語となっています。

日本人と海苔との付き合いは古く、平安時代の書物に早くも登場します。養殖されるようになったのは江戸時代中期とか。現在の東京都大田区大森から品川にかけての江戸湾で始まったといわれています。江戸期の海苔作業の様子は、冬から春の風物詩として多くの浮世絵に描かれています。

大森の良質な海苔は「御膳海苔」として将軍家に献上されました。海苔づくりの技術は江戸時代後期に各地に広まり、江戸前海苔の旨さは「浅草海苔」の名で全国に知られるようになりました。

大森周辺は明治から昭和初期にかけて日本一の生産地になりましたが、昭和30年代には東京湾の水質が悪化。埋め立て計画も浮上して、大森漁業協同組合は漁業権を放棄。250年続いた大森の海苔づくりは、昭和38年春をもって終りを迎えました。しかし現在でも大森には50軒ほどの海苔問屋があり、全国から集まる海苔の目利きとしての役割をはたしています。

「海苔巻き」と「稲荷寿司」の詰め合わせを「助六寿司」と呼ぶようになったのは江戸時代中期とのこと。稲荷寿司の油揚げの「揚げ」と海苔巻きの「巻き」を、歌舞伎十八番「助六所縁江戸桜」に登場する花魁「揚巻」にひっかけたわけです。なんとも江戸っ子らしい洒落ですね。

昨年はお預けだった賑やかなお花見、今年は花の下で「助六寿司」でもつまみながら楽しみたいものです。(光枝)

深々と海苔の眠るや銀の缶  光枝

カフェきごさい「ネット句会」2月 互選+飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2021年2月8日 作成者: mitsue2021年2月11日

(連中)
桂 裕子 和子 都 涼子 雅子 すみえ 良子 勇美 弘道 昌子 隆子 光尾 ひろ女 光枝

桂選
麦踏のはるかな記憶足裏に  都
豆食うて心の鬼をやらひけり  雅子
濃き闇の動く気配や豆を打つ  裕子

裕子選
六段の調べをくぐり初湯かな  ひろ女
糸繰るや野良の風音春近し  すみえ
大いなる風車がまはす初御空  勇美

和子選
嶺越しの風はつめたし蕪蒸  隆子
古井戸の底にちひさく春の空  勇美
新しき遥けき旅よ初日記  雅子

都選
命あまた抱きしづかや池の春  昌子
何があるわけでもなくて手帳買ふ  光尾
地回りの猫大あくひ春隣  光尾

涼子選
臘梅や狭き木橋を譲り合ひ  良子
距離をとる人ゐなけれど七日粥  雅子
大いなる風車がまはす初御空  勇美

雅子選
八ツ目鰻のけむり頼もし初不動  光枝
命あまた抱きしづかや池の春  昌子
日本の闇の深さや鬼やらひ  光枝

すみえ選
六段の調べをくぐり初湯かな  ひろ女
ふるさとは雪解雫の音の中  裕子
春蘭や地震の記憶を新たにす  昌子

良子選
佐保姫に案内を請うて梅探る  都
声高く見得切る童初芝居  和子
大いなる風車がまはす初御空  勇美

勇美選
地回りの猫大あくび春隣  光尾
熱燗やくさぐさの夢溶かしけり  弘道
濃き闇の動く気配や豆を打つ  裕子

弘道選
糸繰るや野良の風音春近し  すみえ
日本の闇の深さや鬼やらひ  光枝
ふるさとは雪解雫の音の中  裕子

昌子選
日本の闇の深さや鬼やらひ  光枝
ふるさとは雪解雫の音の中  裕子
大いなる風車がまはす初御空  勇美

隆子選
臘梅や狭き木橋を譲り合ひ  良子
距離をとる人ゐなけれど七日粥  雅子
水仙や村の外れの診療所  良子

光尾選
八ツ目鰻のけむり頼もし初不動  光枝
冬満月残して受験の旅に立つ  弘道
時計屋の時計まちまち日脚伸ぶ  桂

ひろ女選
ふるさとは雪解雫の音の中  裕子
日脚伸ぶ都電の駅の甘味茶屋  良子
時計屋の時計まちまち日脚伸ぶ  桂

(飛岡光枝選)
【特選】
命あまた抱きてしづか春の池  昌子

冬から目覚めんとしている早春の池の息遣いをとらえました。原句は「命あまた抱きしづかや池の春」。より池(水)へ集約する作りを考えてみましょう。

風花や丸き背中を見送りぬ  裕子

両親や恩師など思いのある年配の方との別れでしょうか。季語の「風花」に思いの深さが感じられます。

大いなる風車がまはす初御空  勇美

句の内容と合った大柄な作りが気持ちよく新年の句として上々。この作者らしい大らかな一句です。

【入選】
麦踏やはるかな記憶足裏に  都

人類の記憶としての麦踏、大きな句となりました。原句は「麦踏のはるかな記憶足裏に」。

寒餅を搗き伝来の臼洗う  弘道

餅ではなく「寒餅」でしっかりした句になりました。「洗ふ」。

糸を繰る野良の風音春ちかし  すみえ

原句は「糸繰るや」。句の内容に合うようにゆるやかな調べを。

地ふぶきや飲屋横丁軒寄せて  すみえ

北国の生活が見えてくる一句。句の姿もしっかりしています。

蝋梅や狭き木橋を譲り合ひ  良子

小さな流れに春を呼ぶ蝋梅。蝋梅の楚々とした様子と「譲り合ひ」が呼応します。

みづうみに潮のかをり蒸鰈  隆子

蒸鰈はその色も形もとても上品。句は蒸鰈が海を恋うかのような風情。

何があるわけでもなくて手帖買ふ  光尾

「手帖買ふ」は歳時記では「日記買ふ」に当たるかと思いますが、日記とはまた別な新年への思いがあります。

春隣地回りの猫大あくび  光尾

「地回り」の一語でこの猫の風貌が伺える愉快な句。原句は「地回りの猫大あくび春隣」。散文からの脱却を。

歌留多とり親子三代顔揃へ  和子

しっかり出来ていますが、少々型通り感あり。例えば「歌留多とり親子三代顔違ふ」などなど展開を。

湯気立ててすべらんうどん梅八分  隆子

「八分」が上手い。すべらなかったのか、どうか、微妙!?

距離をとる人ゐなけれど七日粥  雅子

自由が嬉しいような少し寂しいような、七日粥のやさしい味のなか。

宇宙より金継のごと初日の出  ひろ女

太陽の軌跡を神の目で眺めているような大きな初日の出。新年の心意気を感じる一句。こんな茶碗がほしいです。

濃き闇の動く気配や豆を打つ  裕子

節分に闇の句は数多ありますが、闇が動くと詠んで新鮮。

室の花一輪咲きぬありがたう  涼子

やっと咲いた一輪に思わず出たことば。

日脚伸ぶ都電の駅に甘味茶屋  良子

原句は「日脚伸ぶ都電の駅の甘味茶屋」。「の」と「に」の一字の違い肝要。

時計屋の時間まちまち日脚伸ぶ  桂

原句は「時計屋の時計まちまち日脚伸ぶ」。よく詠まれる題材だけにより緊密に。

2月の「カフェきごさい ネット句会」は新年らしい心のこもったよい句が多くありました。次回は春爛漫の4月の句会です。力作をお待ちしています。(店長・飛岡光枝)

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カフェ_ネット投句とネット句会

・ネット投句は、朝日カルチャーセンター新宿教室(講師_飛岡光枝)の受講者が対象になります。
・毎月20日の夜12時が締め切りです。
・選者はカフェ店長の飛岡光枝、入選作品・選評は月末までに発表します。
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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。朝日カルチャーセンター「句会入門」講師。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。句集に『玩具』『花実』。著書に『子どもの一句』。和光大・成蹊大講師。俳句結社「藍生」所属。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょうよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。

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