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第二十七回 カフェきごさいズーム句会報 (飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年7月12日 作成者: mitsue2025年7月12日

第二十七回カフェきごさいズーム句会(2025年(令和七年)6月14日)の句会報告です。(  )は推敲例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。見学も大歓迎。詳しくは右の案内をご覧ください。

第一句座              
【特選】
イアーゴのたじろぐ白や朴の花       悠
ソーダ水みんな哀しく美しく        真樹子
(ソーダ水昭和哀しく美しく)
わが髪のうねりいよいよ梅雨入りかな    京子
若き日のヴィトンのバッグ黴にやる     美津子
【入選】
老鶯応ふや夫の口笛に           桂
(夏鶯応ふや夫の口笛に)
呼ばれても聞こえぬふりの端居かな     真知子
花南天かすかな風か零れけり 悠
家々の麦飯旨き芒種かな          龍梅
(わが家の麦飯旨き芒種かな)
夏闇に寝る一瓶の梅酒かな         京子
(一瓶の梅酒の眠る夏の闇)
梅雨寒し背番号3旅立ちぬ         光尾
(荒梅雨や背番号3旅立ちぬ)
田植ゑ終へ煙草喫ふ父背の大き       光尾
(煙草吸ふ父の背大き植田風)
これからも二人きりなる冷蔵庫       真樹子
(これからも二人きりなり冷蔵庫)
こどもらはカープデビューよ夏帽子     京子
家中の時刻まちまち時の日よ        光尾
(人類の時刻まちまち時の日よ)
あたらしき夏へ開かん能登の海       京子
(あたらしき夏へ漕ぎ出す能登の海)
骨のかけら珊瑚のかけら沖縄忌       雅子
尾山祭気負ふしんがり能登キリコ      淳
便りまず紫陽花色づきしことを       京子
(便りせん紫陽花の色づきしこと)
半袖の子の腕細し更衣           雅子

飛岡光枝出句
鱚釣りて父の機嫌や酒一合

第二句座(席題・鯰、籐椅子)
【特選】         
人の世を笑ひて不動鯰かな        光尾

【入選】
籐寝椅子からだ横たふるに足りず     京子
この川に鯰ゐるとかゐないとか      京子
ひと風呂の汗ひいてきし籐の椅子     美津子
縄文の色とも思ふ鯰かな         真樹子
(縄文の色して静か大鯰)
空き家なる縁側の主籐の椅子       悠
(空き家なる縁側にゆれ籐の椅子)
籐椅子に雲の曼荼羅見てをりぬ      真樹子
(籐寝椅子雲の曼陀羅見て飽かず)
梅雨鯰泥に潜れて憩ひける        龍梅
(梅雨鯰泥に潜りて眠りけり)
籐椅子を猫に譲りし昼下り        さゆり
(籐椅子を猫に譲りて父の昼)
破れたる父の籐椅子捨てられず      真知子

飛岡光枝出句
中華包丁つるりと逃れ梅雨鯰
  

第二十六回 カフェきごさいズーム句会報告(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年6月1日 作成者: mitsue2025年6月1日

第二十六回カフェきごさいズーム句会 (2025年(令和七年)5月10日)
の句会報告です。(  )は推敲例です。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます、見学も大歓迎です。詳しくは右の案内をご覧ください。

第一句座              
【特選】
蝮草誰も見に来ぬ花咲かせ      和子
豆かんの二色だけを好みけり     雅子
(豆かんの二色好み好々爺)
桜貝どこへもゆけぬ君のため     京子
クサ亀が転げ落ちたり花の闇     桂
草笛や予期せぬ音の嬉しさよ     桂
(草笛の予期せぬ音の嬉しさよ)

【入選】
牡丹散る庭の要の失せにけり 桂
父母の待つ宇出津へあばれ祭の日   淳
(父母の待つ宇出津へあばれ祭かな)
便り来ぬ子の棲む国のおぼろかな   悠
光集む楓若葉は歓喜の歌       和子
(光集め楓若葉は歓喜の歌)
新品の田植機届く代田かな      好子
(新品の田植機すすむ代田かな)
白玉や君が幼な子だつたころ     真樹子
白牡丹ためらはず切る父のため    桂
田水張り蝦夷の富士山浮かべんと   真樹子
(田水張る蝦夷の富士山浮かべんと)
けふ一日ビニールシートも花筵    京子
(けふ一日ビニールシートの花筵)
大袈裟に啜るうどんや夏来る     さゆり
さわさわと茅花流しや雲の富士    光尾
瞑想や竹の落葉の降りしきる     美津子

飛岡光枝出句
夏の闇うごめく鯉の口幾万

第二句座(席題・ダービー 母の日)
【特選】
美しき水の流れよダービーは      桂
(美しき水の流れよダービーよ)
母の日や中国の母日本の母       龍梅
母知らぬ母と気付けり母の日に     悠
(母知らぬ母と過ごすやカーネーション)

【入選】
ダービーを気に掛けつつの句会かな   京子
勝馬の勇姿拝まん人の群れ       さゆり
母の日やうらやむ父の独り言      龍梅
母の日や好みは加賀の豆すはま     淳
(母の日や母の好みし豆すはま)
母の日や娘も母にならんとす      さゆり
         
飛岡光枝出句
鼻息の荒くしづかにダービー馬

第二十五回 カフェきごさいズーム句会報告(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年4月30日 作成者: mitsue2025年5月3日

第二十五回カフェズーム句会(2025年4月12日)の句会報告です。(   )は推敲例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。見学も大歓迎です。

第一句座              
【特選】
壺焼のひとつが噴けば次もまた  斉藤真知子
たんぽぽは歌ふ花なり我もまた     高橋真樹子
春の暮猫も家路に遠くなり       前田悠
花のごと生まれて花の産湯かな     上田雅子
山下りて清水に濡らす杖の先      周龍梅
(山下りて流れにすすぐ花の杖)

【入選】
河川敷の風のうねりや黄水仙      村井好子
(河川敷の風にうねるや黄水仙)
やさしくて時にはげしく鳥の恋     矢野京子
(時折は羽音はげしく鳥の恋)
春はやて右往左往す葱坊主       伊藤涼子
(春はやて右往左往の葱坊主)
春雷や鼻つ柱を圧し折られ       赤塚さゆり
梔子の花や谷中の夕まぐれ       鈴木勇美
百歳の花見は花の杖持ちて       上田雅子
(百歳の花見は花の杖をつき)
春怒濤むかし流人を運びけり      斉藤真知子
傘の下ふたり分け合ひ花見酒      鈴木勇美
(傘の下ふたり分け合ふ花見酒)
小半日父と二人の花筵         藤倉桂
熊避けや三橋美智也を唄いつつ      早川光尾  
(熊避けの三橋美智也を唄ひつつ)
八重桜春の重さをもてあます      葛西美津子
木曽川の長き鉄橋目借時        村井好子
結局は開かぬままの春日傘       斉藤真知子
胎の子をさすり春眠分かちあふ     高橋真樹子
がむしやらに生きて喜寿なり目刺焼く  藤倉桂 

あんぱんに臍すこやかや桜漬      飛岡光枝

第二句座(席題・春雷、雲雀)
【特選】         
こんにやくを春雷のごと包丁す     高橋真樹子
春雷や今日は私の誕生日        藤倉桂
(揚雲雀今日は私の誕生日)
【入選】
ずぶ濡れし犬の哀れや春の雷      上田雅子
(ずぶ濡れの犬の哀れや春の雷)
関税は何のことやら雲雀鳴く      斉藤真知子
(関税は何のことやら亀の鳴く)
首痛くなるまで空の雲雀かな      葛西美津子
春雷に浮かびし一句忘れけり      矢野京子
太陽の子になりたくて揚げ雲雀     藤倉桂
天守閣転げ落ちしか春の雷       矢野京子
(春雷に転げ落ちたり天守閣)
夕雲雀取り残されてしまひけり     矢野京子

揚雲雀きのふの声の落ちてくる     飛岡光枝
  

第二十四回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年4月11日 作成者: mitsue2025年4月11日

第二十四回カフェきごさいズーム句会(2025年3月29日)の句会報告です。(  )は推敲例。

第一句座 
【特選】
泰山の鳴動してか黄砂来る     早川光男
(泰山の鳴動止まず黄砂ふる)
駆け出せば子供らはもう春の風   矢野京子
(駈け出して子供らははや春の風)
噛み当てし眼かなしき蛍烏賊    葛西美津子
(噛み当てて眼かなしき螢烏賊)
児童公園母と子達の花筵      上田雅子
(一枚は母と子どもの花筵)

【入選】
恐ろしき炎が包む春の山      上田雅子
また一人欠けて詣る彼岸寺     赤塚さゆり     
北斎の浪の如くにミモザか     早川光尾
(北斎の浪とあふれてミモザかな)
空耳や父の声のせ春の風      前田悠
(空耳か父の声のせ春の風)
滝口の石に分かるや春かなし    花井淳
(滝口の石に分かるる春の水)
残り鴨お前も足を挫いたか     前﨑都
待ち受けにふるさとの山暖かし   早川光男
曲水や伏見の酒の香り立つ     花井淳
足投げ出す風やはらかき蝶の昼   伊藤涼子
五七五ゆく春の指折りながら    葛西美津子
(ゆく春や五七五と指を折り)
異国語の表紙の句集風光る     前田悠

むらさきに春明けゆくや初句集   飛岡光枝

第二句座(席題・四月馬鹿、青き踏む)
【特選】         
うかうかと過ぎてしまへり四月馬鹿 葛西美津子
(うかうかと老人となり四月馬鹿)
毎日が四月馬鹿なり大統領      前田悠

【入選】
若いよね言われしことも万愚説   斉藤真知子
十勝岳の風満身に青き踏む     高橋真樹子
爪先でふらつきながら青き踏む   早川光尾
宝くじ買つてしまひぬ四月馬鹿   伊藤涼子
万愚説痴呆の父に約束し      周龍梅

広州のあひる追ひかけ青き踏む   飛岡光枝
  

第二十三回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年4月11日 作成者: mitsue2025年4月11日

第二十三回カフェきごさいズーム句会(2025年2月8日)句会報告です。(  )は推敲例。
このズーム句会はどなたでも参加できます。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。見学参加も大歓迎です。

第一句座              
【特選】
鶏の鶏冠真つ赤や冴返る         藤倉桂
(鶏の真つ赤な鶏冠冴返る)      
まほろばや背高のつぽと春を待つ    花井淳
(まほろばや背高のつぽと春を待ち)
盆梅や居間は忽ち梅の間に       鈴木勇美
(盆梅や居間はたちまち梅の園)
ものの芽にやうやく影の生まれけり   斉藤真知子
(ものの芽にはやもう影の生まれけり)
春めいて手の届きさうな山の尾根    周龍梅
(春めくや手が届くかに山の尾根)

【入選】
探梅の一輪誰に告げようか       鈴木勇美       
福豆を数ふ間もなく酒のあて      花井淳
湯たんぽと聞いた遠くの波の音     藤井和子
(湯たんぽを抱へ遠くの波の音)
梅の風止むや遥かに波の音       鈴木勇美
梅二輪一輪だけと思ひしが       斉藤真知子
冴返る長き祈りを薬師如来       村井好子
(冴返る長き祈りの薬師如来)
熊笹を叩く一雨寒明くる        葛西美津子
二上の皇子偲ばるる春立つ日      前田悠
大羊歯は太古の緑寒明くる       葛西美津子
路地抜けてまた路地に入る梅ふふむ   赤塚さゆり
(早梅や路地抜けてまた路地に入る)
狐らし寒暮の畔をまつしぐら      藤倉桂
下校児の止まぬペチャクチャ寒明ける  伊藤涼子
(下校児の止まぬおしやべり寒明ける)
ライオンの鬣寂し春の雪         赤塚さゆり
しまひ湯や遠く雪崩の音ひびき     鈴木勇美
(しまひ湯や遠き雪崩の音ひびく)
亀泳ぐけふからはもふ春の水      斉藤真知子    
上野駅着けば降り止む春の雪      赤塚さゆり
雨はしろがね三椏はまだ莟       葛西美津子
誘導員顔固まりし冴えかへり      早川光尾
(冴返る顔固まりし誘導員)

春の雪まだ眠りゐるキムチ甕      飛岡光枝

第二句座(席題・雪かき、野火)
【特選】         
身の丈の雪に埋もれて雪を掻く     伊藤涼子

【入選】
鎮もりてまた立ちあがる野焼の火    伊藤涼子
雪かきの音で目覚める朝かな      斉藤真知子
ともかくも家から出たし雪を掻く    前田悠
甲板の雪は波へと落としけり      斉藤真知子
今まさに野火に捲かれて恋の道     葛西美津子
雪掻くや山にまつすぐ白き道      藤倉桂
(雪掻くや山へまつすぐ白き道)
まどろみて除雪車の音遠退きぬ     赤塚さゆり
誰もかも顔真つ赤なり雪を掻く     赤塚さゆり
雪掻きを雪投げといふ国言葉      高橋真樹子

からからの関東平野野火走る      飛岡光枝
  

新企画「加賀の一盞」スタートのお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2025年2月20日 作成者: mitsue2025年2月20日

「カフェきごさい」サイトに今月より、金沢在住の花井淳さんによる「加賀の一盞」がスタートします。世界中の食、特にお酒への造詣が深い花井さんの記事と写真をどうぞご期待ください。
このシリーズは「浪速の味 江戸の味」と交互に掲載の予定です。三か所から発信される食の様々をどうぞお楽しみに!(店長 飛岡光枝)

第二十二回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2025年2月1日 作成者: mitsue2025年2月1日

第二十二回「カフェきごさいズーム句会」(2025年1月11日)句会報告です。((  )は推敲例)。
このズーム句会はどなたでも参加可能です。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。見学も大歓迎です。

第一句座              
【特選】
さいはひ橋渡つて仕事始かな      鈴木勇美
菰を着て誰が面影や冬牡丹       葛西美津子
大欅ひび割れさうな冬の空       葛西美津子

【入選】
寒雀小さき礫のごと降り来       たきのみね
(寒雀光の礫となり降り来)
再会の辛子にむせぶおでんかな     鈴木勇美
(再会は辛子にむせぶおでんかな)
咲きながら眠れる冬の牡丹かな     葛西美津子
(くれなゐの眠れる冬の牡丹かな)
掃除会社からバイトの子煤払ひ     上田雅子
(煤払ひ掃除会社のバイトの子)
ストーブに火の揺らめきてポトフかな  高橋真樹子
(ストーブの火の揺らめきてポトフかな)
四世代ゐてなみなみと初湯かな     赤塚さゆり
(初風呂の湯をなみなみと四世代)
買初にすべらぬ箸を夫のため      前﨑都
(買初やすべらぬ箸を夫のため)
ごめ啼くや能登の寒さはいかばかり   葛西美津子
雪煙富士駆け上がりくれなひに     藤井和子
(富士駆け上がりくれなゐの雪煙)
丹頂の求愛のこゑ真白かな       高橋真樹子
(鳴き交はす真白きこゑや丹頂鶴)
冬眠の蛇おそろしき夢に醒め      斉藤真知子
人もまた雪にまみれて雪達磨      高橋真樹子
水仙のみなぎる命束ねけり       伊藤涼子
(水仙のしづかな命束ねけり)
ガザの子にせめての春や早く来い    早川光尾
(ガザの子に小さき春よ早く来い)
数独のなかなか解けぬ寅彦忌      村井好子
  
初雀ベランダの日を啄めリ       飛岡光枝
  

第二句座(席題・土竜打ち、寒夕焼)
【特選】         
土竜打つでたらめの歌大声で      葛西美津子
(土竜打ちでたれめな歌大声で)

【入選】
解体は明日も続きぬ寒夕焼       葛西美津子
(瓦礫解体明日も続く寒夕焼)
へうたんのような男の子よ土竜打つ   高橋真樹子
(へうたんのやうな男の子が土竜打つ)
土竜打ち叩きし縄はぼろぼろに     斉藤真知子
信州の雪舞ひ上げつ土竜打       花井淳
(信州の雪舞ひ上がる土竜打)
藁束もゆきまみれなり土竜打つ     矢野京子
(藁束のゆきにまみれて土竜打つ)
首かしげ鴉見てゐる土竜打       花井淳

土竜打つ戦なき世を願ひつつ      飛岡光枝
 

第二十一回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2024年12月25日 作成者: mitsue2024年12月25日

第二十一回カフェきごさいズーム句会 (2024年12月22日)句会報告です。
「カフェきごさいズーム句会」は、どなたでも参加いただけます。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。見学も大歓迎です。

第一句座              
【特選】
ともかくも冬至は餃子の欠かせない     周龍梅
(ともかくも冬至は餃子欠かせない)
冬薔薇人待つごとき蕾かな         斉藤真知子
(冬薔薇人待つごとく蕾あり)
しまひ湯の妻に柚子の実ひとつ足す     斉藤真知子
北国の不機嫌の並ぶ牡蠣の口        高橋真樹子
(北国の不機嫌並ぶ牡蠣の口)

【入選】
いづこより湧きゐる水や冬芹田       村井好子
(いづこより湧きでる水や冬芹田)
仕舞風呂捥ぎたての柚子一つ足し      藤倉桂
何編むにあらず真紅の毛糸買ふ       葛西美津子
数へ日やまだ捜し物してをりぬ       前﨑都
(数え日やまだ探し物見つからず)
侘助に聞かれてゐたり独り言        葛西美津子
ときどきは気が乗らぬ日も猿回し      斉藤真知子
野川てふやさしき名もて川枯るる      たきのみね
(野川てふやさしき名もて冬枯るる)
鬼ごつこ銀杏落葉をまき上げて       鈴木勇美
手渡せることも喜びお年玉         高橋真樹子
(手渡せることの喜びお年玉)
マッチ擦る祖母の手夜の玉子酒       たきのみね
討入りの日我ら句会に集ひけり       前﨑都
冬麗の真白き富士へ一機かな        伊藤涼子
(冬麗の真白き富士へ一機行く)
三姉妹大中小に着ぶくれて         鈴木勇美
(三姉妹大中小と着ぶくれて)
寒風を行くただ人に会わんため       たきのみね     
(寒風を行くただ一人に会はんため)
初詣この大杉と幾十年           花井淳
移り住み京の雑煮に馴染みけり       斉藤真知子
鴨の陣水にゆはへてあるやうな       葛西美津子
指先の触るればふはり冬木の芽       村井好子
(指先に触れる確かさ冬木の芽)
我めがけヒマラヤ杉の落葉降る       伊藤涼子

どの家も冬至の風呂の沸くころか      飛岡光枝

第二句座(席題・雪だるま、冬帽子)
【特選】         
喜びのでんぐり返る雪だるま        周龍梅
もう誰の手にも負へずよ雪まろげ      葛西美津子

【入選】
どこまでも父の冬帽目じるしに       矢野京子
(雑踏を父の冬帽目じるしに)
今日買ひし冬帽子今日失くしけり      村井好子
男来る今年も同じ冬帽子          斉藤真知子
再会のうれしさにある冬帽子        斉藤真知子
(再会のうれしさにあり冬帽子)
イーハトーブ抱きしめ歩む冬帽子      藤倉桂
泣きべその片目となりぬ雪だるま      葛西美津子
夜勤明け耳まで被る冬帽子         上田雅子
髪怒る冬帽風に奪はれて          藤倉桂

出棺の胸元に置き冬帽子          飛岡光枝

第二十回 カフェきごさいズーム句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2024年12月8日 作成者: mitsue2024年12月8日

第二十回「カフェきごさいズーム句会」 (2024年11月9日)
句会報告です。(  )は添削例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。見学も大歓迎です。

第一句座              
【特選】
枯蟷螂己の影に鎌挙ぐる        藤倉桂
松林を抜けて浪音けさの冬       葛西美津子
(松林抜けて波音けさの冬)
破る子も居らぬ障子をまた張りぬ    上田雅子
(破る子も居らぬ障子を貼りにけり)
冬立つや退院の空澄み渡り       前﨑都
枯れ蟷螂鎌振り上げて息絶えて      前﨑都
(枯れ蟷螂鎌振り上げて息絶えぬ)

【入選】
雪吊や夜はきらめく星を吊る      伊藤涼子
立冬やお香の型をジャスミンに     周龍梅
(ジャスミンの形のお香冬に入る)
唇を紅はみ出して七五三        矢野京子
(唇の紅はみ出して七五三)
スナップをきかす箒や落葉掻      村井好子
少年の少し大人び冬立ちぬ       たきのみね
(少年の少し大人び冬に入る)
墨を擦る手に力増し冬に入る      周龍梅
(墨を磨る我手に力冬に入る)
冬来る鰹節けづる愉しさよ       前﨑都
凩の山蘆にかかる竹箒         葛西美津子
(凩の三廬にかける竹帚)
祖父が打つ極太うどん冬に入る     藤倉桂
木枯一号通勤の列黙々と        伊藤涼子
立冬の風を突つ切れフリスビー     赤塚さゆり
少年や木枯連れて戻りくる       斉藤真知子
吹き過ぎて凩の柿あかあかと      葛西美津子
(吹き吹きて凩の柿あかあかと)
いと小さき熊手なれども手打ちかな   斉藤真知子
はぐれてはまた綿虫に分け入りぬ    高橋真樹子

蟷螂の枯れし目玉に闘志あり      飛岡光枝

第二句座(席題・小春、大根)
【特選】         
大蛸を広げて干して小六月       矢野京子
泰山の小春日和を浴びながら      周龍梅
(泰山の小春日和の中にかな)
念じつつ大根を煮る夜のあり      たきのみね

【入選】
迷ひきし猫に名をつけ小春かな     斉藤真知子
大根の白き太さを鰊漬け        高橋真樹子
(大根の白さ太さを鰊漬け)
小春日や村も眠つてをりにけり     伊藤涼子
(小春日や村の眠つてをりにけり)
どこまでも大根畑を三崎まで      伊藤涼子
(どこまでも大根畑三崎まで)
約束のやうに尻もち大根引く      葛西美津子
手料理は大根づくし祖母の家      赤塚さゆり
潮風の三浦大根引きにけり       葛西美津子
飲み友の大根一本下げて来る      前﨑都
(飲み友達大根一本下げて来る)

夜徹し能大根汁は湯気上げて      飛岡光枝

第十九回 カフェきごさいズーム句会 句会報(飛岡光枝選)

caffe kigosai 投稿日:2024年11月5日 作成者: mitsue2024年11月5日

第十九回「カフェきごさいズーム句会」(2024年10月12日)句会報告です。(   )は添削例。
「カフェきごさいズーム句会」はどなたでも参加できます。ご希望の方は右の申し込み欄からどうぞ。見学も大歓迎です。

第一句座              
【特選】
後の月眠りの国に母おはす      葛西美津子
秋の灯や手に馴染みたる熊野筆    矢野京子
荒涼の山くだりきて七竈       鈴木勇美
泥の海有明の月も遥かなり      藤井和子
(有明の月遥かなり泥の海)

【入選】
昆布締めにして艶めくや新豆腐    花井淳
(新豆腐昆布締めにして艶めける)
秋惜しむ店また一軒閉まりしと    周龍梅
(秋深し店また一軒閉まりしと)
今年米笑顔の君に供へけり      上田雅子
りすが来るまでは団栗そのままに   高橋真樹子
裸電球みんなで吊し秋祭       前﨑都
稲穂刈る嫗は一人影小さく      藤井和子
(稲穂刈る媼一人の影小さく)
ひと切れの松茸なれど土瓶蒸し    斉藤真知子
(ひとひらの松茸なれど土瓶蒸し)
無花果食ぶ薄き唇つやめかせ     赤塚さゆり
鯊を釣る蠢くゴカイ恐るおそる    前﨑都
(鯊を釣る蠢くゴカイ恐ろしき)
おひとりさまひとつ新米ならびおり  早川光尾
(おひとりさま一袋新米ならびおり)
名月を口実にして夫を呼ぶ      川鍋千栄子
秋の陽に干してけふから羽布団    上田雅子
窓開けて金木犀を一人占め      川鍋千栄子
いかにせむ卓に鎮座の大南瓜     斉藤真知子
(いかにせむ土間に鎮座の大南瓜)
焼さんま骨うつくしき母の皿     伊藤涼子

胡桃割るための金づち胡桃割る    飛岡光枝

第二句座(席題・茸、芒)
【特選】         
抱へ持つ舞茸の塊秋田人      花井淳
日暮れまで芒のなかの二人かな   上田雅子

【入選】
無造作に茸並べて田舎店      たきのみね
丈高く客間に活ける芒かな     上田雅子
同級の女ばかりの茸狩       矢野京子
一篭の茸さまざま鍋にせん     葛西美津子
茸取り名人常に孤独かな      前﨑都
お夜食に小さく握りし茸飯     赤塚さゆり
(夜食とて小さく握り茸飯)
毒茸ゆきづりの人誘ひけり     斉藤真知子
大阿蘇や見ゆる限りの芒山     斉藤真知子
(大阿蘇や見ゆる限りは芒山)

旅人の一夜宿りし薄かな      飛岡光枝

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第二十八回 2025年7月19日(土)13時30分(今月は第三土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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