ネット投句(6月)飛岡光枝選
【入選】
ででむしの今日いちにちの葉裏かな 今日子
夕方に葉裏にいる蝸牛を見かけると、蝸牛のそして人間である自分自身の時間にも思いがいく。蝸牛ならではの一句。
全身で脈を打ちたる泥蚯蚓 今日子
同じ作者が「鼓動打ちたる」で作った句があるが、鼓動も脈も基本的には規則正しいところが蚯蚓の様子には合わない。「泥蚯蚓」とするとより動的になる。「全身で大地を打つや泥蚯蚓」。
あぢさゐの毬ま青なる地球かな 隆子
紫陽花を地球にたとえる句はたくさんある。より大いなる飛躍を。
両手にて掴みに行くや青嵐 周作
両手で掴みに行くという心持ちが青嵐に合っているが、もっと具体的に。青嵐はもちろん掴めない。
山独活は酢味噌和なり昼の酒 弘道
色も味もさっぱりした山独活料理が夏の昼酒に心地よい。
蚯蚓這ふ早く潜れよ危ないぞ 弘道
「危ないぞ」では、いろいろ考えられるだけに弱い。「蚯蚓這ふ早く潜れよ食はれるぞ」。